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検索文字   例 切削 金型 (空白区切り → 論理積)

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1【2016年報告】
低温排熱用スターリングエンジンの理論的側面からの理解と実現可能性に関する検討
工場などから排出される低温排熱を利用して
電気エネルギーを作り出す低温排熱用スターリ
ングエンジンは,低炭素社会の実現に貢献する
技術であり,県内企業においても実用化に向け
て開発が進められている。スターリングエンジ
ンは内部の作動ガスの熱力学的変化を利用して
動作する。従って出力向上には運転中の作動ガ
スを最も効率の良い状態に近づけることが重要
となる。そこで本研究では,最初に開発中のス
ターリングエンジンについて熱力学や伝熱工学
などの理論的側面から検討し,理想的な運転状
態とそのときの理論的な出力について検討する。
次に,運転中のエンジンの内部状態を実測する
実験装置を作成し,理論からの乖離を調べ,装
置性能向上の方向性を明らかにする。
2【2016年報告】
センシング技術の農業分野への応用に関する調査研究
農業では高品質安定生産のために気象条件や
生育状況に応じた細かな栽培管理が重要である
が,生産者の経験やカンに基づいた作業管理が
されていることが多い。そのため生産者間での
生産性や品質に大きな差が生じ,規模拡大や新
規参入の抑制要因となっている。また,工業分
野では産業用ロボットなどの普及により生産工
程や出荷調整工程の自動化が進んでいるのに対
し,農業分野においては稲作で一部機械化され
ている工程もあるが,多くは人の手によって管
理されている。
そこで,本調査研究では工業分野で普及して
いるセンシング・画像処理技術を農業分野へ応
用し,生産技術のデータ化および生産工程など
の自動化に関する市場の動向,技術動向,そし
て自動制御装置開発に向けた技術課題とその対
策についての調査を行った。
3【2016年報告】
ビデオ伸び計による変位測定
材料試験機を使って試験片の引張試験を行う
際,耐力などの測定をするために試験片の変位
を伸び計で測定することがある。引張試験でよ
く使用する伸び計として,接触伸び計とビデオ
伸び計が挙げられる。
接触伸び計は図1 に示すように試験片に直接
取り付けるもので,試験片の伸びを精度よく測
定することができる。しかし,伸び計の破損を
防ぐため,試験片が破断する前に取り外す必要
がある。一方,ビデオ伸び計は図1 右に示すよ
うに試験片の標点の間隔をビデオカメラで測定
するものである。非接触で変位を測定するため
接触伸び計に比べて一般的に測定精度は劣るが,
ゴムや薄板など接触伸び計では測定が困難な試
験片の変位を破断まで測定することができる。
さて,引張試験を行う際,事前に伸び計の変
位の測定精度を確認したいことがある。接触伸
び計については,校正器と呼ばれる器具に伸び
計を取り付けて,校正器で与えた変位と伸び計
の指示値を比較することによって精度を確認す
ることができる。しかし,ビデオ伸び計につい
ては,ビデオカメラが材料試験機に固定されて
いるため,校正器を使った変位の測定は困難で
ある。このため,接触伸び計,ひずみゲージ,
ビデオ伸び計の測定データを比較した事例が報
告されている1)。
ここでは,ビデオ伸び計の精度を現場で簡易
的に確認するため,材料試験機のクロスヘッド
変位の変化量だけ標点距離が変化するジグを使
って,ビデオ伸び計の精度を簡易的に確認した
事例を紹介する。
4【2016年報告】
人工光レタス栽培における反射材が光強度と生育に与える影響
天候に左右されず,栽培条件を制御することが可
能な完全人工光植物工場が注目されている。その一
方で,導入時の初期コストや生産コストが高いこと
が課題となっている。栽培環境要素のひとつとして,
光環境がある。従来は蛍光灯を光源として用いてい
たが,近年では長寿命で省電力なLED に置き換わ
ってきた。省電力効果や光利用の高効率化を求めて,
LED の波長がレタスの生育に及ぼす影響について
の報告がされている1-3)。現状では,LED の光が栽
培領域から漏れ,植物に利用されていない光がある。
そのため,反射材を利用することで,光の効率的な
利用やLED にかかる電力の削減につながると考え
られる。
しかし,LED の光を有効に使うために反射材を
利用した栽培の報告例はみられない。本研究では,
LED 照明の効率的な利用を目的とした,反射材の
設置による光環境の変化およびレタスの生育に及ぼ
す影響について検討した。
5【2016年報告】
熱音響機関に関する調査研究
熱音響機関は,工場の未利用熱や太陽熱から
音波を発生させ,これを電気や冷熱に変換して
有効活用する技術である。細いパイプの束(蓄
熱器)の両端に温度差を与えると,中の気体が
膨張・収縮してパイプ内を移動し,温度差があ
る一定以上になるとこの動作が繰り返され,気
体の移動が振動源となって音波が発生する。こ
れを電気に変換したり冷熱として取り出したり
して,有効利用できることがわかってきた1)。
本研究会は,熱音響機関の実用化を目的とし
て,啓蒙普及のための講演会を開催し,技術動
向や県内企業の動向を調査した。また,高熱か
ら音波を発生させ,これを冷熱に変換する熱音
響冷凍機を実用化するため,適した用途を考え
公募事業に提案した。
6【2016年報告】
チタンアルミ合金の切削加工技術開発
チタンアルミ合金は,比重が4 程度とNi 基超
耐熱合金の約1/2 であるにもかかわらず同程度
の高温強度を有していることから,近年航空機
エンジン用素材として注目されている。しかし,
低熱伝導率,低延性,工具材料との化学的親和
性が高いなどの性質も有していることから難削
材料として認識されている1)。その適用拡大を
図るためには,チタンアルミ合金の効率的な加
工方法を確立することが重要である。
本研究では,「戦略的基盤技術高度化支援事
業」において,環境対応型先進UAV 用ターボ
ジェットジェネレーターのタービンブリスクに
チタンアルミ合金を適用することを目的に,そ
の製作に必要となる小径ボールエンドミルによ
る高能率・高速・高精度切削加工技術の開発を
目指した。
7【2016年報告】
ヌープ硬さ試験について
一般に,ビッカース硬さ試験機は圧子を付け
替えることにより,ビッカース硬さとヌープ硬
さの両方を試験することができる。これら二つ
の試験によるくぼみを図1 に示す。ビッカース
硬さのくぼみは正方形で,ヌープ硬さのくぼみ
は細長いひし形になっていることが分かる。ヌ
ープ硬さのくぼみの長手の対角線長さはビッカ
ース硬さのくぼみの約3 倍と長く,硬さの変化
に敏感である。さらに,ヌープ硬さのくぼみの
深さはビッカース硬さのくぼみの約1/2 と浅い
ため,ビッカース硬さに比べてより表面に近い
部分の硬さの評価に向いている1)。
ここで,ヌープ硬さはビッカース硬さに近い
値をとることが知られているが,実際に比較し
たデータがほとんどない。このため本研究では,
ビッカース硬さ基準片をビッカース硬さとヌー
プ硬さで比較試験して,両者の関係を調べた。
8【2016年報告】
超高張力鋼板加工技術の開発
自動車の軽量化は燃費向上を図るうえで最も
重要な技術課題であり,その解決策のひとつと
して高張力鋼板の採用が進められている。近年
では引張強さが1,000MPa を超える超高張力鋼
板を自動車部品に適用する例も見られるように
なったが,超高張力鋼板が延性に乏しい難成形
材料であることから,その適用部位はまだ限定
的である。また,超高張力鋼板は成形性を向上
させるために金型を高温にする温間・熱間プレ
ス成形にて加工することが多く,その場合には
設備や加工時間が問題となる。
このような背景のもと,本研究では(株)野
島製作所の強みであるプレス成形技術を高度化
し,軽量化への提案に繋げることのできる超高
張力鋼板を用いたシートフレーム部品の冷間加
工技術の確立を目指した。
9【2016年報告】
炭素化繊維利用に関する調査研究
綿,レーヨンなど汎用繊維を炭素化させた
「炭素化繊維」は,比表面積が大きく優れた吸
着性能や導電性,電磁波シールド性など様々な
特徴を持つことが知られている。また,炭素化
後も繊維の特徴である軽量・柔軟性を有するこ
ともメリットの一つである。昨年度は吸着性能
や電気二重層キャパシタへの適用について調査
研究を行ったが1),今年度も引き続き行うとと
もに新たに県内企業からニーズの高かった電磁
波シールド材への適用について,技術動向や課
題,適用の可能性について調査研究を行った。
10【2016年報告】
精密微細加工技術の分析分野への応用に関する調査研究
マイクロ加工を応用した微細なマイクロ化学
チップによって,これまで複雑で手間のかかる
化学分析を安価かつ短時間に行うことのできる
μ-TAS(マイクロタス,Micro Total Analysis System)
あるいはLab-on-a-chip と称される分析手
法が実用化の段階に差し掛かっている。
そこで本調査研究では,精密微細加工技術を
応用した分析装置に関する@講演会開催による
情報提供,A技術動向と企業における技術課題
の調査,B加工実験などによる要素技術の蓄積
を行い,県内企業の高付加価値分野への参入を
促すとともに,共同研究や公募型研究事業への
研究課題の提案をすることを目的に活動した。
11【2016年報告】
真空装置用ステンレス製大型容器の多様な形状に対応する新加工技術の開発
真空装置用のSUS304 製大型容器は,多様な
サイズや肉厚差のある形状へのニーズがあり,
かつその一体構造化が求められている。しかし,
そのような容器形状(大型・肉厚差)であるこ
とに加えて難加工材であることから,現状では
鍛造によるニアネットシェイプ化が困難であり,
切削工法または溶接工法により製造されている。
しかし,これらの従来工法では材料歩留まりが
悪いうえに工程数も多く,コスト高となること
から,その解決が求められている。
そこで,本研究では前述のような容器を一体
成形可能で,かつ多様な形状に対応できるブレ
ークスルー技術として,リング鍛造と加工中の
温度制御を取り入れた熱間フローフォーミング
を組み合わせた新しい複合加工技術の開発を行
った。この開発により,高品質な一体構造の
SUS304 製大型容器(外径約300mm)の成形を
可能にするとともに,材料ロスの削減と短納期
化,低コスト化の実現を目指す。図1 に本研究
で開発した新加工技術の概要を示す。
12【2016年報告】
ビッグデータを活用したものづくりに関する調査研究
情報通信技術の普及にともない,SNS,音声,
センサ,位置,ログ情報など,多様で大量のデ
ータをリアルタイムに収集・蓄積・分析して活
用するビッグデータが着目され,事業運営の効
率化,新商品の開発やサービスの提供,社会的
課題への対応に活用されている。さらに,IoT
(Internet of Things:モノのインターネット),
ビッグデータ,AI(Artificial Intelligence:人工
知能)を用い,現実世界の情報をコンピュータ
上のサイバー世界で分析・判断し,現実世界を
制御するCPS(Cyber Physical System)を活用
して,データ駆動型社会へ産業構造を大きく変
革しようとする動きが世界中でみられる。
米国ではインターネットへ接続された産業機
器のデータを分析して高度な自動制御を可能に
するIndustrial Internet をGE 社が提唱し,Cisco
社,IBM 社,Intel 社など,60 社以上でコンソ
ーシアムを形成して大きな変革へ対応している。
ドイツではIoT を活用し,開発・製造・流通プ
ロセスを最適化するIndustrie 4.0 を2011 年に採
択し,国策として大きな変革へ対応している。
これらの大きな変革は第4 の産業革命(第4 次
産業革命)と日本で呼ばれ,大きな変革への対
応が産学官の広い分野で取り組まれている。
米国やドイツなどの産業先進国では既に取り
組まれ,日本においても取り組みが始まったデ
ータ駆動型社会への大きな変革について,本調
査研究では,産学官の動向や先進事例を調査し
ながら県内企業へ情報提供し,ものづくりの大
きな変革を企業のチャンスへ結びつけることを
目的とした活動を実施した。
13【2016年報告】
シミュレーションを用いた不等ピッチメタルソーにおける刃型最適化設計技術の開発
不等ピッチを採用した回転工具は,加工時に
発生する振動を抑制し,加工効率や品質,工具
寿命を向上させる1-2)。メタルソーはエンドミル
に比べ刃数も多く,ピッチの組み合わせは無限
に近い数が想定される。そのため,刃型の最適
設計は非常に困難であり,基本形状から手探り
で設計しているのが現状である。
そこで本研究では,不等ピッチメタルソーの
最適刃型設計技術におけるシミュレーション技
術の活用方法について検討した。
14【2016年報告】
高硬度材切削用被膜の開発
高硬度難削材料である粉末ハイス鋼の切削加
工において,加工の高能率化や工具寿命延伸の
ための工具コーティング被膜が求められている。
そこで,市場で実績のある被膜をベンチマーク
として,より工具寿命延伸が可能となる被膜開
発を目的に被膜の試作開発を行い,ミーリング
による工具寿命試験を実施し,性能を評価した。
15【2016年報告】
蛍光X 線分析におけるFP 法定量分析の検討
ファンダメンタルパラメータ法(以下FP 法)
は,X 線測定強度から化学成分の含有量を理論強
度計算により求める手法である。本研究では鉄系
材料(ステンレス鋼(SUS304),クロムモリブデ
ン鋼(SCM435),ねずみ鋳鉄(FC300)),非鉄金
属材料(銅合金鋳物(Cu 合金),アルミニウム合
金鋳物(Al 合金))を対象として,他分析法とFP
法定量分析結果(以下FP 法結果)との対比を行
うとともに,表面粗さがFP 法結果に及ぼす影響
の検討を行った結果を報告する。
16【2016年報告】
異種金属材料の非溶融接合技術の開発
機械装置を構成する材料には様々な材料特性が求
められるが,中でも「軽さ」は省エネルギー化や機
械装置の性能の向上,取り扱いの容易さなどの観点
から重要な特性の一つである。ただし,多くの場合,
強度あるいは耐食性,加工性などの複数の特性を併
せ持つことが必要となるため,これを実現する方法
として異なる特性を持つ材料をつなぎ合わせる接合
技術が注目されている。しかし,従来の部材を溶か
す「溶接」を行った場合,金属間化合物の生成に伴
う脆化や割れの発生により接合が困難であるため,
非溶融接合技術の開発に向けた研究がなされている。
本研究では継手形態として汎用性の高い点接合を対
象として,非溶融接合の一種である摩擦圧接の原理
を応用した鋼板とアルミニウム合金の接合技術の開
発に取り組んだ。
17【2016年報告】
超精密微細加工技術の開発
現代のものづくりにおいて,“金型”は非常
に重要な役割を担っており,その材質も用途に
より多岐にわたっている。
プラスチック成型品の中でも特に光学部品用
金型においては,その表面は非常に高度な鏡面
状態が求められるが,プラスチック金型用鋼に
対する切削加工による高度な鏡面加工は難易度
が高いため,後工程として手作業による磨きを
行うのが一般的となっている。しかし,磨き作
業は熟練した高度な技術が必要であるうえ,職
人の高齢化,後継者不足などの課題も抱えてい
る。こうした中,磨き工程の負荷を軽減させる
ために切削加工による加工面の品質を向上させ
ることが重要となっている。
そこで本研究では,プラスチック金型用鋼に
対し,切削加工条件が加工面の表面粗さにおよ
ぼす影響について調べた。
18【2016年報告】
3 次元ものづくり製造技術とその市場に関する調査研究
製造現場における3D-CAD の普及や3D プリ
ンタなどを活用した試作技術の高度化,迅速化
が進む中で,入力,編集・設計,出力といった
3D データによるものづくりのワークフロー改善
が求められている。3D プリンタを活用した試作
の迅速化はある程度普及してきたが,3D データ
の入力や編集・データ交換に関する運用技術を
普及させる必要があるため,前年度の3 次元ア
プリケーション研究会から継続して調査研究活
動を行った。
19【2016年報告】
鋼材の球状化焼鈍しについて
炭素工具鋼鋼材SK105 は,約1%の炭素を含
む炭素鋼で,刃物などに使用されている。この
鋼材は材料出荷前に球状化焼鈍しを行い,鋼材
として最も軟らかい状態にしている。球状化焼
鈍しを行うと,金属組織はフェライト地に無数
の球状の炭化物が一様に分布した状態となる。
これにより,容易に機械加工することができ,
しかも焼入れしたときに変形が少なく高い耐摩
耗性をもった製品・部品にすることが可能とな
る。
当センターにおいて,企業から持ち込まれた
鋼製の刃物や工具などの金属組織観察や硬さ試
験を行うことがある。その結果,焼入れ前の金
属組織が問題であると推測されることもあるが,
さほど知見がないため,試験結果の客観的な評
価や企業への結果説明が十分でないことがある。
ここでは,熱処理条件と炭化物の球状化の関
係について実験を行った。実験で用いた供試材
(炭素工具鋼鋼材SK105)は,購入した状態
で炭化物が球状化しているため,これを焼なら
しして層状の炭化物にした後,各種の条件で球
状化焼鈍しを行い,硬さと金属組織を調べた。
これにより,熱処理条件と金属組織や硬さのデ
ータを蓄積し,上記の技術相談により迅速に対
応できるようにすることを目的とする。
20【2016年報告】
LIB 用タブリード材製造工程におけるリード材表面皮膜処理のインライン化
ラミネート型リチウムイオンバッテリー
(LIB)用タブリードは,電池の正・負極端子
として使用する部材である。図1 に示すように
一端は電解液中にありながら他端は外部に露出
するため,電池の密封性を高める目的でリード
材であるAl,Cu 薄板の両面に絶縁フィルムを
溶着した構造を有する。リード材とフィルムに
は高い密着性が要求されることから,リード材
には表面皮膜処理を行う必要がある。従来,タ
ブリードの製造工程はリード材をプレス加工で
切断した後,バッチ処理にて洗浄,表面改質,
表面皮膜の順に処理を行った後,フィルム溶着
を行っていたが,LIB の需要拡大に伴いより生
産能力を高め,かつ低コストでの製造が必要で
ある。
そこで本研究では,タブリードの一貫生産ラ
インの構築を目的として,タブリード材の表面
改質および表面皮膜処理工程のインライン化を
図った。
21【2016年報告】
高圧クーラントによる析出硬化系ステンレス鋼の高能率旋削加工
航空機産業を中心に析出硬化系ステンレス鋼,
チタン合金,ニッケル基超耐熱合金などの難削
材の加工が増加している。これら難削材の加工
では加工能率の向上が求められているが,いず
れの材料も熱伝導率が小さく,切削熱が刃先に
蓄積し局部的に高温になるため,切削速度を上
げて加工能率を高めることが難しい。
このような材料を高能率に加工する技術とし
て,近年,高圧クーラント援用旋削加工が注目
されている。この技術はクーラントを加圧して
チップ先端に向けて供給する方法で,期待され
る効果は,@刃先の強制冷却によるチップ寿命
延伸と高能率加工の実現,A切り屑の強制排出
による面品位向上と無人運転化などである。
当所では平成27 年度航空機産業参入推進事
業において,高圧クーラントユニット付き旋削
加工装置を導入し,難削材加工の高能率化を目
標に高圧クーラント援用旋削加工技術の開発を
進めている。
本報は,この装置を用い,析出硬化系ステン
レス鋼SUS630 を供試材としてチップの寿命試
験を行い,高圧クーラント援用による高能率化
を検証した結果を紹介する。
22【2016年報告】
高出力の熱音響エンジンの開発
管の中に入った細いパイプの束(蓄熱器)の
両端に温度差を与えると,中の気体は不安定に
なり振動を始め音波が発生する。これは熱音響
現象と呼ばれ,この現象を利用し熱から音波を
発生させる装置が熱音響エンジンである。熱音
響現象は,古くから知られていたが,熱力学や
流体力学の発展とともに,音波が発生する原理
が解明され,工場の未利用熱や太陽熱から音波
を発生させる熱音響エンジンを利用し,冷熱や
電気に変換して活用する技術の研究開発が盛ん
になっている1)。
本研究では,熱音響エンジンの実用化を目的
として,ループ状の進行波型熱音響エンジンを
製作した。また,エンジンの数を増やし,多段
型にして高出力化に取り組んだ。さらに,熱音
響エンジンが熱源から離れていても,ヒートパ
イプで熱が輸送できれば音波が発生するか実験
した。
23【2016年報告】
新材料創生に関する調査研究
自動車,ロボット,エレクトロニクスや医療
など,各種産業分野において新しい機能材料が
求められている。特に自動車では,軽量化が進
む中でその重量の 10% 程度がプラスチック材料
に置き換わっており,世界的に省エネルギー化,
温室効果ガス削減が加速する中,今後も自動車
には低燃費化・高効率化が求められる。プラス
チック材料の使用率は高くなるものと予想され,
より高性能なプラスチック材料が必要となる。
プラスチック材料を高性能化する手法として
合成による新しい分子構造を持つプラスチック
の開発が行われてきた。しかし,新しい特性を
持ったプラスチック材料はもはや単一の素材だ
けでは達成されるものではなくなりつつあり,
コンポジットやアロイと呼ばれる複合材料,あ
るいは特殊なミクロ構造体から創生されるもの
と考えられている。特に複合材料は素材の組み
合わせや製造方法の選択によって無限の組み合
わせがある。
そこで,本調査研究では,新材料創生のため
にプラスチック材料の複合化に関して,市場の
動向,技術動向,そして成形のための技術課題
とその対策についての調査を行った。また,県
内企業へのアンケートや聞き取り調査により,
新材料に関する取り組み状況や今後の取り組み
予定,そして課題について調べたので併せて報
告する。
24【2016年報告】
レーザ顕微鏡および粗さ測定機による表面粗さの比較
表面粗さを測定する方法には,大きく分けて
「接触式」と「非接触式」の2 つの方式がある。
「接触式」は触針が試料を直接なぞることによ
り表面の凹凸を測定するもので,表面粗さ測定
に最も広く用いられている。これに対して,
「非接触式」は光を使用したものであり,共焦
点方式を利用したレーザ顕微鏡,白色干渉方式
を利用した白色干渉計などがある。これらの測
定値は試料の表面状態,反射率,形状などに影
響されやすいものの1),試料を傷つけることな
く表面粗さを測定できるメリットがある2),3)。
しかし,同一試料を接触式と非接触式で測定
した場合,測定値がどの程度一致するのか検証
したデータは少ない2)。
そこで本研究では,接触式と非接触式で表面
粗さの異なる複数の試料を測定し,測定値がど
の程度一致するのか検討した。
25【2016年報告】
簡易なグレースケールマスクを使用したリフロー法によるマイクロレンズアレイの作製
マイクロレンズアレイ(以下,MLA)は直
径数10μm のマイクロレンズを多数配列したも
ので,CCD 撮像素子や液晶プロジェクターな
どの光学部品として利用されている。
石英やガラスなどに直接レンズ形状を加工す
る方法の一つにリフロー法がある。
フォトリソグラフィーで円柱状のレジストパ
ターンを形成し,加熱でフォトレジストを溶
融・流動させて表面張力で球面を形成する。こ
れをドライエッチングすることで基板にレンズ
形状を形成する方法である(図1 参照)。レジ
ストと基板の選択比が1 となる条件でエッチン
グを行うとレジスト形状がほぼそのまま基板に
転写される。
比較的容易な方法であるが,アスペクト比の
小さいレンズ(径に対して高さの低い形状)に
ついては,レジストが十分に流動せず球面が形
成されないという課題がある。図2 は当研究室
の試作例で,レジストが中央部まで流動せず頂
点が凹形状となっている。球面が形成される前
にレジストが硬化したことが原因と考えられる。
本研究ではスパッタリング装置で簡易なグレ
ースケールマスクを作製し,リフロー法への適
用を検討した。図3 のようにグレースケールマ
スクでレジストを階段状にパターニングするこ
とで,レジストの流動を容易にし,上記課題の
改善を試みたので報告する。
26【2016年報告】
決め押し加工シミュレーション技術の開発
シェル要素を用いた決め押し加工シミュレーションの精度向上を目的に,LS-DYNA の新型シェル
要素とリスタート機能を用いたシミュレーション技術を開発した。新型および従来型シェル要素定式
の切り替えを用いたV 曲げおよびハット曲げの決め押し加工シミュレーションを行い,開発したシ
ミュレーション技術の有効性を確認した。また,曲げ試験の結果との比較を行い,実際のプレス加工
に適用可能であることを示した。
27【2016年報告】
フェライト系ステンレス鋼の窒素熱処理に関する研究
フェライト系ステンレス鋼の代表的な鋼種であるFe-16~18Cr(SUS430 以後,Fe-18Cr)の耐食性
向上を目的に窒素熱処理に関する研究を行った。素材を窒素雰囲気で処理したところ,窒素含有率は
処理温度とともに高くなり,1100℃で最大0.6 mass%もの窒素が添加された。1100℃で処理した場合
は処理前に比べ硬くなり,処理後の組織はオーステナイトとマルテンサイトの2 相からなることが明
らかとなった。耐食性はオーステナイト系ステンレス鋼の代表鋼種であるFe-18Cr-8Ni と同等程度の
耐食性レベルを確保した。
28【2016年報告】
イオンミリング法による電子顕微鏡観察用断面試料の作製
走査電子顕微鏡(以下SEM)による試料の
断面観察分析を行う際,試料の前処理が重要で
ある。通常,組織や形状を確認するための断面
作製法は,樹脂包埋後,機械式研磨を行ってい
る。しかし,めっき,塗装などの表面処理材や
複合材料では,ダレや欠けなどが発生し観察分
析ができない場合がある。また,吸水や汚染さ
れやすい試料では研磨が難しい。これらの問題
を解決する方法として,イオンミリングによる
断面作製がある1)。これは,機械的な力を加え
ずにアルゴンイオンビームを使用し,断面を加
工する方法である。
本報告では,機械式研磨や刃物による切断で
は観察が困難な,表面処理した金属,紙やプラ
スチックなどの軟質材料の断面を弊所所有のイ
オンミリング装置で作製し,SEM 観察分析を
行った事例を紹介する。
29【2016年報告】
伝統的工芸品の世界販売戦略を支援するためのバーチャルショウケースの研究開発
質感の高い伝統的工芸品の販売を支援するためのバーチャルショウケースの開発を行っている。企画から設計・製造の流れを改善するための取り組みとしてデジタルプロトタイピング技術の開発に取り組んだ成果を活用して,より一層写実的なコンピュータグラフィクス(CG)を簡便に生成し容易に観察できるシステムを構築することとした。
30【2016年報告】
人工光リーフレタス栽培における遠赤色光が生育と品質に及ぼす影響
完全人工光リーフレタス栽培における最適光環境条件を明らかにするため,遠赤色光が生育と品質
に及ぼす影響について検討した。遠赤色光の照射は,葉の縦伸長を促進し,地上部生体重を増大させ
る効果があることを明らかにした。一方,品質については葉色の淡色化や硝酸イオン濃度の上昇,光
強度によっては節間伸長の促進による抽苔などマイナスに働くこともあることが明らかとなった。
31【2016年報告】
マルチスケールシミュレーションによるCFRP製品の機械特性評価に関する研究
CFRP製品の設計技術力強化を目的に,マルチスケールシミュレーションによるCFRP製品の機械的特性評価手法の有効性や問題点について検討した。基本形状を用いたUD材(単一方向性材料)の強度シミュレーションを実施し,繊維弾性率や繊維体積含有率などの特性値だけでなく,ミクロモデルにおける繊維配列も計算結果に影響を与えることを示した。
32【2015年報告】
新規表面処理技術に関する調査研究
表面処理技術とは材料単体では持ち得ない機能性を基材に付加するための技術であり,付加できる機能性や適用範囲も様々である。例えばめっきも表面処理技術の一つであり,自動車のエンブレムは樹脂材料にめっきをして金属光沢を付与している。これにより金属よりも軽く,金属と同様の光沢をもつという,本来樹脂材料や金属材料だけでは作ることのできない製品を得ることができる。しかし,近年では機能性の付加だけではなく,環境保全に対する意識の高まりを受け,表面処理で発生する廃液や排気における有害物質の削減,さらに製造プロセスの省エネルギー化や二酸化炭素削減といった環境負荷低減への対応が求められている。
また,製品安全や資源リサイクルに対するニーズも高まってきており,廃棄時やリサイクル時における有害物質発生に配慮した,有害物質を含有しない表面処理技術が注目されてきている。
新潟県では,めっき,化成処理,研磨,洗浄,熱処理,塗装など様々な表面処理技術に関連した企業が多く基板産業となっており,新規表面処理技術に関する調査研究は県内産業に直結するテーマである。
そこで本調査研究では環境負荷低減に向けた新規表面処理技術の開発を目的とし活動を行った。
33【2015年報告】
炭化繊維利用研究会報告
綿繊維を炭化させた「炭化綿」は石炭由来の活性炭に比べ,その比表面積が数倍を示すことから,吸着性能が高く大変注目されてきている。炭化繊維のメリットとしては,図1に示すようにシート状の繊維であれば炭化処理前に希望する形状に成形することで,その形状を保持したまま炭化物を得られることも特徴といえる。これら繊維素材を活用した炭化繊維の用途開発について,県内企業と連携を取りつつ,調査研究を行った。
34【2015年報告】
ガスクロマトグラフによる機能性繊維製品の性能測定,加工剤の定着量評価,各種成分分析技術の確立
近年繊維製品の消臭加工は高性能化が進み,その性能測定において,従来のようなガス検知管により行うことができないガス種,濃度レベルのものが出てきている。また,各種機能性加工において,性能測定だけでなく,加工剤の生地への定着量のデータが求められる場合もあると聞く。他にも,繊維企業以外から製品やその洗浄液の中に含まれる微量成分の分析についての相談が複数寄せられている。
 このような分析ニーズは中小事業者内での解決は困難であり,東京や大阪の分析機関に依頼することも時間や費用の面で困難なのが実情である。地元の公設試験研究機関である当センターにおいて依頼試験や,より望ましくは機器貸付によって自らが手軽に色々行えるような形が実現するならば,費用の面はもちろん,開発力とスピードの面でもメリットは大きい。
本研究では,これら分析ニーズのうちガスクロマトグラフにより行うことが適当と考えられるものについて,分析技術の確立と実施体制の構築を行う。
35【2015年報告】
難加工耐熱材料の成形技術に関する調査研究
近年,高温や腐食などが生じやすい厳しい環境下で使用される部品には,Ti合金やNi基合金などの難加工材料の適用が進んでいる。特に,シェールガスの採掘機械や油井といった掘削関連,および航空機用ジェットエンジンなどの部品は過酷な環境で使用されるため,高耐食性,超耐熱性を有するNi基合金の適用が急速に拡大している。
Ni基合金の成形時における代表的な課題として,変形抵抗の高さが挙げられる。Niの割合が高い材料ほど,高温時における変形抵抗が大きいため,成形時における加工荷重の低減や金型の耐久性が重要な課題となっている。
そこで,本調査研究では,「難加工成形技術研究会」を立ち上げ,難加工成形技術に関する講演会の開催,Ni基合金に関する市場動向,技術動向,成形のための技術課題およびその対策についての調査を行った。また,材料特性を把握するために引張試験を行ったので,それらの結果を報告する。
36【2015年報告】
精密微細加工技術の分析分野への応用に関する調査研究
マイクロ加工を応用した微細チップによって,これまで複雑で手間のかかる化学分析を安価で短時間に行うμ-TAS(マイクロタス,micro-Total Analysis System)あるいはLab-on-a-chipと称される分析手法が実用化の段階に差し掛かっている。
そこで本調査研究では,精密微細加工技術を応用した分析装置に関する@セミナーによる情報提供,A技術動向と企業における技術課題の調査,B加工実験などによる要素技術の蓄積,を行い,県内企業の高付加価値分野への参入を促すとともに,共同研究や公募型研究事業への研究課題の提案をすることを目的に活動した。
37【2015年報告】
音波利用研究会報告
音波を利用した技術の応用事例は非常に多岐に渡っており,今後も付加価値の高い応用技術が生まれる可能性が高い分野である。その中でも,特に2つの技術が最近注目され始めている。1つは,形状が崩れやすい物(液滴,粉体など),毒物や汚染したくない物などの触りたくない物の搬送や混合に応用が期待されている「非接触マニピュレーション技術(図1)」。もう1つは,現在,ハチを利用したイチゴの授粉において課題である天候等の外部環境に影響され難く,安定した授粉が得られる「人工授粉技術」である。本調査研究ではこれら2つの技術に着目して調査研究を実施し,新潟発の独自の製品開発の基礎となる要素技術の確立を目的とした。
38【2015年報告】
熱音響機関技術研究会報告
パイプを加熱すると音が鳴るという熱音響現象は,日本では岡山県吉備津神社の釜鳴りの神事,欧州ではパイプオルガンの修理で古くから知られていた。その後,熱力学や流体力学の発展とともに,音が鳴る原理が解明され,熱から音波を発生させる熱音響機関を利用し,エネルギーを取り出す研究開発が始まった1)。
 本研究会は,熱音響機関の実用化を目的として,技術動向や課題,県内企業における技術開発の可能性と県が取り組むべき課題について検討した。また,熱から音波を発生させて発電する装置の製作に取り組んだ。
39【2015年報告】
航空機産業分野における技術調査
日本国内の航空機産業の生産額は,2014年年度では過去最高の約1兆6千億円1) になる見込みである。これは前年度比2,300億円(16.8%)増であり,新興国の経済成長に伴い,航空機需要が伸長することを考慮すると,今後も順調な伸びが期待できる。このような成長産業へ県内企業の進出を促す目的で,県は,平成24年度より航空機産業参入推進事業に取り組み,研究会や共同研究を通して県内企業に対する情報提供や研究開発の支援を実施している。本報では,同事業の中で航空機産業の技術動向を調査する目的で,ベルリン国際航空宇宙展(Internationale Luft und Raumfaht Ausstellung : ILA2014)において情報収集を行った調査結果について報告する。
40【2015年報告】
ワイドギャップ半導体を使った電力変換回路の特性評価
近年,地球温暖化や国内の電力供給状況のひっ迫により電力消費の節約が叫ばれる一方,世界的にエネルギー消費は経済成長とともに増加の一途をたどっており産業・民生機器の消費電力の削減は喫緊の課題である。今後も継続すると思われるこの課題を解決するためにパワーエレクトロニクスの果たす役割はますます重要になるとともに市場の拡大が予想される。現状のシリコン(Si)半導体デバイスの電力変換効率は理論上の限界に来ており,今後のさらなる容量拡大と効率の改善には材料面からのアプローチが不可欠といわれている。そこで本研究ではワイドギャップ半導体の中でも製品化されている炭化ケイ素(SiC)のMOSFETについて, 実際の回路設計手法を習得するために電力変換の基本的な回路を設計してシリコンデバイスと電力変換効率の比較を行った。
41【2015年報告】
高速液体クロマトグラフ(HPLC)を利用した多孔質材料の多孔性評価(インバースクロマトグラフ法)に関する研究
水膨潤状態のセルロース材料を固定相として,分子量既知のポリエチレングリコール(PEG)およびポリエチレンオキサイド(PEO)を各サイズの細孔を検出するプローブとして用いて,高速液体クロマトグラフを利用したサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)を応用して評価を試み,有効性と留意点について検討した。特に,2種類の活性炭について細孔分布を比較して,活性炭の多孔性に有意な差を検出することができた。
42【2015年報告】
ステンレス鋼の表面状態と材料特性に関する研究
ステンレス鋼は耐食性が高く,金属洋食器や器物,容器など幅広い分野で利用されている材料である。特に県内産業は金属加工業が多く,ステンレス鋼は欠かせない材料である。熱処理や化成処理などによる表面被膜の変化に関する興味は高く,また,それと耐食性やその他材料特性との関係性についても問い合わせは多い。レーザマーキングなどではその箇所が腐食しやすいといったトラブルもある。こういったステンレス鋼の表面と特性の関係に関する相談が多い中で,ステンレス鋼の表面のX線光電子分光分析(XPS)の測定例は増えては来ているものの,XPSは測定時間が長く,多くのサンプルを測定するのには向いていない。そこで赤外分光分析(FT-IR)やラマン分光分析といった分光分析を活用し,XPSと分光分析から得られる情報の関係を把握することで,測定時間を大幅に短縮することができる。そこで本研究では,ステンレス鋼の表面被膜構造と耐食性の関係を明らかにすることを目的として,ステンレス鋼を加熱酸化して被膜構造を変化させ,XPS,FT-IR,ラマンなどの分析を行った。併せて塩水噴霧試験によって耐食性の評価を行った。
43【2015年報告】
スターリング冷凍機のエンジンへの改造
スターリングエンジンはシリンダー内に密封された作動ガスの外部加熱と冷却により得られる圧力変動を利用して動力を取り出す外燃機関である1)。工場の未利用熱を有効活用できるため古くから注目されており,エネルギー変換効率は高いが,重量あたりの出力は小さく,耐熱合金が高価なことや作動流体の漏れを防ぐための精密さによる高コストなどの課題がある。一方,スターリングエンジンを電動で逆運転させ冷凍機として利用するスターリング冷凍機は,耐熱性が要求されないため,数社の企業が製品化している。
 本研究では,市販の小型スターリング冷凍機を改造し,スターリングエンジンとして動作させ,ファンヒータやペレットストーブの送風ファン電源として利用できないか検討した。送風ファンの電源を商用電源からではなく熱から取り出すことができれば,災害が発生したときの停電時にも使用できる。また,送風ファンを駆動するために必要な電力は数十ワットと比較的小さく,低コストで実現できれば,実際の製品への搭載が可能となる。
44【2015年報告】
MSE試験の各種材料への検討
MSE試験は,試験材表面に微細粒子を投射し摩耗を発生させ,摩耗進行速度が材料強さに応じて異なることを応用して材料表面の強さを測る計測技術である。本技術の分析前処理利用としての有用性を証明するため,MSEによる材料へのダメージおよびその効果を各種分析手法で確認した。一部の材料において,応力付与によるスペクトル変化が起こるものが確認されたが,プラスチックや酸化物系のセラミックスでは,Arエッチングのように還元されることがなく,深さ方向分析の前処理として期待できることがわかった。しかし,XPSでは処理後の洗浄方法を検討する必要がある。
45【2015年報告】
3次元データの工業利用に関する調査研究
製品の設計試作における3Dプリンタの活用や,3次元データの入力・加工・編集・出力に関する課題および市場性・今後の可能性などについて調査・啓蒙・技術蓄積を行うことを目的として調査研究を行った。
3Dプリンティング技術が話題になっているが,出口としてのプリンタだけでなく入り口としての3Dデジタイザ(3Dスキャナ),3D-CADやデータ編集ソフトウェアなど3次元データ応用技術全般を見渡すことが必要と考えられる。今年度は,初年度ということで,3Dプリンティング技術とその周辺技術の動向を関連企業に周知するために2回のセミナーを実施し,県内企業の3次元ものづくり体制を調査するとともに,産業技術連携推進会議 (以下,産技連)1) の製造プロセス部会に設置された3Dものづくり特別分科会と関東甲信越静地域部会に設置された3Dプリンタ研究会に参画して他県の支援動向と(独)産業技術総合研究所(以下,産総研)の技術開発動向を探った。
県内のものづくり企業において,3D-CADや3Dプリンタはある程度普及しているが,3次元データで一貫した3次元ものづくり体制の構築は必ずしも十分といえず,普及に向けた啓蒙活動と人材育成活動が必要と思われる。
第2章には,講演会活動の概要と技術分類,市場・ユーザー動向・県内企業動向・各県の公設試験研究機関(以下,公設試)の動向,調査活動から得られた課題とそれへの対応策を記し第3章でまとめた。
46【2015年報告】
高出力の熱音響エンジンの開発
管の中に入った細いパイプの束(蓄熱器)の両端に温度差を与えると,気体が不安定になり振動を始め音波が発生する。これは,熱音響現象と呼ばれ,この現象を利用し熱から音波を発生させる装置が熱音響エンジンある。熱音響現象は,古くから知られていたが,熱力学や流体力学の発展とともに,音波が発生する原理が解明され,熱から音波を発生させる熱音響エンジンを利用し,工場の未利用熱や太陽熱を,冷熱や電気に変換して活用する技術の研究開発が盛んになっている。
 本研究では,熱音響エンジンの実用化を目的として,高熱から音波を発生させる熱音響エンジンと,音波から温度差を発生させる装置を製作し評価した。また,熱音響エンジンが熱源から少し離れていても利用できるように熱輸送装置を製作した。さらに,熱音響エンジンをより高出力にする方法について検討した。
47【2015年報告】
パワコンへの次世代デバイス採用による高周波化
太陽光発電システムや燃料電池発電システムから供給される電力を家庭内で利用するためには,現状の商用電力系統との互換性のために,AC200Vの交流電力に変換する必要がある。そのための機器をパワーコンディショナ(パワコン)とよび,現在はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)によるスイッチング回路を基本としている。近年開発が進んだSiC,GaNという次世代デバイスを用いて,駆動回路の高周波化と装置の小型化を目指した。本研究で試作したパワコンの電力効率とEMI特性を評価した結果について報告する。
48【2015年報告】
ステンレス刃物鋼の金属組織と硬さ
現在,市販されているステンレス製の刃物の多くは,炭素量0.3〜1%のマルテンサイト系ステンレス鋼で作られている。刃物に使われているステンレス鋼は,ステンレス刃物鋼と呼ばれている。
県央技術支援センターにおいて,企業から持ち込まれたステンレス刃物鋼製の包丁やナイフの折れや欠けの原因を調査する際,金属組織観察や硬さ試験を行うことがある。しかし,刃物は機械部品とは熱処理条件が異なるため,参考となる文献や資料が少ない。このため,試験結果の客観的な評価や企業への結果説明が十分にできないことがある。
本研究では,ステンレス刃物鋼として知られているSUS420J2とSUS440Cについて,焼入温度を変えて熱処理を行ったときの金属組織や硬さのデータを蓄積する。これにより,上記の原因調査に迅速に対応できるようにすることを目的とする。
49【2015年報告】
植物工場研究会報告(第4報)
本研究会は今年で4年目を迎えた。企業からは植物の生育や生理障害に関する相談が多く寄せられている一方で,装置開発や新技術などの新潟オリジナルの植物工場に発展する提案や相談事例は少なく,これらの発掘が本研究会担当者の課題となっていた。
これらを解決することを目的として,今年度は,植物工場に新規参入など底辺拡大を促すための「植物工場セミナー」と研究事業の発展支援など具体的なテーマを設定した「ワーキンググループ」で検討を進めた。
本報告書ではこれらの活動と成果について報告する。
50【2015年報告】
LEDの赤白比がコカブの生育・品質に及ぼす影響
人工的に栽培環境を制御することが可能な完全人工光植物工場は,地域・季節・気象条件を選ばず世界中どこでも周年栽培することができるため注目が高まっているが,施設・装置の設置コストや空調・光照射にかかる生産コストが高いことが課題となっている。植物工場で用いられる光源はこれまで主に蛍光灯であったが,近年は長寿命で消費電力が少なく,発光波長を調節することにより植物に最適な光質を作ることが可能なLEDに移行している。最適な光質については赤色や青色LEDを用いて様々な試験が行われているが,一般家庭・店舗へのLED照明の普及により価格が低下傾向にある白色LEDによる報告は少ない。
一方で,現在稼働している植物工場で栽培されている品目はリーフレタスなど一部の葉菜類が中心である。普及促進のためには品目拡大が急務であるが,最適環境条件は栽培する品目によって異なり,品目ごとに最適な光条件を検討する必要がある。そこで,本研究では,完全人工光コカブ栽培におけるLEDの赤白比が生育と品質に及ぼす影響について検討した。
51【2015年報告】
ウレタン加工布の性能評価方法の検討
通勤通学をはじめ,ゴルフや山登りなど野外スポーツの際に使用する防風,防水加工外衣が大変人気となっている。この外衣のうち,ウレタンコートやウレタンラミネート加工した素材については,ウレタン自身の加水分解による劣化や基布との密着性の低下によって,穴あきや剥離(図1参照)が発生することが数多く報告されている1)。しかし,実際に納入された製品のウレタン加工が劣化しているか否かは一見では不明であり,JISなどで簡単に評価する方法は見あたらないのが現状である。
本研究では,ウレタン加工布の劣化や密着性を,特殊な機器を用いなくても容易に評価できる方法を検討し,あわせて繊維試験法研究会(平成27年9月18日,19日開催:京都府京丹後市)へ試験方法を提言するためのデータ収集を行った。
52【2015年報告】
クロム系ステンレス鋼の窒素添加に関する研究
特殊な添加元素を含まないクロム系ステンレス鋼のひとつであるFe-16mass%Cr(以後,Fe-16Cr)の耐食性向上を目的に窒素熱処理に関する研究を行った。素材を窒素雰囲気で800℃で処理したところ,窒素含有率は0.1wt%前後となり,素材への窒素添加はわずかであった。なお,金属組織はフェライト相単相であり,窒素熱処理による相変態は認められない。また,金属組織中に窒化物の形成は観察されなかったことから,熱処理により,添加された窒素は母材中に固溶されているものと考える。この窒素添加ステンレス鋼の耐食性は未処理材に比べ,改善されているものの,目標の耐食性レベルには到達していない。耐食性向上のためには,窒素の添加量を上げる必要があり,そのためには,前処理により,窒素添加を阻害する不動態皮膜を極力薄くする必要がある。
53【2015年報告】
人工光リーフレタス栽培における日長の違いが生育・品質に及ぼす影響
完全人工光リーフレタス栽培における最適環境条件を明らかにするため,日長の違いが生育と品質に及ぼす影響について検討した。日積算光量(DLI)同一条件下では18時間日長で最も良好な生育を示し,硝酸イオン含量が少なく糖含量が高く品質も優れることを明らかにした。また,光強度(PPFD)同一条件下では20時間以上では生育に差がないことを確認した。
54【2014年報告】
未利用低温排熱利用の発電システムの技術開発
近年,未利用エネルギーを利用した多くの技術開発が行われているが,低温排熱利用については開発が限定的であり,特に200℃以下の熱エネルギーを電気エネルギーに変換することは
実用化が困難である。また,県内でも排熱の有効利用を考えている企業は米菓業や鋳物業をはじめとして多く存在する。そこで,本研究は県内企業,新潟大学,県農業総合研究所食品研究
センター,そして工業技術総合研究所が共同研究体を形成し開発を行った。ここでは,工業技術総合研究所が担当したスターリングエンジンの発電実験とコンピューターシミュレーション
を利用した技術開発について報告する。
55【2014年報告】
樹脂の特性に影響を及ぼす化学構造の解析技術の確立
樹脂の力学強度や表面特性は究極的には分子構造に由来していると考えられる。しかし,樹脂に対しては,局所的な官能基レベルの構造のほか,コンフォメーションや結晶性・配向性,モルフォロジーといったやや粗視的な構造も大きく影響するといわれている。すなわち,樹脂の階層構造の中でマクロな特性はどの構造と深く関係しているかを把握することが重要である。我々は,これまで工業製品のトラブル解析に利用するという観点から,樹脂の加熱段階での構造変化をデータベース化して利用してきた。
今後は,構造分析によって力学特性や耐久性などマクロな特性を予想できるようなデータベース化の構築を目指しているが,上述のような階層構造をとる樹脂に対しては,本アプローチは非常に挑戦的であり膨大な時間を要するものであると思われる。さらに,一つの評価項目でそれぞれの階層構造を俯瞰することは不可能である。
そこで,データベース化の第1 ステップとして,種々の樹脂の赤外,ラマン,X 線回折やSEM 観察を行い,マクロな特性との相関を検討することとした。本稿では,高密度ポリエチレン( HDPE) および低密度ポリエチレン(LDPE)を評価した結果を示すこととした。また,それぞれの測定においても種々のモードで測定を行っているが,本稿では,一部のデータのみを示す。
56【2014年報告】
エネルギーハーベスティング技術研究会報告
エネルギーハーベスティング技術は別名「環境発電」とも呼ばれ,周りの環境(光,熱,振動,電波など)から未利用エネルギーを収穫(ハーベスト)して電力に変換する技術である。
発電量はμW〜W レベルだが,電池や配線の代替えとして国内外で研究開発や製品開発が進められている。このような状況の中,平成24 年度にエネルギーハーベスティング技術の研究会
を開設し,県外の研究機関や企業開発状況,県内企業の動向やニーズなど要素技術や市場状況を調査し,県内企業における技術開発の可能性と,県が取り組むべき課題について検討した。
平成25 年度は,県内企業の参入可能性がある,コンシューマー製品,センサネットワーク,未利用熱の活用を中心に情報収集や県内企業との情報交換を進め,取り組むべき課題について,
より具体的に検討した。
57【2014年報告】
外観検査のためのロボット動作シミュレータの開発
バラ積み状態の鋳鉄品(以下ワークと呼ぶ)の山から1 個ずつ認識してつかみあげ,ラインレーザとカメラで外観を検査する装置を,平成24 年度の共同研究事業で開発した1)。この装置
の課題は,ワークを保持するロボットに小型の6 軸多関節型を使用しているため可動範囲が限られ,ワークの大きさや形状が変わると全体を検査できなくなる場合があることで,その判断
もある程度ロボットを動かさないとわからない。また,ワークが変わるとそのロボット動作プログラムの作成に時間がかかる。
本研究では,ワークの大きさや形状が変わっても,その全体の外観を検査できるか確認するプログラムを開発した。ロボットの可動範囲を測定し,ワークの大きさと形状を入力すると検
査できるか判別できる。また,判別に使ったロボットの位置データを利用し,ロボット動作のシミュレーションが可能となり,どのようにワークを動かしたら全体を効率よく検査できるか
確認できる。さらに,このロボットの位置データを利用することで,検査用ロボット動作のプログラム作成が容易になる。
58【2014年報告】
シンプルな3 次元ビューワによるレリーフデータ製作の効率化
(有)毛利製作所(長岡市)では,切削加工により金属板上に人物像や図柄を描いたレリーフ(図1)を受託製造するサービスを行っている。レリーフの価値はそこに描かれている図柄
にあり,どういった図柄を作成するかがレリーフ製作の重要なポイントとなっている。
レリーフは金属板上の凹凸でその図柄を表現するので,最終的な加工は3 次元データによって加工が行われる。一方,そこに表現される図柄の製作は2 次元+αのデータ(写真データの
ようなもの)を取り扱うほうが,3 次元データを取り扱うよりも簡単である。
毛利製作所ではレリーフの図柄データを作成する際に市販の写真加工ソフトを利用している。写真加工ソフトでは最終的なレリーフの3 次元形状はわからないので,形状を確認するための
無駄な手間と時間がかかっている。そこで,シンプルな3 次元ビューワーを適用し,その工程の効率化を図った。
59【2014年報告】
蛍光X 線分析法による液体試料中の金属成分の定量分析について
当所での蛍光X 線分析による定量分析は,試料調製が容易であり,再現性の良いX 線強度が十分に得られるφ10 o以上の平面を持つ固体状の鉄鋼材料に限定している。
そのため,この条件を満たさない鉄鋼試料や非鉄試料などは,湿式分析やプラズマ発光分光分析(ICP 分析)などにより定量分析している。
また,液体試料の蛍光X 線分析では,専用のろ紙を利用し分析しているため,鉄鋼試料や非鉄試料などは、酸溶解により,液体試料に調製することにより,この分析法(以下,ろ紙法と
略す)を利用できると考えられる1)。
そこで本研究では,これまで蛍光X 線分析で,定量分析の条件を満たさずに対応できていなかった鉄鋼試料に関して,ろ紙法を利用することで,蛍光X 線分析による定量分析が可能かどう
か検討した。
60【2014年報告】
CFRP 成形技術研究会報告
炭素繊維複合材料(carbon-fiber-reinforced plastic以下,CFRP)は,軽くて強い特徴を持つことから,様々な用途で活用が始まっている。航空・宇宙分野で多く使われている熱硬化性樹脂を用いた成形方法は,生産性が低く,オートクレーブを必要とするなど初期投資が大きな負担となっている。このため近年は,生産性,リサイクル性に優れ,初期投資の負担が少ない熱可塑性樹脂を用いたCFRP が注目され,自動車などへの採用も始まっている。
県内においても,市場の拡大が見込まれている携帯情報機器,介護用品,県内で生産している生活関連用品など身近な製品への適用に向けて取り組みが始まっている。また,CFRP を使った製品
開発に取り組みたいという要望が増えており,当所では,企業と連携して熱可塑性CFRP の成形技術や用途探索について調査研究を行った。
61【2014年報告】
炭化綿利用研究会報告
綿繊維を炭化させた「炭化綿」(図1 に炭化した綿繊維の拡大写真を示す)は石炭由来の活
性炭に比べ,その比表面積が数倍を示すことから,吸着性能が高く大変注目されてきている。
本調査研究では,繊維産地としてもなじみの深い綿繊維を炭化させた「炭化綿」の吸着メカ
ニズムなどについて調査研究し,その用途となる市場調査や技術的課題について先進企業調査
や実験を行うことで,新潟県独自の技術開発の可能性を探索することを目的とした。
62【2014年報告】
植物工場研究会報告
今年で3 年目を迎える植物工場研究会では,参加各社の得意技術を活かした製品や技術開発に結びつけることを目標に取り組んだ。研究会のスタイルは,年度当初は少数会員に絞った分
科会をいくつか立ち上げ,有望分野への参入を強化することを考えていたが,平成24 年度まで行っていた全員で聴講するセミナースタイルの要望が高く,本年度も同様の研究会方式を継
続することとした。
研究会の構成は,参加者のレベルに差があり業種も広範囲なため,研究会の構成をテーマ1〜3 に分け,多くの参加者が有益な情報を得られるように心がけた。テーマ1 の目的は「研究
テーマ構築」であり,国などの支援の方向性や企業ビジネスの有望分野などを中心に外部講師によるセミナーを行った。テーマ2 は「会員間のリンケージ加速」を目的として,県内企業の
得意技術をプレゼンテーションしてもらうことで,新潟県オリジナルの植物工場技術や製品開発に取り組んでもらうことを考えた。テーマ3は「植物工場の新技術」で,職員が調査した有
望技術の公表や,大学・民間企業等の新技術の紹介により,新たな事業創造を探っていただくように計画した。
このほかに,植物工場事業の基本となる「培養液管理実習会」を行い,事業参入者や研究技術者の養成支援を行った。
63【2014年報告】
光質の違いがリーフレタスの生育・品質に及ぼす影響
近年,世界中で頻発する異常気象により農作物の安定供給が不安視されていることから,最適環境条件下で周年計画生産が可能な完全人工光植物工場の注目が高まっている。現状で栽培
されている品目はリーフレタスなどの葉菜類が中心となっているが,将来的には栽培品目の多様化・高付加価値化だけでなく,ワクチン生産への応用など超高付加価値製品の生産も本格化
すると予測されており,国内市場だけでなく,中東や中国,ロシア向けを中心に技術の輸出も本格化すると考えられている。そのため,国策として導入推進を図っているが,施設・装置の
設置コストや空調・光照射にかかる生産コストが高いことが課題となっている。
これまで,植物工場用の光源には蛍光灯が主に使用されてきたが,消費電力が少ないため生産コストの低減が期待できるLED が新たな光源として注目されている。しかし,植物栽培用
のLED は高額である。一方で,一般家庭・店舗へのLED 照明の普及により直管型の白色LED 照明の価格は低下傾向にある。しかし,白色系LED と蛍光灯では光質が異なる。赤色
や青色LED を用いた植物栽培に関する報告はされてきたが1~3),白色LED における光質の違いが生育に与える影響は明らかにされていない。
そこで,本研究では,完全人工光リーフレタス栽培における白色系LED 光源の光質の違いが生育に及ぼす影響について検討した。
64【2014年報告】
次世代パワーエレクトロニクス研究会報告
様々なエネルギーの有効活用,特に電力の有効活用が急務となり,最近では太陽光や風力発電など再生可能エネルギーで発電した電力をいかに効率良く使用できる電力に変換するかが重
要となっている。電力利用効率向上の手段として,パワー半導体による電力変換・制御は,すでに多くの場面で行われており,これまでパワー半導体が適用されてこなかった機器への展開
や新たな応用分野が急激に広がることによって,今後もパワー半導体が利用される場面が大幅に増加するものと思われる。
その中で,電力損失がシリコンの1/100 以下,数kV の高耐圧性などパワー半導体として極めて優れた性能を有した材料である炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)の実用化が期
待されている。インバータなどの電力変換装置の適用範囲が鉄道や次世代自動車などの産業をはじめとして極めて広いことから社会全体への波及効果が大きく,様々な産業において成長の
鍵になるものと思われる。
そこで本報告では,新しい材料によるパワー半導体について,その技術動向,市場動向および県内企業の取り組みについて示しながら,一方でそのパワー半導体を実際に扱ってみた事例
や応用製品の試作例を示すことでパワー半導体メーカおよびパワー半導体を利用するユーザの両面から課題抽出を行った。
65【2014年報告】
ナノテク機器利用講習会
昨今の電子機器や光通信,医療機器などの小型化に伴い,微細形状を付与した高機能部品や超精密加工部品が幅広く使われるようになり,これらに対応しうる微細加工技術が重要となり
つつある。現に,国の重点支援技術領域にナノテクノロジーが指定されている。しかしながら本県の主要な製造業である一般機械,精密機械など既存企業の微細加工技術への取組みは,先
端産業であるがゆえの技術習得や導入の難しさ(機器が高額)のため,さほど進んでいないのが現状である。そこで既存産業への微細加工技術の導入および普及を促すことを目的として,
NICOナノテク研究センター機器を利用した講習会を実施した。
なお,本講習会はNPO 法人 長岡産業活性化協会(NAZE)の平成25 年度産業基盤形成支援事業の一部である。
66【2014年報告】
ドラム式洗濯とパルセーター式洗濯の比較調査
近年,日本の家庭における洗濯方法がこれまで国内で主流であったパルセーター式のほか,欧州で主流のドラム式も選べるようになってきた。これを受けて,JIS 規格においても洗濯に
よる寸法変化率の試験方法などにドラム式洗濯を採用するよう見直しが始まっている1)。
今回はドラム式洗濯機(図1 参照)とパルセーター式の洗濯機を用いて,各種繊維素材に対する洗濯試験を実施し,その洗濯方式による布への影響を比較調査することで,洗濯方式の特
徴を把握する。さらには,県内繊維産地における繊維製品の洗濯までを考えたものづくり支援に役立てる。
67【2014年報告】
園芸ハサミの仕様変更にともなう耐久性能評価試験
園芸ハサミで生花や枝を切る場合,一般的な剪定鋏や花鋏が「せん断」によるのに対し,(株)カバサワ製の園芸用ハサミ『スマートシザー』(図1)は両刃の刃物と台座(受け部)
による「切断」で切り離す。(図2)より確実な「切断」効果を実現させるためには刃先と受け部とを隙間なく接触させる必要があるが,現行仕様の受け部は硬質樹脂(ガラス
繊維入りPP 材)であり,隙間を生じやすい。
隙間軽減を目的として受け部の材質を軟質樹脂に変更することを検討しているが,耐久性能が懸念される。
そこで,耐久試験による軟質樹脂製刃受け部の変形挙動を観察した。
68【2014年報告】
鋳鉄の組織と蛍光X 線分析定量値の検討
当センターでは蛍光X 線分析装置による鋳鉄,鉄鋼の定量分析(検量線法)を行っている。鋳鉄の蛍光X 線分析において,蛍光X 線強度は組織の影響を受けるとの報告1) がなされている。本ノートでは,鋳鉄の組織の違いによるけい素(以下Si )の蛍光X 線強度,定量値の違いについて検討を加えた。
69【2014年報告】
植物工場用途を中心とした各種光源測定に関する研究
近年,上越地域では新規事業として植物工場に取り組む事例が見られ1),植物の育成に適した光源について関心が寄せられている。そこで各種光源を植物育成に使用したときの有効性について,相対分光分布の面から検討することを目的に,分光放射輝度計による測定を行った。
70【2014年報告】
マランゴニ流を利用した新しい簡易分離分析手法の開発
工業製品におけるトラブルや食品の混入異物の分析のスクリーニングレベルの向上を目指し,マランゴニ流でサンプル溶液を駆動して,分離をアシストする新しい簡易分離技術を開発した。イメージングシステム,ケモメトリックスを活用することによって,分離が難しい成分を分けることができた。
また,溶液を展開する基板材料は高価な金ミラーを使用しているが,代替として県内企業の技術である電解複合研磨によって鏡面化したアルミニウムやステンレス鋼の利用が可能であることが分かった。ただし,金ミラーに比べて取り扱いに注意が必要であった。
71【2014年報告】
高張力鋼板のプレス成形技術に関する調査研究
近年,環境問題を背景に,自動車の燃費向上が求められ,車体骨格部品などを中心に自動車の軽量化が進められている。その一方で,衝突安全性の確保を図るため,車体骨格への補強部
品の追加などにより車体重量は増加傾向にある。
これらの課題を解決するため,鋼板の高強度化が進められ,高張力鋼板(ハイテン)の使用量が増加するとともに,引張強さ980MPa 以上の冷間プレス用ハイテンや1470MPa 級のホットス
タンプ材など超高張力鋼板(超ハイテン)の適用も多くなっている。
ハイテン成形時の代表的な課題として,成形性の低下,スプリングバックなどに起因する形状不良,金型寿命の低下などがあげられるが,高強度な材料ほど顕著に現れ,その対策が重要
である。
そこで,本調査研究では,「高張力鋼板成形技術研究会」を立ち上げ,ハイテンのプレス成形技術に関する講演会の開催,超ハイテンを中心としたハイテンに関する市場動向,技術動向,
成形のための技術課題およびその対策についての調査を行った。また,成形性向上のための確認試験を行ったので,その結果を報告する。
72【2014年報告】
精密微細加工技術に関する調査研究
医療・バイオテクノロジーやエレクトロニクス機器などの高付加価値産業分野においては,製品の小型・軽量化や高機能化・高精度化により,精密な微細形状を付与した加工品・成形品が要求されている。これに伴い,部品加工を行う企業に対してもより高度な加工技術が要求されるようになってきている。そこで本調査研究では,「微細加工研究会」を立ち上げ,精密微細加工技術について,セミナーによる情報提供,技術動向と企業における技術課題の調査,加工実験による技術蓄積を行い,県内企業の高付加価値分野への参入を促すとともに,共同研究や公募型研究事業への研究課題の提案をすることを目的に活動した。
73【2014年報告】
CFRP 用高性能ドリルの開発
CFRP用の高性能なドリルを開発することを目的とし,ドリルに施すコーティングや形状の検討・試作および試作したドリルを用いて加工試験を実施した。その結果,コーティングの違いにより工具の摩耗状態に大きな差異があることがわかった。また,ドリルの先端角を段階的に変化させ,ドリル外周面付近の先端角を小さくすることで被削材の剥離を抑制できることを明らかにした。加えて,市販の他社製ドリルと比較し,同等以上の性能を有することを確認した。
74【2014年報告】
航空機産業分野における技術調査
日本国内の航空機産業の生産額は,2008 年の時点で約1 兆3 千億円であり,新興国の経済成長に伴い,航空機需要が伸長するため,2020 年には現在の約3 倍の市場となることが
予測されている1)。このような成長産業へ県内企業の進出を促す目的で,県は,平成24 年度より航空機産業参入推進事業を立ち上げ,研究会や共同研究を通して,県内企業に対する情報
提供や研究開発の支援を実施している。
本報では,同事業の中で航空機産業の技術動向を調査する目的で, パリ国際航空ショー2013 において情報収集を行った調査結果について報告する。
75【2014年報告】
各種獣毛断面データの収集
食品業界や精密加工業さらには繊維加工業における製品不良原因の一つとして,繊維状異物の混入が報告されている。例えば,動物の毛が製品に混入した時の場合を考えると,混入した
ものが動物の毛だとわかり,さらに動物の種類を特定できれば製造・流通の工程での異物混入経路について見当がつく場合がある。その場合には,工程改善を行い異物の混入をなくすこと
ができる。
動物系の繊維状異物を鑑別するためには,DNA 判定やタンパク質の質量分析の手法があるが, コストや迅速性などの点において課題となっている。 一方,より迅速かつ明確に判別す
ることができる電子顕微鏡による毛の形態観察といった手法があるが,毛の側面部にある毛小皮は製品の混入前,または混入後の環境により,形状の特徴が失われていることがある。そこで,
外部環境の影響を受けにくく,動物ごとの変化が大きい毛髄質に着目した。
毛髄質の観察方法はおもに2 つの方法がある。1 つ目は生物顕微鏡などを用いて,透過光で毛髄質を観察する方法である。ただし,簡便にできるが,観察倍率が低いことと,透過光で見る
ためにどうしても毛小皮や毛皮質の影響で鮮明な毛髄質が観察するできないことが欠点である。
もう1 つの方法が刃物で毛を縦方向に切断して断面を出して,電子顕微鏡で観察する方法であ
る1-3)。縦方向に切断して,断面を電子顕微鏡観察すると,先ほどの生物顕微鏡の透過光で見た場合の欠点がなくなるため,高い倍率で鮮明に毛髄質を観察することができる。なお,横方向
で切断して観察する場合は,1 度の切断で出すことが可能な毛髄質の断面が狭いことが欠点となる。
そこで,我々は今後の異物混入事案を念頭に,まず地場の企業が良く製造に用いている獣毛についての断面データの収集を行うこととした。
76【2014年報告】
簡易な非接触粗さ測定法の研究
表面粗さは,測定物の表面性状(“つるつる”や“ざらざら”)を表すものである。一般的に表面粗さは,先端が尖ったダイヤモンド製の触針(プローブ)で測定物の表面をならうことにより,表面の細かい凹凸を計測して求める。
しかし,樹脂のように傷がつきやすい測定物に対して上記の触針でならうと表面に傷をつけてしまう。このため,非接触による表面粗さ測定への需要が高まっており,非接触式の粗さ測定機も市販されているが,きわめて高価で普及が遅れている。
さて,物体表面に光ビームを当てたとき,その反射光は表面粗さが大きいほど広がる。この反射光の強度分布は理論上,ガウス分布(正規分布)となることが知られている。このため,反射光の強度分布をガウス曲線で近似して,その曲線の標準偏差で表面粗さを評価する方法が栗田ら1)2)により提案されている。
本研究は,上記方法により反射光の広がりから表面粗さを非接触で測定するための簡易な測定システムを試作して実験を行ったものである。
77【2014年報告】
質感の測定技術・表現技術の研究(第2報)
質感の高い製品を生産するにあたっての企画から設計・製造の流れを改善するための取り組みとしてデジタルプロトタイピング技術の開発に取り組んだ。コンピュータグラフィクスによって正確に外観上の質感を表現するための技術課題として形状のモデリングや質感のサンプリング,背景画像の取得など5 つを検証しおおむね所期の目的を満たすことができた。
78【2014年報告】
超ワイドレンジ型ハイブリッドコントローラの開発
太陽光,風力,小水力などの複数の再生可能エネルギーにより発電した電力をバッテリーに充電し,外部へ出力するハイブリッドコントローラにおいて,より多くのユーザーニーズに対応できるように,入力電圧レンジの拡大を研究の目的として開発を進め,0〜400V までの入力が可能なコントローラを開発した。また,ハイブリッドコントローラの性能評価用テストベンチを開発し,電力変換効率計測,EMC 計測を行った。さらにマイクロ風力発電機によりフィールド試験を行い製品化を目指した。
79【2013年報告】
エネルギー関連分野における表面機能性付与技術に関する調査研究
東日本大震災を受け,エネルギー政策の方向性として,原発依存度を低減し,化石燃料依存度を下げるべく,省エネルギーを進めるとともに,再生可能エネルギーや蓄電システムなどにエネルギー構造の重点を大きくシフトしていく。
その際,エネルギー需給においても,個々がエネルギー生産者として再生可能エネルギーや蓄電システムを駆使することで,分散型エネルギーシステムに転換していく方向性である1)。そこで蓄電池や燃料電池の果たす役割および必要性が重要度を増している。
新潟県では,めっき,化成処理,研磨,洗浄,熱処理,塗装など様々な表面処理技術に関連する企業が多く,基盤産業となっている。これら表面技術は,ニーズの多様化,環境問題,安全性など「ものづくり」を行ううえで製品には必要不可欠である。しかし,近年,産業グローバル化に伴う海外製品との性能・価格競争も激化しており,いかに品質の高い製品を安定して製造していくかが鍵となっている。また,新たな分野への対応に関しても課題となっている。
そこで本調査研究では,需要が急拡大している蓄電池や燃料電池に関する現状を把握し,市場・技術動向や技術課題を調査するとともに,県内企業における表面機能性付与技術シーズの適用可能性を探り,新たな分野への対応として,研究テーマ提案を目的として行った。
活動内容は市場・技術動向調査,県内外企業調査,課題抽出,要素技術研究,研究テーマ提案である。
80【2013年報告】
分光分析におけるイメージング測定と解析技術の研究
イメージングとは元素や物性など面内での分布を可視化する技術である。可視像と一致した情報が得られたり,可視像では判別できない違いなどを発見できるといったことから,様々な分析手法でイメージング測定は行われるようになってきている。近年,装置能力の向上によって,赤外分光分析やラマン分光分析といった分光分析の分野でもイメージング測定が普及してきている。こういった分析では,電子線マイクロアナリシスや蛍光X 線分析で得られる元素情報ではなく,化学構造の情報が得られるため,異物や付着物,変色などの製造現場で発生する様々なトラブルの解決には欠かせないものとなっている。
そこで本研究では,昨年度導入した顕微赤外イメージングを使用し,得られるイメージングの測定方法やその解析技術について検討を行った。また,ラマン分光分析についても検討を行った。
81【2013年報告】
リン酸イットリウム共沈分離
誘導結合プラズマ発光分光分析は各種元素の定量に幅広く利用されている方法である。その中で,金属材料中に含まれる微量元素を定量する場合,マトリックス成分の影響で定量値の正確さ,精度の低下が問題となってくる。一般に,マトリックス成分の影響を補正するために検量線溶液にマトリックス成分を追加して定量を行うが,ppb レベルになると,マトリックス成分の分光干渉により,その目的元素のピーク検出が不可能となる。その場合には,共沈法などを用いてマトリックス成分を含む試料溶液から目的元素の分離・回収操作を行い,目的元素を定量することが行われている。
そこで,近年研究が行われているリン酸イットリウム共沈分離法1),2)により,銅中の微量鉛の定量について検討を行った。
82【2013年報告】
文化財収蔵庫向け桐建材の有機酸ガス濃度評価
加茂市およびその周辺は桐箪笥全国シェア7割を占める桐製品の産地であるが,桐材の特性を活かした新たな用途展開を試みる企業も出てきている。その中で文化財収蔵向け桐建材の開発に取り組む企業から文化財保管に適した建材の評価について相談を受け,原木や後処理の異なる桐建材について,文化財劣化の要因となる放散ガス濃度の比較評価を試みた。
文化財保存環境においては,有機酸ガス濃度175ppb を基準値,80ppb 以下を推奨濃度とし,アンモニアガス濃度30ppb を基準値・推奨濃度にしている1)。近年,精密分析以外の簡易試験
法として,ガステック社製パッシブインジケータRを用いて検知剤の色の変化からガス濃度を判定する方法を採用する収蔵施設も増えつつあり,有機酸インジケータの変色傾向と精密分析による酢酸およびギ酸を合計した放散量とが概ね一致することも確認されている2)。
そこで本研究においてもパッシブインジケータRを用い,木材からの放散が懸念される有機酸ガス濃度について試験を行うこととした。
ただし,通常はインジケータが完全変色するまでの日数で濃度を判定するが,本研究では48時間後の色調を測色して濃度を割り出すこととした。また,使用予定の接着剤については,ガ
ス検知管で放散酢酸ガス濃度を測定した。
83【2013年報告】
電力変換研究会報告
東日本大震災を経験した日本において,エネルギー,特に電力の有効活用が急務となっている。それには,太陽光や風力等再生可能エネルギーで発電した電力をいかに効率良く,使用できる電力に変換するかが重要となる。そこに必要な技術が,「電力変換技術」である。電力変換とは,直流から交流への変換および交流から直流等への変換動作を指し,別名:パワーエレクトロニクス(以下パワエレ)と言われる。電力変換は,電気で駆動する機器にはいずれにおいても必要な技術であり,応用範囲は広い。
本研究会は,このように応用範囲が非常に大きく,今後,その重要性がますます高まっている,電力変換関連市場への参入を目指す,県内中小製造業を対象としている。
そこで本報告では,電力変換について,その技術動向,市場動向を示し,さらに(株)東芝の新型Li イオン電池のSCiB を利用した試作開発について示しながら,電力変換技術をメインで扱う機器を製造するメーカおよび電力変換技術を機器の一構成要素として扱うユーザの両者の面からの課題抽出を行っている。
84【2013年報告】
鎚器銅器の形状モデリングと質感サンプリングに関する研究
鎚起銅器には多様な形状の製品があり表面修飾も多岐にわたる。その企画・設計時に高品位なCG 画像を用いることで設計品質を高めることができると考え写実的CG によるデザインレビュー手法の技術開発に取り組んだ。
昨今は高品位なCG 画像を生成できるレンダリングソフトウェアが容易に入手できるようになったがそれによって画像を生成するためには形状データと質感データ(テクスチャ)が必要であり,それらはユーザーが独自に用意する必要がある。ここでは製品の形状と質感を取得して再現するための技術を開発した。
以下,2.には研究内容,3.には研究結果を記し,4.でまとめる。
85【2013年報告】
航空宇宙分野参入研究会報告
日本国内の航空機産業の生産額は,2008 年の時点で約1 兆3 千億円であり,新興国の経済成長に伴い,航空機需要が伸長するため,2020 年には現在の約3 倍の市場となることが予測されている1)。このような成長産業へ県内企業の進出を促す目的で,新潟県は,平成24年度より航空機産業参入推進事業を立ち上げ,研究会や共同研究を通して,県内企業に対する情報提供や研究開発の支援を実施してきた。
本報告では,同事業の中で実施した「航空宇宙分野参入研究会」の活動について報告する。
86【2013年報告】
簡易な非接触真円度測定法の研究
真円度測定は,機械部品などについて円形状であるべき部分が幾何学的な円からどの程度ずれているかを測定するものである。一般的に,精度を要する真円度の測定は真円度測定機で行われている。
当センターの真円度測定機の外観を図1 に示す。図1 において,測定物の中心軸は,測定機の回転テーブルの中心軸と一致するようにあらかじめ調整されている。真円度は,回転テーブルを一定速度で回転しながら,測定子を測定物に押し当てて,テーブルの回転角と測定子の変位を同時に計測し,得られたデータを処理することによって求める。
上記のように,一般的な真円度測定機は測定物に測定子を押し当てて測定するため,測定子を押し当てる力で測定物が変形する薄肉部材や軟質材料の測定には適さない。このため非接触で測定物の変位を測定する方式の真円度測定機も市販されているが,きわめて高価であり当研究所では未整備である。これまでに,当センターに薄肉部品や軟質材の部品などの真円度測定に関する相談があったが,十分な対応ができなかった。
本研究では,真円度測定機に市販の非接触変位計を取り付けて測定物の形状を測定し,得られた形状データを数値処理して真円度および円筒度を求めるプログラムを作成した。さらに,非接触変位計による方法と通常の測定子による方法により,同一の測定物を測定して値を比較した。
87【2013年報告】
繊維に付着した鉄に対する発色試験および機器分析の比較検討
繊維製品の変色に関する相談の中で,鉄に起因した事例が多く発生している。鉄も含めた重金属の場合は,走査型電子顕微鏡に付属のEDS(エネルギー分散型X 線分析装置)を用いて確認しているが,付着量が少ないなどの理由により検出に至らなかったことも多々ある。
鉄の確認方法としては,フェロシアン化カリウムを用いた発色試験が有効かつ簡便な手法として知られている。本報告では,発色試験および機器分析(EDS,蛍光X 線分析)で判別比較を行い,それぞれの有用性について検討を行った。
88【2013年報告】
ナノテク機器利用技術講習会
電子機器,光通信,医療機器の小型化に伴い,微細形状を付与した高機能部品や超精密加工部品の利用拡大が進んでいる。これらに対応しうる技術に,ナノテクノロジー(物質をナノメートル[1nm=10-9m]領域で自在に制御する技術)があり,国の重点支援技術領域に指定されるなど製品の高付加価値化を実現する技術として期待されている。しかしながら,本県の主要な製造業である一般機械,精密機械等既存企業の取組みは,先端産業であるがゆえの技術習得や導入の難しさ(機器が高額)のため,進んでいないのが現状である。そこで,既存産業へのナノテクノロジー技術の導入,普及を図るため,NICOナノテク研究センター機器を利用した技術講習会を実施した。
なお,本技術講習会はNPO 法人 長岡産業活性化協会(NAZE)の平成24 年度産業基盤形成支援事業の一部である。
89【2013年報告】
絣織機製織に関する簡易電子補助装置の開発研究
県内の絣織物は,十日町・小千谷・塩沢の各産地で,年間数億円の規模で生産されている。
数年前から,各地域の絣織り就業者の高齢化がますます進んでいることや,模様の施された緯糸を一本一本織込んで行く製織作業が辛苦なことから若年の新規就業者がほとんど無い状況にあり,近い将来県内での絣織物の工業的生産が困難になることが懸念されている。
このため未経験者でも容易に作業に従事でき,かつ作業疲労度を軽減する製織支援装置の開発が喫緊の課題となってきている。
90【2013年報告】
質感の測定技術・表現技術の研究
伝統工芸品を始めとして工業製品でも,質感が外観上重要な位置を占める製品の企画・設計から製作において,質感の測定や制御がうまく定量的に行えないため,官能的あるいは印象的に取り扱わざるを得ず様々な障害が発生している。例えば,工程間やメーカーユーザー間の意思疎通が十分できなかったり品質の安定性を定量的に計ることができなかったりということがある。
機構部品の設計・製造において3 次元形状の寸法や強度などの共通尺度が必要なように,質感部品の設計・製造においては質感を表現する共通尺度が本来は必要である。従来は客観的な共通尺度が無いままに主観尺度のみに頼ってきたことによりコミュニケーションの齟齬が発生したり,計測・制御が属人的・官能的になるという状況に陥っていたと考えられる。従って客観的な共通尺度やデジタルデータによる質感管理体制(Texture Management System)の構築を志向し,当面の課題としてそのための質感尺度の計測技術,表現シミュレーション技術の開発を目指している。当該技術の運用によるメリットは以下のとおりである。
・ 定量的な客観尺度やコンピュータシミュレーションした精細なデジタル画像によりコミュニケーションギャップが減少する。
・ 実体の数値管理が可能になり,計算機シミュレーションとの対比が可能になる。
・ 制御条件と測定データの関連付けにより品質管理を自動化できる。
・ 生成したデジタルデータを企画・開発・製造・品質管理・販売の部門間に跨って利用できる。
一方,デメリットは以下のとおりである。
・ 客観評価のための測定器の導入が必要。
・ 既存のワークフローと異なるために導入や運用に際して心理的障壁が伴う。
工技総研でこれまでに導入した設備(多角度分光測色計とリアルタイムレンダリングシステム(高速で写実的なCG システム)により,質感測定と質感表示について一部実現のめどが立ったがまだ実現しなければならない課題が多いため2 か年計画で研究開発を行うこととした。
91【2013年報告】
MSE 法による鋼の表面物性評価
MSE(Micro Slurryjet Erosion)法は, (株)パルメソで開発された表面物性の評価法である。材料表面に微細粒子を投射し摩耗を発生させ, 摩耗進行速度が材料強さに応じて異なることを応用して材料表面の強さを計測する。強さの指標は「摩耗率」という新しい指標で表すことができ,高速に投射された粒子量(g)を分母に, そのとき発生した摩耗深さ(μm)を分子にし, 単位粒子量当りの摩耗深さとして表している。投射力, 粒子量の精密制御や摩耗痕プロファイルの精密測定により薄膜などの極薄い層の評価ができる点が大きな特徴である。そのため, 多層薄膜の各層の摩耗率を計測することで層別の評価をおこなうことができる。
本研究では, このMSE 法で鋼, 銅合金を評価し, 従来からの耐摩耗性の指標である硬さとMSE 法による評価との関係を調べる。両者に相関があれば, 従来は難しかった鋼, 銅合金の極表面層の硬さによる評価と同等な評価法としてMSE 法を適用することができる。
92【2013年報告】
エネルギーハーベスティング技術研究会報告
エネルギーハーベスティング技術とは別名「環境発電」とも呼ばれ,周りの環境(光,熱,振動,電波など)から未利用エネルギーを収穫(ハーベスト)して電力に変換する技術である。
発電量はμW〜Wレベルだが,電池や配線の代替えとして国内外で研究開発や製品開発が進められている。特に,近い将来,様々なモノやセンサがネットワークに繋がる「モノのインターネット化」が進むことが予想され,その独立電源としてエネルギーハーベスティング技術の利用に期待が高まっている。
このような背景の中,県内企業がエネルギーハーベスティング技術を活用した高付加価値製品の開発に繋げる方策を検討するため当事業を開始した。まずは情報提供するためセミナー形式の研究会を開催するとともに,県外の研究機関や企業におけるの開発状況,県内企業の動向やニーズなど要素技術や市場状況の調査を行い,県内企業における技術開発の可能性と,県が取り組むべき課題について検討を行った。
93【2013年報告】
CFRP 成形技術研究会報告
炭素繊維複合材料(以下CFRP と呼ぶ)は,航空宇宙や風力発電用途などで活用されているが,近年では環境・エネルギーの観点から,自動車をはじめとする産業用途のほか,ロボット,医療機器,スポーツ用品,電気機器など多岐にわたり活用が見込まれている1)。現在広く利用されているものは,母材に熱硬化性樹脂を用いるものであるが,強度や耐熱性に優れているものの,成形サイクルが長く,設備費や材料コストも高いことから,大量生産が必要な用途には適用が難しく,用途が限定されていた。
こうした中,近年では母材に熱可塑性樹脂を活用した成形技術が注目されているが,実用化には多くの課題があるといわれている。そこで本事業では,熱可塑性樹脂を母材とするCFRP について技術的課題やニーズを調査し,県内企業が得意としている金属の塑性加工技術の適用の可能性について検討を行うとともに,開発テーマを提案することを目的に活動を行った。
94【2013年報告】
塑性加工を用いた軽量化技術の調査研究
新潟県には,金属製品や生産用機械関連で金属の塑性加工や機械加工などを行う多くの企業が集積している。しかし,新興国の追い上げや継続的な円高により,電子部品・デバイスや輸送用機械などを中心に海外流出が続いており,グローバルな競争に打ち勝つ技術の導入が不可欠になっている。工業製品にはその製品の本来必要とされる機能以外に,可搬性の向上やエネルギー消費量の削減のために軽量化が要求されることが多い。図1 に軽量化の要求が強い製品群の例を示す。介護福祉関連機器や携帯端末,タブレット端末など重量に比較して単価の高い製品では,アルミニウムやマグネシウムなどの軽量合金やプラスチックなどの軽量材料を多用する。航空機では,消費する燃料が膨大であるため,軽量化に比較的大きなコストをかけても
総合的にみればコストを削減することが可能になるため,高価な素材や工法を取り入れることが可能であり,アルミニウム合金やCFRP などを多用している。
自動車は,車体重量の増加に伴い燃料消費が多くなるため,車体重量の低減は大きな課題である。しかし,電気自動車(EV)や近年急速に販売が伸びているハイブリッド自動車(HV)では,電池やその他部品の重量の割合が大きく,従来の自動車に比べむしろ重くなる傾向にある。
自動車は軽量化と安全性の確保を両立させるため,鉄系の低合金鋼である高張力鋼板(ハイテン材)が積極的に採用され始めている。この素材は,マグネシウム合金に匹敵する比強度を持ちながら,比較的低価格で入手できることから,自動車産業以外でも注目されている。
また,複数の部品を一体化することで,軽量化することのできる冷間鍛造の一種である板鍛造が注目されている。板鍛造は,鋼板を順送りプレス加工またはトランスファープレス加工によって冷間鍛造する技術であり,軽量化のみならず切削加工や粉末成形など他工法からの置き換えも可能であり,大幅なコストダウンを実現できる可能性がある。
本調査研究では,県内の金属製品製造業者が現有のプレス製造ノウハウを適用して,ハイテン材や板鍛造などの加工プロセスを獲得するために必要な課題などについて調査を行った。
95【2013年報告】
ワイドレンジカメラを使用した三次元形状測定装置の開発
平成22〜23 年度の事業でニッパの刃付け作業の技能伝承を支援する装置を開発した。この装置は,ニッパの刃の表側の三次元形状を変位センサで測定し,作業者が刃付けをした部分の熟練度を数値にして表示する。作業者はこの値を参考にすることで技能を円滑に習得することができる。一方,県央地区の金属加工業では,製造した金属製品の三次元形状を現場で短時間
に測定したいという要望がある。作業工具を製造している企業では,仕上げを人手で行っているが,その前行程では機械で加工しており,その精度測定に技能伝承支援装置を使えないか,との要望があった。
本研究では,レーザー光とワイドレンジカメラを使用し,金属製品の三次元形状を高速に測定する装置を開発した。市販のセンサと違いレーザー光の画像を直接処理できるため,市販のセンサでは測定が困難だった対象も測定可能となった。
96【2013年報告】
植物工場研究会報告(第2 報)
天候に左右されず,安全・安心な農産物の周年供給を可能とする植物工場が注目されている。
植物工場研究会は,新潟における植物工場の可能性について調査研究し,植物工場設備に関して技術開発を行うことを目的に活動を行っている。ここでは,平成24 年度の活動報告と,新たに実施した「キャビネット式植物工場実証事業」について述べる。
97【2013年報告】
産業資材の紫外線照射による強度劣化とその予測
農業や屋外で用いられる産業資材(図1)は,太陽光下で長時間放置されると変色や強度低下が発生する。一般にこのような素材の耐久性評価は,耐候試験機を用いて可視・紫外線光照射前後における変退色や強伸度試験により行っているが,試験が長期にわたるといった課題がある。
そこで,比較的短い照射時間後の強伸度試験結果から,所定時間照射後の強伸度を外挿する試験法の実用化を目的に,いくつかの試料について照射時間と強伸度との相関分析を行い,外挿法の適用可能性について検討した。
98【2013年報告】
超音波キャビテーション処理により形成される表面加工層の評価法に関する研究
水中におけるキャビテーション崩壊圧を金属材料表面に作用させることにより,表面の塑性変形を引き起こし,圧縮残留応力を付与できることが示されている1)。類似したプロセスとしてショットピーニングなど,固体粒子を表面に衝突させ,表面に塑性変形を与える方法がある。
固体衝突による著しい塑性変形により形成された結晶粒破壊を伴う組織変化と比較すると,キャビテーション処理では,個々の気泡の衝撃圧は強力であるが,気泡サイズがショットに比べて非常に微細なため,金属顕微鏡観察では塑性流動層のような顕著な変形が認められず,表面残留応力付与や断面硬さ測定で間接的に評価されるにとどまっている。顕微鏡的に塑性変形のメカニズムが明らかでない一方で,SUS304 圧延薄板に対し超音波キャビテーション処理を施すことにより引張疲労強度を向上させる効果が実験的に示されている2)。
そこで,静的な強度向上に寄与するような結晶粒の微細化など組織変化ではなく,繰り返し動的負荷における疲労特性向上の効果が認められる微視的なひずみ状態の評価方法を検討した。
このような微視的なひずみは,動的再結晶などによる結晶粒の微細化の前段階である転位の増殖から2 次すべり系の活動による転位の絡み合い,さらには亜粒界などサブストラクチャー形成の段階と考えられ3)4),結晶粒内における微視的なひずみ領域の評価法が必要となる。
このような評価はTEM を用いることで可能と考えられるが,試料片の作製など観察に熟練が必要なこと,高分解能な反面,極微細な領域しか評価できないことから,より汎用的な方法が望まれる。
本研究では,このような微視ひずみ領域の評価法として,結晶塑性の初期段階である転位の増殖,すべり変形,サブストラクチャー形成に伴って起こる結晶方位の回転を捉えることが有効であると考えた。結晶方位の測定法としてEBSD による方位測定が挙げられるが,近年普及は進んでいるものの,まだ汎用的な分析方法とは言い難い。そこで, SEM のCOMPO 像,FIB のSIM 像による方位コントラスト観察とEBSD 解析を比較し,より簡便で汎用的な微視的加工層評価方法を検討した。
99【2013年報告】
超微細成形技術によるシート型微小針アレイの開発(第3報)
医療機器産業では,患者の肉体的・精神的負担の軽減などの観点から,注射針を使用したときの
痛みや皮膚ダメージなどの軽減が求められている。
本研究では,プラスチック成形技術を高度化した超微細成形技術を用いて,無痛・低侵襲のシート型中空微小針アレイを開発する。
MEMS プロセスで,多数の微小突起をシリコン基板上に一括形成し,これをマスター基板として電鋳した後,超精密切削加工機で穴あけなどの微細加工を付加することによって成形金型を作製する。
マスター基板の作製について,昨年度まではドライエッチングでシリコン基板の表面に微小突起を形成する方法を検討した。1),2)今年度は,MEMS 分野において,主に高アスペクト比構造体の形成に用いられる化学増幅型の厚膜フォトレジスト(以下,単にレジストと呼ぶ)を利用した突起形成プロセスを検討したので報告する。
100【2013年報告】
力覚モニター付バフ研磨機の開発
バフ研磨作業において作業者がワークを押し付ける力とその際にバフとの間に発生する摩擦力をリアルタイムに計測,作業者にフィードバックすることが可能なバフ研磨機を開発した。まず,研究用試作機を開発することにより,研磨時において主軸に作用する荷重を計測する軸受機構およびモータの電流変化を基にした軸トルク推定手法を確立し,実験によりこれらの妥当性を確認した。これらの結果を基に,研磨現場で実証試験を行う実証用試作機を製作した。
101【2013年報告】
セルロースを効率よく分解する触媒組成の探索(第2報)
筆者らは昨年度,「セルロースを効率よく分解する触媒組成の探索1)」として,セルロースの迅速熱分解法にある種の金属塩を適用することにより,10 数種類におよぶ分解生成物がフルフラール(Furfural)単一の生成物になることを報告した。今回,筆者らは基質のセルロース材料に適用する触媒量と,反応温度を適宜調整することにより,Furfural への変換が完了せず,熱分解物との混合物になる条件を検討し,前回報告したZnCl2 に加えて,ZnSO4 およびFeCl3 を触媒として用いた時のセルロースからFurfural への変換効率を比較した。
102【2013年報告】
新しいナノ切削装置によるソフトマターの表面構造解析
新しいナノ切削装置によりポリマーなどのソフトマターの表面構造解析法を検討した。汎用表面構造解析法であるATR 法に比べて,より表面を詳細に解析できる可能性があることが分かった。また,切削のせん断応力による「フレックス状態」を解析することで分子間の相互作用解析ができる可能性があり,ポリカーボネートの疲労試験プロセスの解析に適用した。
103【2013年報告】
バラ積み鋳鉄品の自動ピッキングシステムの開発
鋳鉄品の外観検査工程の自動化システムの完成を目的に,検査工程への鋳鉄品供給機構として,バラ積み鋳鉄品の自動ピッキング(つかみあげる)システムの開発を行った。システムはバラ積みからの取り出し部,鋳鉄品の整列部で構成した。取り出し部は,三軸直交ロボットをベースとして,距離
画像センサにより鋳鉄品を認識させ,電磁石によりピッキングする機構を開発した。整列部は,ロータリーシリンダを用いる機構とした。また,鋳鉄品の外観検査プログラムについては,二次元画像による検査を三次元形状を測定して欠陥を判別するように改良し,検査精度の向上を図った。
104【2013年報告】
超微細成形技術によるシート型微小針アレイの開発
医療機器産業では,患者の肉体的・精神的負担の軽減などの観点から,注射針を使用したときの
痛みや皮膚ダメージなどの軽減が求められている。
本研究では,プラスチック成形技術を高度化した超微細成形技術を用いて,無痛・低侵襲のシート型中空微小針アレイを開発する。
開発する微小針は樹脂製であるため,金属製針に比べて外力の影響を受けやすいことが懸念される。そのため,皮膚に穿刺した際の挙動はどうなるのか,変形または破壊はどの程度の荷重で起こるのかを把握しておく必要がある。
昨年度は,中間試作段階のポリプロピレン製中空針および金属針(非中空)の刺通特性について報告した1)。
今年度は開発の最終段階として, 長さ1.2mm の針をポリグリコール酸(以下,PGA)を用いて成形した(図1)ので,この成形品について刺通特性試験(押し込み荷重試験)および曲げによる強度試験を行った。
なお,本報告で試験した成形品は,研究プロジェクト全体の中でMEMS プロセスと同時進行した,機械加工による黄銅マスター型を利用して成形されたものである。
105【2013年報告】
汎用クロム系ステンレス鋼の窒素吸収処理に関する研究
特殊な添加元素を含まない汎用ステンレス鋼のひとつであるFe-16〜18mass%Cr(以後、Fe-16Cr)の窒素吸収処理に関する研究を行った。素材を窒素雰囲気・高温で処理することで,窒素(N)を添加する。Fe-16mass%Cr にN を添加すると表面部から窒素が吸収されて相変態し,硬い窒素吸収層(改質層)を形成する。この層の厚さは処理温度・時間と相関がある。この層をX 線回折により解析したところ,オーステナイト相とマルテンサイト相の2 相から成り,窒素含有率は0.6wt%前後であった。
塩化第二鉄腐食試験を実施したところ,耐食性はオーステナイト系ステンレス鋼であるFe-18Cr-8Niに匹敵することを確認した。
106【2012年報告】
高信頼制御技術研究会報告
医療・福祉・自動車・産業機械など,多くの産業分野における製品には,年々進む高機能化への対応と共に,高い信頼性が要求される。また,製品の高機能・高信頼を実現するため,組み込まれるソフトウェアは年々大規模化する傾向にある。限られた期間でいかに信頼性の高いソフトウェアを開発するかが大きな課題になっている。製品の高信頼化を実現し,質の高い製品開発を行うには,組み込まれる電子制御技術および開発手法の高度化が不可欠である。
そこで,制御技術に着目し,高信頼というキーワードの下で,県内企業が今後何をすべきかを調査・議論するため,昨年度本研究会を立ち上げた。
昨年度の研究会活動の結果,企業によって対象業種・開発規模・開発環境・開発体制などの要因は異なるが,ソフトウェアの開発規模が増大する一方,短納期開発に対応しなければならず,その上で信頼性向上を実現することが共通の課題であるとわかった。特に,ソフトウェアの管理技術・設計技術,国際規格対応などについて,具体的な事例,対応方法の情報獲得およびそれを実現する体制作りが共通のニーズであることがわかった。
今年度の研究会では,上記ニーズを踏まえ,ソフトウェアの標準化・管理・設計などソフトウェア開発プロセスの改善にテーマを絞ってセミナーおよび意見交換会を開催し,課題解決に向けた具体的取り組み方法について議論した。
また,各社の制御技術の現状とニーズや市場動向を調査した。さらに,企業の組込みシステム開発を支援するための当研究所の体制整備について検討した。
107【2012年報告】
質感エンジニアリング研究会報告
本研究調査では製品や部材の付加価値向上に資するため,(i)機能性や信頼性あるいは価格,短納期などの産業価値以外の感性価値のうち特に質感をどのようにして向上すればよいか,(ii)目標とする質感表現を実現するためにどう設計し,(iii)どう製造すればよいか,(iv)どう検査すればよいかという問題を設定し,昨年までの感性工学研究会の調査に引き続き,技術調査と事例研究そして技術啓蒙を行った。
性能・信頼性・価格による差別化が困難となってきた現在では意匠性,質感などの感性価値の向上が製品や部材などの付加価値の向上につながるひとつの切り口であると考えられる。しかし,デザイナーやユーザーが好ましいとする意匠や質感を的確に示し,製造者とその双方が正しく理解し合うことは困難である。そして製造業者がそれを製品や部材として実体化することができなければ付加価値向上には繋がらない。正確に質感を伝え合える情報が必要であり,その情報に基づいて製造条件を導き出し製造する仕組みや,出来上がった製品の質感を測定する仕組みが必要である。この研究会では,どういうデザインの商品が売れるかとか今年の流行色は何かというデザイナーやユーザーが関与する嗜好の話題には積極的には取り組まず,指定された高意匠性あるいは高質感の製品や部材を設計,製造する際のメーカーの課題解決に関する話題について取り組んでいる。機構部品の強度に関して目標値と許容誤差範囲があるように,意匠性や質感にも目標値と許容誤差範囲が存在し,所定の意匠性や質感を得るための製造パラメータの管理・制御が不可欠である。まずは,製造した結果としての質感についての計測やデジタル表現の実現を目指し,続いて原因となる製造条件へのフィードバックの実現を目指す。
質感を有する製品の製造における現在の状況は,新潟県内企業に限ったことではなく多くの国内企業では以下のような状況であると言われている。例えば機構部品の設計製造において,現在ではCADやCAMなどのシステムが普及し正確なデータで構造が表現できるために寸法や形状の情報交換で間違いの入る余地は少ない。ところが従来はモックアップ(試作見本品)や三面図だけを渡されて同じように作ってくれという話が横行していた。官能評価に重きが置かれてきた質感製品について日本においては現在もそれと同じ状況が続いてこのままでは世界に遅れをとってしまうという危惧がある。例えばDIN6175-2,ASTM E2194などの客観的なデータで質感を表現すれば機構部品と同様に数値で設計値の情報交換ができるが,多くの場合にはそれには至っていない。外観の設計製造にも機構の設計製造と同じように数値管理が出来る状況をつくりたいというのが本研究会の趣旨である。
以降の章では,動向調査の結果と関連技術の概要について述べた後,全体をまとめる。
108【2012年報告】
超微細成形技術によるシート型微小針アレイの開発(第2報)
医療機器産業では,患者の肉体的・精神的負担の軽減等の観点から,注射針を使用した時の痛みや皮膚ダメージ等の軽減が求められている。
本研究では,プラスチック成形技術を高度化した超微細樹脂成形技術を用いて,無痛・低侵襲のシート型中空微小針アレイを開発する。微小針の数は1シートあたり10〜20個を想定しており,成形金型の作製には,多数の微細形状を一括して形成できるMEMSプロセスと超精密切削加工を用いる。
本報ではMEMS加工による微細突起形成,微小針の刺通性評価,およびシリコンの超精密切削加工について検討を行った結果について報告する。
109【2012年報告】
素形材研究会報告
鍛造は,金属材料に力を加えて形を変える(造る)とともに金属組織を緻密均一化する(鍛える)加工法であり,自動車や建設機械,産業機械から包丁やはさみ等身近な刃物まで多くの工業製品に適用され,ものづくりには欠くことのできない基盤技術の一つとなっている。
古くから利用されており基本的には成熟した技術ではあるものの,品質・コストに対する要求はますます厳しくなっていることから,技術や技能の向上に対する積極的な取り組みが求められている。
新潟県は県央地域を中心として鍛造加工を行う企業が集積しており,鍛造業の全国組織である社団法人日本鍛造協会には新潟県内28社が加盟している。これは大阪府(29社)に次ぐ規模で愛知県(26社)よりも多い。この3府県で協会加盟社の半数を占めており,新潟県は全国でも有数の鍛造加工集積地といえる。
鍛造と共にものづくりには欠くことのできない金属熱処理についても,東日本の熱処理業者の団体である東部金属熱処理工業組合の加盟81社中10社が新潟県内に事業所を持ち,神奈川,東京に次ぐ数となっている。さらに組合非加盟の企業や専業ではなく社内で製造工程の一部門として熱処理を持つところも多く,県内の熱処理に関係する企業は相当数に上る。
このように鍛造や熱処理は新潟県の製造業において重要な位置を占めているといえる。
今年度は昨年度に引き続きこの鍛造技術を中心に取り上げ,熱処理技術も含めた形で「素形材研究会」として,鍛造技術と熱処理技術をキーワードにセミナー開催や専門家による技術相談などの事業を行った。
110【2012年報告】
EV技術研究会報告
EV技術研究会を始めて3年になる。当該事業を開始した平成21年度から,この3年の間においても,様々な出来事があり,EVなど新エネルギーを巡る環境も大きく変化した。本事業開始当初から,地球温暖化対策および石油資源の枯渇による原油価格の不安定性を背景として,自動車の脱石油化が叫ばれていたが,昨年3月に発生した東日本大震災を契機に,新エネルギーおよび再生可能エネルギーへの関心はさらに高まっている。そこで,動く電池としてのEVにも注目が集まっている。そこで,本調査では,自動車としてのEVはもちろんであるが,スマートグリッドやスマートハウスについても,調査を行い,競争的資金獲得への動きを進めながら,それらへの参入可能性についても検討を加えた。
111【2012年報告】
植物工場研究会報告
近年,日本の農業問題がクローズアップされている理由として,海外からの安価な農産物の輸入,食糧自給率の低下,農家人口の減少や高齢化が上げられる。そこで昨今,安全・安心な農産物の周年供給を可能とする植物工場が注目されている。
本研究会は,昨年の「排熱利用研究会」より提言された新エネルギーを利用した植物工場の可能性について調査研究し,植物工場設備に関し技術開発を行うことを目的とする。
112【2012年報告】
ヘキサンを用いたクロメート廃液中の油分抽出法
県内のめっき専業者において,クロムメッキ廃液へアルカリ脱脂廃液を誤って混ぜた廃液(以下,混合メッキ廃液)に還元剤が添加されたまま,その後処理されずに長期間放置されていたため,この混合メッキ廃液中に分散していた油分が一部固化浮上し,液面を部分的に覆っている状況にあった。
当該めっき専業者では,混合メッキ廃液中の油分除去について一般的なフィルターの利用を検討したが,硫酸とクロム酸を豊富に含むため使用できなかった。(実際にこの液が付着したフィルター素材は著しく劣化した。)そこで耐薬品性を考慮して,活性炭の利用による油分除去について検討することを提案した。
本研究では,活性炭として油分吸着用に販売されている進展工業株式会社製オイルワイパーR(以下もみ殻活性炭と略す)に着目した。混合メッキ廃液にもみ殻活性炭を適宜添加して,JIS K0102の24ヘキサン抽出物質1)に準拠した抽出操作を行い,油分除去効果を比較した。
113【2012年報告】
ねじ締結体の振動試験
ねじ締結は,部品同士の結合に広く用いられている。ねじ締結によって,ボルトには引張力が,被締結物には圧縮力がそれぞれ働く。これら引張力や圧縮力を締め付け力と呼ぶことにする。外力に対して締め付け力が十分な場合は,外力が作用してもねじが緩んだり容易に疲労破壊したりすることはない。しかし,ねじの締め付けが不十分であったり,激しい衝撃などの過大な外力が作用すると,締め付け力が低下してねじが緩みやすくなる。ねじが緩んだ状態で機械や設備を使い続けると,ねじが外れたりボルトが折損1)して事故につながる恐れがある。このため,適正な締め付け力の管理やダブルナットなどの緩み止めの使用2)といった必要な対策がとられている。
ねじの緩みに対しては,ねじ締結体に衝撃力を繰返し加える振動試験3)〜5)がある。この試験の概要を図1に示す。図1において,試験ジグ本体にあけた長穴内でねじ締結体が自由に上下動するようになっている。試験ジグの本体を加振機に取り付けて規定の振動を加えると,ねじ締結体がこの長穴の上下端に繰返し激しく衝突する構造になっている。これまで,上記の振動試験は当研究所で実施していなかったが,加振条件を調べたところ,当研究所の振動試験機で加振できる可能性があることがわかった。本研究では,上記の振動試験を行うための試験ジグを試作し,それを振動試験機に取り付けて規定の条件で加振できるか検討を行った。
114【2012年報告】
セルロース材料を効率よく熱分解する触媒組成の探索
セルロースを含むバイオマスから,ガソリンや軽油など,主要な化石燃料を代替できる液体燃料を製造する技術の開発を目的として,バイオマスの急速熱分解法に接触法を組み合わせた技法の文献調査と使用する触媒の機能評価の手法を確立するための予備実験を行った。
急速熱分解は液体燃料を得る場合,バイオマスを急速に500~700℃程度まで加熱して熱分解した後,急激に室温付近まで冷却することで,狭い温度範囲で短時間にバイオマスを熱分解して,液化する技術である。1)この手法では,温度と,高温中への滞留時間のみで生成物の組成が制御され,短時間で反応が完了するため,熱分解生成物の縮合のような副次的な反応を抑制することができる。1)
一方,触媒を用いる接触法では触媒の種類が決まれば,バイオマスとの反応生成物は,ほぼ限定されるので,反応の制御という点では容易である上,反応温度の抑制が可能となるが,固体であるバイオマスに用いる触媒は十分な接触機会を確保するためには,液体,または気体に限定され,使用できるものが限られる。
本研究では,急速熱分解に接触法を組み合わせ,急速熱分解よりも低い温度でのバイオマスからの液体燃料の生成を目指した。
また,触媒として,文献調査の結果から,もっともセルロースの分解効率が高いものとして,塩化亜鉛2),3)を,比較対象として,セルロース炭化物の気中ガス化で銅の塩類が用いられる4)ことから研究室にあったものの中から硫酸銅をそれぞれ水溶液で用いた。
原料となるバイオマスは基準となるセルロース材料として,純セルロースとみなすことのできる紙の中でも清浄な分析用濾紙を,また,新潟県に特有な未利用バイオマス資源として籾殻をそれぞれ用いた。
115【2012年報告】
表面技術研究会報告
めっき,化成処理,研磨,洗浄,熱処理,塗装など様々な表面処理企業はもとより,金属,プラスチック,セラミック,天然素材製品から自動車や工作機械,電子デバイスなど,ありとあらゆる工業製品が表面処理工程を経て最終製品化されており,表面技術は「ものづくり」に関連する基盤技術となっている。1)
基盤技術である表面技術は,ニーズの多様化,環境問題,安全性など「ものづくり」を行う上で必要不可欠である。産業グローバル化に伴う海外製品との性能・価格競争も激化しており,いかに品質の高い製品を安定して製造していくかが鍵となっている。
当研究所では,研究事業の一つとして「ものづくり技術連携活性化事業」を実施している。この事業は市場や企業のニーズにマッチした「売れるものづくり」を目標とし,共同研究や競争的資金への研究テーマを提案するために,分野別研究会の開催や市場ニーズ・技術動向調査研究を実施している。本研究会は,その調査研究事業のひとつであり,課題提案型研究会として,各種材料や製品への表面改質による機能性付与ニーズおよび要素技術に関する調査研究を実施し,開発テーマを提案することを目的としている。活動内容は,市場・技術動向調査,県内外企業調査,要素技術研究,セミナー開催である。
116【2012年報告】
太陽光発電研究会報告
CO2を排出削減するため,再生可能エネルギー導入が積極的に進められている。中でも太陽光発電は,国の補助金制度が復活し,平成22年度から発電余剰分の固定価格買取(フィード・イン・タリフ=FIT)制度が始まり,急速に需要が増えている。また,平成23年3月に発生した東日本大震災や原子力発電所事故,これに伴う計画停電といった電力供給体制の不安は,太陽光発電といった再生可能エネルギーへの注目を集める結果となっている。
このような背景の中,新潟県は平成21年度から新エネルギー産業群形成事業として太陽光発電研究会を開催し,太陽光発電に関する講演などにより情報提供を行い,県内企業の太陽光発電市場への参入および企業間連携推進を支援した。また,県内外の先進企業の状況を調査し,県が取り組むべき課題について検討した。
これまでの研究会の調査結果から,@太陽光発電システムはメンテナンスフリーと言われているためユーザーの保守点検に関する意識は低く,最近,故障や不具合発見能力が低いことによる弊害が報告されていること,A低い確率ではあるが実際に故障は発生しており,保守点検のニーズが高まっていることが分かった。この調査結果を踏まえ,今年度は「太陽光発電の保守点検,メンテナンス,検査技術」にテーマを絞って調査を行うこととし,講演会の参加者を募り,講演会を開催するとともに,関連技術・企業調査を実施することとした。
117【2012年報告】
天然素材活用研究会報告
本研究会は,天然素材である木材または木質材料を利活用した本県木製品製造業を対象に, 技術の高度化,企業ニーズの把握,企業ニーズに基づく研究会の構築,木材の利活用に関する最新技術動向の調査を目的に活動し,3年目を迎えた。
本年度の活動は,工業材料としての木材利用を図る上で必要な木質材料の利活用に関する最新技術動向について,引き続き調査し,利用技術の中から,「サーモウッド(ThermoWood:加熱処理木材)」および,「WPC(木材プラスチック複合材:wood-polymer composite)」の2テーマについて,研究テーマ提案に向けて,要素技術研究を実施した。また,昨年度に引き続き,関連業界の技術の高度化と技術者育成を目的とした2回の技術講習会を開催したので,ここに報告する。
118【2012年報告】
メッキ皮膜の作成と評価
防錆技術の重要な技術の1つとしてメッキ技術がある。金属加工業が盛んな新潟県において主要な防錆技術となっており,自動車部品,機械部品,建築資材など用途に合わせて様々なメッキ処理が行われている。とりわけ亜鉛メッキは一般的に広く用いられている。
 耐食性向上のために亜鉛メッキ上にクロメート処理が行われる。現在,クロメート処理液は環境対策から6価から3価へ移行しつつある。一般的に3価のクロメートは6価のクロメートに比べ浴液管理や仕上がり時の外観の均一性が難しいといわれている。
 製造工程確認のために3価クロメート処理を実際に市販液を用いて行い,メッキ皮膜中に含まれる元素について分析とメッキ皮膜の耐食性評価を行った。
119【2012年報告】
上信越公設研ネット環境対応技術分野交流会報告
マテリアルフローコスト会計(Material Flow Cost Accounting,以下MFCAと略す)は,製造工程の環境負荷低減とコスト低減の両立を同時に実現するための会計手法である1)。これは,企業の生産工程において投入された資源(原材料・設備・エネルギー・人員配備など)が最終的にどのようになったかを数値化「見える化」する手法で,経営管理の面からも注目されている。
群馬県,長野県,新潟県の工業系公設試験研究機関と(独)産業技術総合研究所は,6年前に「上信越公設研ネット」を立ち上げ技術的な交流をすすめているが,その中の環境対応技術分野交流会でMFCAの啓蒙普及に取り組んでいる。ここではその活動について報告する。
120【2012年報告】
小水力発電研究会報告
持続可能な循環型社会の構築や地球温暖化対策として二酸化炭素削減を行うことは,地球の未来のためには必須の課題となっており,この課題に向けた取り組みとして,小水力発電をはじめとした再生可能エネルギー導入による対策の重要性は,ますます高まっている。また,再生可能エネルギーは,高騰する化石燃料,二酸化炭素排出課題のある火力発電,安全性が疑問視される原子力発電の代替として,さらには地域分散型エネルギーとしても重要な位置づけにある。再生可能エネルギーの中でも小水力発電は,水資源が豊富な新潟県(包蔵水力は全国4位)において発電できる地点が多く,気象変化に対しても比較的安定して発電できることから,貴重な新潟県産エネルギーになると考えられる。以上のことから,小水力発電の導入は非常に意義のあることであり,将来的には小水力発電機に関わる市場は,成長が見込めるのではないかと考えられる。しかし,現時点では,まだ発電コストが高く,その市場も未開拓な状況であるため,発電コスト低減に向けた技術開発が,重要な課題となっている。
このような背景の中,本研究会では小水力発電に関する講演会の開催により県内企業に情報提供を行い,県内外の各種調査を基に県内企業の小水力発電市場参入可能性の検討および各機関の連携推進支援を行うことを目的として活動を行った。
121【2012年報告】
CFRP研究会報告
炭素繊維複合材料(以下CFRPと略す)は,「軽くて強い」特徴から,次世代の先端材料として注目されている。航空・宇宙分野やスポーツ分野が市場を形成してきたが,近年では,環境や安全性に対する関心の高まりから風力発電用ブレード,圧力容器,土木建築等一般産業用途において需要が増加してきている1)。将来的には量産型の自動車への適用も期待されている2)。
こうした中でCFRPの先行企業では,既に高度な技術を有して比較的大きな市場に参入している事例3)もあるが,多くの企業では,この材料が新しいが故に,素材の特徴や製造方法について十分に把握しておらず,技術的にも多くの課題を抱えているのが現状である。
本研究会では, CFRPの普及啓蒙を図るとともに研究開発や事業化の推進を目的として,セミナーの開催,技術動向調査,県内外企業調査,企業ニーズに基づく連携体の構築等について調査を行った。また商品開発に関心を持っている企業を対象に各種成形試験を行い,取り組みの「きっかけづくり」を行った。
122【2012年報告】
航空宇宙分野調査報告
中国やインドといった新興国の旺盛な経済活動や生活水準の向上を背景とした航空機需要は高く,今後20年の全世界での民間航空機需要は約31,000機と予測されている。一方,日本においても三菱リージョナルジェット機MRJの初飛行が2012年に予定されており,2020年代には現在の約3倍となる3兆円超に成長すると予測されている有望な産業分野である。
新潟県では,県内産業の高付加価値化を推進する目的で,平成23年度夢プロジェクト調査研究事業として,「航空宇宙」分野に関する市場や技術の先進情報を集め,この分野への企業の参入可能性について調査を行い,セミナーや研究会活動を通じてこれら最新情報の提供を行った。
本報告では,世界および日本の航空宇宙産業の技術と市場の両面において俯瞰した。また,複数の新機種開発が計画されており,市場への参入に良いタイミングである航空機エンジン分野について,市場と技術動向,ならびに県内企業の参入可能性と課題の抽出を行った。
123【2012年報告】
樹脂の熱特性分析の基礎技術確立
熱特性分析(示差熱分析Differential Thermal Analysis: DTAなど)は樹脂の融解やガラス転移,結晶化などによる吸熱・発熱プロセスを解析するものである。しかしながら,このようなプロセス下で分子がどのような構造変化を起こしているかについては現在でも不明のところが多い。                        
樹脂の熱劣化においても,どの程度の温度にさらされたかを外観上から判断するのは難しく,そのデータベースの報告も乏しいのが現状である。
本研究においては第1ステップとして,DTA装置による加熱プロセスで樹脂の化学構造が変化していく様子を赤外分光分析(FT-IR)で把握しデータベース化することを目的とする。これによって,成形工程管理やトラブル解析に役立つものと考えられる。
124【2012年報告】
光沢部材・非光沢部材の反射率角度依存性評価
様々な機能性表面部材の反射率特性を測定する要求に応えるために,変角測定ユニットを装着した分光光度計を導入した。典型的な鏡面反射特性を有する金属の研磨板と,理想的な拡散反射特性と白色性を有するSpectralonR(フッ素樹脂の粉末加熱成形品。米国Labsphere社の登録商標)について,反射率の角度依存性を評価したので報告する。また,ガラスの反射率からブリュースター角を求めて屈折率を測定したので併せて報告する。
125【2012年報告】
ナノテク機器利用技術講習会
電子機器,光通信,医療機器の小型化に伴い,微細形状を付与した高機能部品や超精密加工部品の利用拡大が進んでいる。これらに対応しうる技術に,ナノテクノロジー(物質をナノメートル[1nm=10-9m]領域で自在に制御する技術)があり,国の重点支援技術領域に指定されるなど製品の高付加価値化を実現する技術として期待されている。しかしながら,本県の主要な製造業である一般機械,精密機械等既存企業の取組みは,先端産業であるがゆえの技術習得や導入の難しさ(機器が高額)のため,進んでいないのが現状である。そこで,既存産業へのナノテクノロジー技術の導入,普及を図るため,NICOナノテク研究センター機器を利用した技術講習会を実施した。
なお,本技術講習会はNPO法人 長岡産業活性化協会(NAZE)の平成23年度産業基盤形成支援事業の一部である。
126【2012年報告】
未利用低温排熱利用の発電システムの技術開発
工業技術総合研究所では平成21,22年度に工場排熱を再利用するエネルギーシステムの開発を目指して,「排熱利用研究会」を立ち上げ活動を行ってきた。その成果として,県内に多数立地する米菓メーカにおいて,米菓を製造するために使用される運行釜からの排熱を電気エネルギーに変換する装置を開発するテーマが,(財)にいがた産業創造機構が募集する市場開拓技術構築事業に「未利用低温排熱利用の発電システムの技術開発」として採択され,平成23年1月から平成25年12月の3年間にわたって研究開発を行うこととなった。
この研究は排熱利用研究会の参加企業を中心として,関連企業,新潟大学,県農業総合研究所食品研究センター,そして工業技術総合研究所が共同研究体を形成して行う。本報告では,この研究全体の概要と工業技術総合研究所が担当するコンピューターシミュレーションを利用した開発支援について紹介する。
127【2012年報告】
カプセル化技術を応用した新しいスペック染色法の開発
スペック染色は新潟県で行われている糸の斑染め手法である。糸に部分的な色の濃淡をつけることで色彩表現力を高める手法であり,一般的には直接染料を用いて主に織物用綿糸に行われている。
当研究所ではこれまで,スペック染色の高度化について,反応染料による羊毛および絹への染色1),多色化2),チーズ染色機による染色3),酸性染料の適用4),カプセル化技術の適用5)等について検討してきている。
本報では昨年度検討したカプセル化技術の適用についてさらなる高度化を目指し,下記の内容について検討を行った結果について報告する。
@ 直接染料によるカプセルスペック染色法の改良(染料カプセルの小型化,染料カプセルの濃色化)
A 反応染料によるカプセルスペック染色
B 反応染料を用いたカプセルスペック染色による製品試作
C   カプセル化した還元剤を用いて糸を斑状に脱色する手法(カプセルスペック抜染法)の開発
128【2012年報告】
省エネ型植物工場に向けた基盤技術の開発
植物工場は,土を使用し天候に左右されていた従来の農業と異なり,土を離れた養液栽培を基本とし環境を高度に制御する農作物の生産システムである。@季節,天候に左右されずに安定供給(納期,数量,品質,価格)が可能である,A地域や土地を選ばない,B単位面積あたりの生産性が高い,C養水分制御による食味の向上が期待でき,農薬,重金属,微生物などによる汚染が少ない,D労働が平準化でき作業環境が快適である,などの利点を有することから近年注目を集めている。
しかし,その反面,@設置コスト・運営コストが高い,A経済栽培可能な品目が少ない,B厳密な環境制御が難しい,C技術面・経営面の課題に対応できる人材の育成,など多くの課題を抱えている1)。このうち最も大きな課題である設置コスト・運営コストの削減には,安価に普及できる省エネ型植物工場技術の開発が不可欠であると思われる。植物工場のうち,太陽光を全く利用しないものを完全人工光型植物工場といい,栽培期間の短いレタスなどの葉菜類が商用生産されている。この形式では,照明にかかるコストが運営コストの約1/3と大きな割合を占めることから,効率的な照明方法が色々と検討されており,植物の光合成に有効な波長成分を有するLEDも利用されてきている2)3)が,現時点では高価であるため,多くの導入には至っていない。
本研究では,完全人工光型植物工場の光源として現在最も多用されている安価な蛍光灯に様々な光質変換資材を組み合わせて光質のみを変化させた際のレタスの生育の違いについて検討した。
129【2012年報告】
LED光源の演色性評価
環境保護への意識が高まり,また電力供給の不安定が心配される中,LED照明が本格的に普及するようになってきた。電力効率の点では1Wあたり60lm(ルーメン)から150lm程度と高効率であることや長寿命であることから,置き換え需要を狙って大手電機メーカーの他に異業種も参入して極めて多種の照明器具が発売されている。しかしながら,従来の白熱灯や蛍光灯と比べて発光スペクトルが異なるため,色合いが違って見えるという現象が発生する。どれくらい色合いを忠実に再現できるかの指標を演色性と呼び,JIS Z8726に測定方法が示されている。下越技術支援センターでは近年,照明器具の照度や発光スペクトルの測定などの技術支援が増えているため,LED光源を始めとした複数の光源についての演色性の評価を実施した。その概要を報告する。
以降の章では,ヒトの色覚および演色性評価の規格といくつかの照明具の演色性評価結果について述べる。
130【2012年報告】
木材の新たな利用分野を開拓するためのプレス加工技術の開発
高い成形性と加工時間の短縮化を併せ持った木材の塑性加工法を開発するために,アクリル系樹脂と木材との複合体である含浸型WPCを使用し,含浸された樹脂の熱可塑性を利用した加熱成形技術の研究を行った。成形方法は加熱パンチによる3点曲げ法と,木材では例の少ないカール加工法で行ない,特にカール加工において小径曲げ加工への有用性が確認できた。また,この条件をもとに,実用化を見据えたカール曲げ加工装置を試作し製品レベルでの試験を行った結果,高い成形性と加工時間の短縮化などが確認できた一方で,実用化に対するいくつかの問題が明らかになった。
131【2012年報告】
ICTを活用した遠隔技能伝承アシストシステムに関する研究開発(第2報)
新潟県内の中小製造業における研磨作業や刃付け作業は,作業者の経験と勘に頼るところが多く,技能の伝承が円滑に進んでいない現状がある。本研究では,ICT(情報通信技術)を用いて,熟練作業者の作業を数値化することで可視化し,初心者にもわかりやすい表示をすることにより,技能の伝承を円滑に進めるシステムの開発を行った。さらに作業現場で得られる作業計測データを,無線LAN等のネットワーク経由で送信することで,遠隔地においても,作業現場と同様の情報を得られるようにし,遠隔地でも円滑に技能伝承できるシステムの開発を行い,現場作業者から好評を得た。
132【2012年報告】
インコネル718に対するボールエンドミル加工の切削シミュレーション(第2報)
市販の切削シミュレーションソフトウエアを用いて,ボールエンドミルによるNi基超耐熱合金インコネル718の高速切削加工を解析した。既報1)ではソフトウエアの標準条件で解析を行い,切削シミュレーションの基本的な解析特性について検証した。本報では,実際に切削実験を行っている市販ボールエンドミル工具を対象として切削シミュレーションを行い,その結果について検討した。併せて,実験において切削速度の増加に対して切削抵抗が低下する切削条件を解析し,実験と同じ現象が発現するか検証した。それぞれの検討結果をまとめると,ボールエンドミル工具によるインコネル718の切削については,切削速度の増加に伴って工具刃先の温度分布が高温になるとともに,熱の拡散時間が短くなるため高温領域が狭まってゆくことを確認した。また,切削速度の増加に対する切削抵抗減少については,わずかな切削抵抗減少は認められたものの,実験と同じ現象を完全に再現するまでには至らなかった。
133【2012年報告】
窒素含有汎用クロム系ステンレス鋼の実用化研究
Fe-13〜18mass%Crのうち特殊な添加元素を含まない汎用ステンレス鋼の窒素吸収処理に関する研究を行った。素材を窒素雰囲気・高温で処理することで,窒素(N)を添加する。このうち,マルテンサイト系ステンレス鋼であるFe-13mass%CrはN添加により通常の熱処理の場合に比べ,素材の硬さが約10〜15%ほど高くなる。耐食性は同等以上であった。フェライト系ステンレス鋼であるFe-16mass%CrにNを添加すると表面部から窒素が吸収されて相変態し,やや硬い窒素吸収層を形成する。この層の厚さは処理温度,時間と相関がある。なお,耐食性については今後,詳細に検討する予定であるが,JIS準拠の孔食電位は0.3Vを示しており,オーステナイト系ステンレス鋼であるFe--Cr-Niに匹敵する値を示した。
134【2012年報告】
RFID測位センサーネットワークノードの開発に関する研究
工作機械や産業機械メーカー等において,生産性向上や,受発注管理のために,各社とも工程管理ソフトを導入して,コスト低減の実現を進めている。しかし,汎用ソフトでは,作業員の勤務状況の入力を人手で行う必要があり,煩雑である。そこで,本研究では,作業員の動態状況を把握し自動で入力できるシステムの開発を目的とする。近距離動態管理システムのセンシング用通信ユニットには,通信規格として,IEEE802.15.4を採用し,電界強度をもとに,位置範囲を特定する測位アルゴリズムを開発した。さらに,そのアルゴリズムを組み込み,実際に動態管理が可能なシステムのプロトタイプを開発した。また,当該システムの多様な現場への応用を可能とするため,指向特性の異なる平面アンテナを設計し,その評価を行った。今後,当該開発システムの位置管理機能を核として,生産現場のみならず,様々な場面への応用を想定している。
135【2011年報告】
ICTを活用した遠隔技能伝承アシストシステムに関する研究開発
本研究では,ICTを活用し,熟練技能者が持つ技能を無線を介してセンシングして可視化し,これを利用して技能を円滑に伝える伝承アシストを開発する。対象は金属製品の研磨作業と作業工具の刃付け作業とする。金属製品の光沢や作業工具の刃先の形状をわかりやすく表示し,熟練技能者しかできない動きや力の入れ方を抽出して可視化する。さらに得られたデータをネットワーク経由で遠隔地へ伝送することで,遠隔技能伝承アシストシステムを実現する。これにより,技能伝承に要する時間を従来の1/10に短縮することを目指す。以上をもって,熟練技能の次世代への伝承と地場産業のさらなる発展に貢献する。
本研究は平成22〜23年度の事業であり,今年度は,各要素技術の確立を目指した。
136【2011年報告】
多点薄膜温度センサーユニットの開発
日本工業規格では,製品の幾何仕様および検証に用いる標準温度を20℃としている。機械部品等の寸法測定では,測定物の温度が20℃でない場合,温度差による熱膨張を補正することが必要となる。そのため様々な測定機器に温度補正システムが用意されているが,温度センサーを測定ごとに試料に押し当てて設置することが必要であり,作業者の負担が大きく,測定誤差を発生させやすいという問題があった。
これらの問題を解決するため,試料ステージ埋込型多点温度センサーモジュールと寸法補正ユニットからなる,多点薄膜温度センサーユニットを開発した。
137【2011年報告】
表面技術研究会報告
めっき,化成処理,研磨,洗浄,熱処理,塗装など様々な表面処理企業はもとより,金属,プラスチック,セラミック,天然素材製品から自動車や工作機械,電子デバイスなど,ありとあらゆる工業製品が表面処理工程を経て最終製品化されており,表面技術は「ものづくり」に関連する基盤技術となっている。
基盤技術である表面技術では,ニーズの多様化,環境問題,安全性など「ものづくり」を行う上で品質管理は必要不可欠である。産業グローバル化に伴う海外製品との性能・価格競争も激化しており,いかに品質の高い製品を安定して製造していくかが鍵となっている。
本研究会では,表面技術における市場や企業のニーズにマッチした「ものづくり」および「高品質化」を目的としている。活動内容は,セミナー開催,技術動向調査,県内外企業調査,研究テーマ提案である。セミナーについては,今年度は「工業技術総合研究所シーズおよび最新表面技術」をメインテーマとして,当研究所における表面技術に関するシーズ提供および最新表面技術動向提供を目的とし,当研究所シーズと企業ニーズとのマッチングおよび新たな研究テーマ案件調査を実施した。
138【2011年報告】
マイクロウェーブ試料分解装置による試料分解方法の確立(第2報)
マイクロウェーブ試料分解装置(以下MWと略す)はプラズマ発光分析(以下ICPと略す)や原子吸光分析等の前処理装置として試料を分解,溶解することに利用されている。MWの特徴は密閉された耐圧容器(PTFE製)にマイクロ波を照射して,容器内の水溶液(酸を含む)を短時間で昇温・昇圧できることである。そのため操作中は外部からの不純物混入や容器内からの試料散逸を防止できる。
また,マイクロ波照射による急激な昇圧への対策は内蓋を破損させて内圧を下げ,同時に排出されたガス(酸を含む)は接続されたチューブで排気装置へ導くため万全である。一方,急激な昇温への対策は冷却機能を持たないため,使用できる酸を制限している。例えば過塩素酸は加熱によって発現した酸化力で有機物を分解できるが,分解が始まると反応と昇温が急激に進む危険性がある。このため容器が破損して,酸を含む内容物が装置内へ漏洩する可能性が高く,MWの操作において過塩素酸は使用不可である。
昨年度は各種樹脂材料(PE,PP,EVA,アクリル,PS,ASおよびABS)の分解方法について,硝酸と硫酸を使用して検討を行った。
今年度はPS,ASおよびABSのMW分解操作における硫酸の代替として過塩素酸の利用方法を検討した。過塩素酸は上述のとおりMWへの使用ができないため,硝酸によるMW分解操作後の二次操作となるビーカ分解操作で使用した。また,その他の樹脂について,硝酸で並行操作を行った。
以上の樹脂分解操作において,鉛(以下Pbと略す),カドミウム(以下Cdと略す)で回収率を求めたので報告する。
139【2011年報告】
感性工学研究会報告
本研究会では製品の付加価値向上に関して,(i)機能性や信頼性あるいは価格などの産業価値以外の感性的価値をどのようにして向上すればよいか,(ii)目標とする感性価値を実現するためにどう設計し,(iii)どう製造すればよいか,という問題を設定し,調査の2年目として,技術啓蒙と現状調査および開発課題の発掘を行った。
性能・信頼性・価格による差別化が困難となってきた現在では意匠性,質感などの感性価値の向上が製品付加価値向上につながるひとつの突破口であると考えられる。しかし,デザイナーやユーザーが好ましいとする意匠や質感を提示することができたとしても,製造業者がそれを製品や部品として実体化することができなければ付加価値向上には繋がらない。従って,製造業者にとっては優れた意匠や質感をいかに製品や部品として作り上げるかが課題である。優れた意匠や質感の製品を迅速かつ的確に作り上げられる企業が他社に対して優位性を持てると考えている。
県内企業調査として,感性価値向上について現在の県内製造業での課題や取組みを探った。また技術啓蒙活動として,カラーマネージメントおよび官能検査・外観検査,質感シミュレーションに関する3回の技術講演会を実施し,延べ85名が参加した。
調査および事例研究の結果,意匠や質感などの感性価値を製品や部品に付与するために,製造業が取り組む価値のある技術として,開発工程における試作品削減につながる質感シミュレーション技術および質感計測技術があげられることが分かった。製造工程における品質向上につながる質感計測技術,質感制御技術と合わせて,本研究会では今後本格的に課題解決に取り組むこととしたい。最終製品メーカーの少ない新潟県産業の実態に鑑み,部品メーカー,加工メーカーへの対応策についても検討し,質感計測技術をもとにして品質管理や販売促進などに適用可能である見通しが得られた。来年度以降,小規模な事例研究から開始し,継続的に開発規模を拡大したいと考えている。
140【2011年報告】
超微細成形技術によるシート型微小針アレイの開発
健康・医療に対する意識が高まる中,治療や検査で多用される注射針を使用した時の痛みや皮膚ダメージ,精神的ストレスの軽減が要望されており,注射針のマイクロ化が期待されている。
本研究は,プラスチック成形技術を高度化した超微細樹脂成形技術を用いて,シート状の微小中空針アレイを開発することを目的とする。微小針の数として1シートあたり10〜100個を想定しており,成形金型の作製には,多数の微細形状を一括して形成できるMEMSプロセスが有利である。
本報ではMEMS加工と超精密切削加工の複合技術によるシリコンマスター型の作製について基礎的な検討を行った結果を述べる。
141【2011年報告】
二次電池とキャパシタの蓄電デバイス用充電回路の開発
風力発電システムや太陽光発電システムあるいはマイクロ水力発電システムなどの自然エネルギー発電機器の必要性が高まっている。一方で,自然エネルギー発電機器は発電量が安定せず,充電システムを併用した場合に二次電池の寿命を著しく縮めてしまうという課題を持っているため,ピークカットを行って充電する方式など発電量すべてを蓄電できないという非効率さがある。また,鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの二次電池は,内部抵抗が大きいため急な大電流需要に対応できないという欠点がある。
これらの課題を解決するために,充放電の繰り返しによる劣化が少なく,内部抵抗が極めて小さい電気二重層キャパシタ(スーパーキャパシタ)を充放電回路に付与することで,充電ピーク電流をバッファし,瞬時的な大電流放電需要にも耐えるというメリットを与えることができると考えられている。そこで,本研究では電気二重層キャパシタを用いた充電回路を開発しその効果を確認することを目的とした。
142【2011年報告】
転倒時保護機構に対応したゲレンデ整備車のキャビン製造に係わる安全性と低コスト開発
コンピューターシミュレーションにより,転倒時保護構造(ROPS)に対応したゲレンデ整備用雪上車のキャビンの外付け補強を開発した。汎用有限要素法解析ソフトウエアを用いて,コンピューターで試作キャビンのROPS試験と評価を繰り返して,低コストで強度の高い外付け補強形状を検討した。外付け補強形状の完成後,実際に外付け補強キャビンを製作してROPS試験を行い,ROPS規格を満足することを確認した。
143【2011年報告】
天然素材活用研究会報告
新潟県の木製家具工業は, かつて,婚礼家具などの箱物家具を中心とした全国有数の家具産地を形成していたが,海外製品との競合や生活様式の変化に伴う置き家具離れなどの理由から,厳しい状況に追い込まれている。
しかしながら,本県には,加茂の桐タンスや村上の堆朱,白根の仏壇に代表されるように,固有の伝統技術を有し,国内で高いシェア占めながら産地を形成している業種もある。また,他社には真似のできない高度な技術を有し,広くマスコミで紹介される企業もある。
このような状況の中で,産学官によるものづくり技術の連携を活性化させることで, 企業の研究開発における企画力の強化を図り, 付加価値の高い「売れるものづくり体質」への転換を進めることを目的とした「ものづくり技術連携活性化事業」の一環として, 県内企業の特徴あるものづくり基盤技術をテーマとして, 技術情報や市場情報の調査・収集活動, 実験・実習・研究による技術の深耕, 研究会による情報の交換, セミナーや講演会の開催など, 産学官の交流の機会を設け技術連携の活性化を図ることを目的とした天然素材活用研究会の活動を昨年度より開始し,本年,2年目を迎えた。
本研究会は, 天然素材である木材または木質系材料を利活用した本県木製品製造業を対象に, 地域技術ブレークスルー分野の研究会として,セミナー,勉強会を中心に実施し,企業ニーズ把握,技術分野ごとの企業集約を図り,最終的に研究会の構築を目指し活動した。
144【2011年報告】
蛍光X線定量分析における精確さの調査
平成21〜22年度の実用研究「金属材料の元素分析における精度調査」の中で,当センターの鉄鋼の定量分析における精確さの評価を実施した。定量値の精確さは,精度(測定値のばらつき)および真度(真値あるいは認証値と測定値との一致の程度)がJISの規定を満足する必要がある。
当センターの定量分析は,蛍光X線分析,炭素硫黄分析やプラズマ発光分光分析などで実施している。各種分析方法について,調査を行った結果,当センターの定量分析の精確さは,概ね要求水準を満足していることを確認した。
145【2011年報告】
EMC技術研究会報告
これからの情報技術社会ではあらゆる電気電子製品が無線通信機能を持つと考えられ,「安心,安全」な電磁環境の確保が重要な課題になる。今やあらゆる環境に存在する電磁波が原因で電気電子製品に電磁波障害が発生すれば,場合によっては消費者が損害を被る可能性がある。従って,製品開発において電磁波ノイズ(EMI)の抑制および電磁波ノイズによる製品の誤動作(EMS, Immunity)を防止するためのEMC技術は,ますます重要度を増している。
これまで当研究所では,企業が製品開発する上で発生する様々なEMC問題の解決を支援してきたが,さらなる支援体制充実のために平成21〜22年度に電波暗室新設をはじめとしたEMC試験設備を拡充した。
そこで設備拡充の周知と併せて,EMCの基礎技術を啓蒙し普及させる目的で「EMC技術研究会」を立ち上げ,技術セミナーと技術講習会開催,技術調査などの活動を展開した。
146【2011年報告】
排熱利用研究会報告
近年,各国で温室ガス排出削減目標を定め,地球温暖化防止に取り組んでいるが,工場から排出される熱の多くは再利用されていない。
そこで,本研究会では,昨年度より工場排熱を再利用するエネルギーシステムの開発を目指して活動を行ってきた。今年度は,昨年度の活動報告をふまえ,工場排熱の中でも再利用されていない低温排熱に注目し,勉強会と調査研究を中心とした活動を行った。また,会員同士によるディスカッションを行い,最終的に来年度につながる研究テーマを提案し,当県産業界にとって新たな産業群形成の端緒を開いた。
147【2011年報告】
イオン液体を用いた高温超音波キャビテーションピーニング技術の開発
水中におけるキャビテーション崩壊圧を金属材料表面に作用させることにより,表面の塑性変形を誘起し,圧縮残留応力を付与できることが示されている。キャビテーションは液中における急激な圧力変動により生じることから,液中超音波により容易にキャビテーションを発生させることができる。壊食試験におけるキャビテーション発生法としては,高速噴流を用いる方法,超音波による方法が代表的なものである。超音波を用いるメリットは,キャビテーション発生が定常的で制御しやすいこと,高圧ポンプなど大規模な装置が不要で,数百W程度の低電力で実現可能であること,液温を一定にする程度の液体循環があれば良いため,キャビテーション発生液体の選択にほとんど制限がないことなどが挙げられる。
イオン液体は常温溶融塩とも呼ばれ,常温で液体状態を呈するある種の有機イオンによる塩である。また,従来の液体とは異なるいくつかの特性を示すことから第3の液体とも呼ばれ,産業利用への期待から多くの研究が行われており,電解質としてのキャパシタへの適用は既に実用化されている。その他にも一般的な特性として,揮発性が低いこと,非常に安定で300℃程度の耐熱性を持つことが知られている。
本研究では,このイオン液体を用いて高温状態での超音波キャビテーションピーニング(以下USCPと略す)をオーステナイト系ステンレス鋼SUS304表面に適用し,マルテンサイト変態を抑制した表面圧縮残留応力付与を試みた。つまり,オーステナイト系ステンレス鋼の典型的な腐食モードである応力腐食割れ(SCC)対策法としての可能性を検討した。
148【2011年報告】
データ通信用赤外線LEDの配光測定システムの開発
赤外線通信は家電のリモコンなどに使用されているが,IrDA(IrDA:Infrared Data Association)規格が整備されたことにより携帯電話,ゲーム機,通信機器など応用範囲が広くなっている。赤外線通信は赤外線LEDからの発光によって行われるが,指向性を持たせることで通信距離を向上させたり,反対に等方性にすることで通信範囲を広げたりする場合があり,目的によって配光特性をコントロールする必要がある。この研究では,配光特性について送信機の設計を支援するために,赤外線LEDの配光測定システムの開発を行った。
149【2011年報告】
インコネル718に対するボールエンドミル加工の切削シミュレーション(第1報)
市販の切削シミュレーションソフトウエアを用いて,ボールエンドミルによるNi基超耐熱合金インコネル718の高速切削加工を解析した。最初にソフトウエアの標準条件で解析を行い,切削シミュレーションの基本的な解析特性について検証した。次に,ボールエンドミルとスクエアエンドミルの切削挙動の違いについて調査した。最後に,従来の実験結果に対する計算結果の比較を行った。その結果,ボールエンドミルがスクエアエンドミルに比べて切削抵抗が緩やかに変化する現象や,切削速度の上昇に伴う切削抵抗の低下現象を再現できることを確認した。
150【2011年報告】
多軸高速加工研究会報告
県内の機械加工技術力は全国的にも高く,特に自動車産業向けの金型や部品加工の分野で優れた切削加工技術を有する企業が多い。しかし国内の自動車産業は海外生産の拡大や中国,インドといった新興国メーカーの台頭などによって今後の拡大が見込めない。このような状況の中で県内の金型業界,機械加工関連業界では,今後新たな伸びが期待できる分野への進出を模索しており,航空機産業やエネルギー関連産業に注目している。
これらの産業では高い信頼性・安全性・耐久性が求められる。この分野で使用される部品は信頼性を高めるために,素材からの機械加工による削り出しであること,さらに極力接合部を少なくする設計思想から複雑な形状が多い。このため,従来の3 軸制御工作機械による加工では対応が困難となり,多軸制御の加工を必要とする。また使用される金属材料は,高耐食・耐熱性,高強度を達成するためにチタン合金や超耐熱合金などの難加工材料が多く使用されていることも特徴である。
当研究所では平成21 年1 月より,(財)にいがた産業創造機構の市場開拓技術構築事業「チタン合金等の革新的加工技術開発」を受託し,従来の切削加工技術に対して競争力を持つ固有技術を開発し,航空機・エネルギー関連産業をはじめとした新しい市場への参入を促進する手段となり得る研究開発を行っている。
多軸高速加工研究会は,上記の研究開発事業の一部として,県内の機械加工に関わる技術者を対象に,多軸加工や高速加工技術に関する知識や技術向上を目的としている。
初年度である昨年度は「5軸加工入門」をメインテーマとして5軸加工に関する基礎知識や最新技術の習得を目的に定例研究会やワークショップを開催しており,今年度は2年目として,より充実した研究会を目指した。
151【2011年報告】
上信越公設研ネット環境対応技術分野交流会報告
上信越公設研ネットは,上信越地域(群馬県,長野県,新潟県)の公設試験研究機関(以下公設研と略す)の県域を越えた相互協力および公設研と(独)産業技術総合研究所(以下産総研と略す)などの一層の連携を強化しながら,各々の技術力向上および支援内容の充実・強化を図り,上信越地域中小企業の技術力強化などに貢献することによって,地域経済の活性化に質することを目的としている。上信越公設研ネットの構成概念図を図1に示す。この上信越公設研ネットには機関長や企画担当者などのクラス別交流会と分野交流会の組織を置き活動を行っている。
今年度は,分野別交流会として「環境対応技術分野交流会」,「CAE技術交流会」の2つの交流会を実施した。本報では,「環境対応技術分野交流会」の活動内容について報告する。
152【2011年報告】
熱量測定法と基礎実験
平成21年度に開催した排熱利用研究会において,食品工場で使われている運行釜からの排熱を有効活用する方法として,スターリング発電機を利用する研究を考案した。そこで,実際に運行釜からの放熱量を知るため,熱量を測定する装置を製作し基礎実験を行った。
153【2011年報告】
EV技術研究会報告
本報告は,県内の製造業が,EV(電気自動車)関連市場への参入を考えた場合に,どちらの方向を向き,何をすればよいか?のヒントを与えることを目的として活動を行ったEV技術研究会についての活動報告である。
EV技術研究会では,まず,EV関連技術の動向,EV関連業界の動向を把握するために,それらに詳しい講師を招へいし,技術セミナーを合計4回開催した。その際,講演会への参加企業に対するアンケートにより,EVに対する意識調査を行った。また,同じくEV関連の技術,市場動向を把握するために,EVに関連する各種セミナー,展示会に参加し,調査を行った。さらに,県内企業におけるEV関連業界への対応,EV関連開発の状況を把握するために,県内企業の調査を行った。
以上の調査,活動結果を総合し,EVに関連して,今後県内企業および当研究所が進むべき方向を検討した。
154【2011年報告】
C-FRP研究会報告
炭素繊維複合材料(以下CFRPと略す)はその優れた特性から次世代の産業資材として航空宇宙,土木建築,スポーツ・レジャー分野等様々な分野で利用されており,近年では自動車量産車への展開も注目されている。しかし製品化には素材から中間基材,成形,機械加工技術と様々なプロセスを必要とし,多くの課題を抱えている。
本調査研究では, 昨年度に引き続きCFRPの研究開発や事業化の推進を目的として,市場調査,技術的課題等について調査を行い,県内企業へ情報提供を行なうとともに,参入の可能性について検討した。また中間基材の製造技術に関する予備試験を行った。
155【2011年報告】
素形材研究会報告
鍛造は,金属を成形すると同時に組織を緻密均一化する加工法であり,自動車や建設機械,産業機械から身の回りにある刃物まで多くの工業製品に適用されており,ものづくりに欠かせない基盤技術の一つとなっている。
古くから利用され基本的には成熟した技術ではあるものの,生産のグローバル化が進展する中でユーザーから鍛造業への品質・コスト に対する要求はますます厳しくなっている。こうした状況に対応していくために,技術や技能の向上に対する積極的な取り組みが必要とされている。
当県は県央地域を中心として鍛造加工を行う企業が多く,鍛造業の全国組織である(社)日本鍛造協会には県内28社が加盟しており,これは大阪府(29社)に次ぐ規模で愛知県(26社)よりも多い。この3府県で協会加盟社の半数を占めており,当県は全国でも有数の鍛造加工集積地といえる。
また,平成21年の工業統計では県内の鍛工品の出荷額は約260億円であり,出荷額30億円以上の製造品の上位に位置している。
このように鍛造は当県の製造業において重要な位置を占めているといえる。
今年度は軸足をこの鍛造技術に置き,昨年度までの熱処理研究会を素形材研究会に改めて,鍛造技術をキーワードとしたセミナーや技術支援,情報収集などの事業を行った。
156【2011年報告】
スペック染色技術の継承および改良
スペック染色とは本県繊維産業の特徴的な染色技術の一つであり,染料を粒子(スペック)化して糸を斑点状に染めるというものである。主に先染め織物のたて糸に用いられ,濃色の染料スペックが生み出す濃淡差が織物の色彩表現を味わい深いものにしている。
本研究では複数色のスペックを同時に使用し多色化することで従来のスペック染色とはまた一味違う色彩効果を得ることを目指すとともに,スペックの製法自体を変更することにより芒硝(硫酸ナトリウム)使用量の低減にも取り組んだ。また,この一連の研究作業を経ることにより当センター職員間の繊維染色技術の共有と伝承を図ることも本研究の目的の一つとした。
157【2011年報告】
高信頼制御技術研究会報告
医療・福祉・自動車・産業機械など,多くの産業分野における製品には,年々進む高機能化への対応と共に,高い信頼性が要求される。半導体技術の進展で,大規模集積回路,センサなどの電子部品が小型化,低価格化する一方で,その機能は複雑化し,使いこなすには高度で幅の広い知識が必要となっている。また,製品の高機能,高信頼を実現するため,組み込まれるソフトウェアは年々大規模化する傾向にある。大規模化が原因で,システムの停止など,社会生活に与える影響が大きい事故の発生がみられ,限られた期間でいかに信頼性の高いソフトウェアを開発するかが大きな課題になっている。製品の高信頼化を実現し,質の高い製品開発を行うには,組み込まれる電子制御技術および開発手法の高度化が不可欠である。
制御技術を必要とする産業は,携帯端末,家電,自動車,医療福祉機器,産業用機械,作業工具など多岐にわたる。自社生産設備,制御盤開発,電子回路設計,ソフトウェア受託開発で関連業務に従事する県内の企業も多い。この中には,組織的な開発体制を持つ企業もあるが,比較的小規模で,開発者個人に依存する体制を取っている企業が多くみられる。
産業の空洞化が進む中,雇用維持のためには高度な製品開発設計能力を発揮する体制作りが不可欠である。そこで,社会における寄与度の大きい制御技術に着目し,高信頼というキーワードの下で,県内企業が今後何をすべきかを調査・議論するため,今年度本研究会を立ち上げた。
研究会では,県内関連企業を対象に最新動向を提供するセミナーを開催すると共に,各社の現状とニーズや市場動向を調査した。また,技術者意見交換会を開催し,制御技術の現状と改善の方向性について議論した。今後,課題解決手法を共有するため,技術者間の人的交流ネットワークを構築し,企業間連携の基礎を固める。
158【2011年報告】
表面処理皮膜の硬度測定手法の検討
めっき等の表面処理皮膜の硬さは、汎用手法である圧痕の対角線長さから硬度を求めるマイクロビッカース法で測定されるが、対角線の読み取り精度の問題や圧痕が基材の影響を受けやすいため,硬度が高い場合や膜厚が薄い場合では,測定は難しくなる。                        
めっき皮膜の硬さ測定を目的とした皮膜硬度計は,得られる硬度の値が装置固有の数値である場合がほとんどで,汎用表記であるビッカース硬さへの変換は難しい。
そこで,我々はめっき等の表面処理皮膜の硬度を測定する新しい方法であるナノインデンテーション法に着目し,皮膜硬度の測定手法について検討した。
159【2011年報告】
超耐熱合金の高速切削加工
インコネル718をはじめとした超耐熱合金は,高温下における優れた機械的特性から,航空機用ジェットエンジンや産業用ガスタービン部品などの材料に用いられている。しかしこれらの金属材料は,切削加工の観点からは加工硬化を生じやすいなど,金属材料の中でも代表的な難加工材料である。本研究では,超耐熱合金について,小径ボールエンドミルによる高速ミーリングを試みた。その結果,従来の切削速度を大きく上回る60m/min〜100m/minにて工具寿命の延伸効果を確認した。また,本加工技術によりブレード形状の加工を行い,びびりが発生しやすい薄肉加工においても,高能率で良好な加工面が得られたことから,超耐熱合金の新しい高能率切削加工方法として期待できる。
160【2011年報告】
鋸柄の表面処理の摩擦力への影響について
換刃式鋸の柄には,すべり止めとして天然の蔦が使用されているが,年々入手が困難になっている。そのため,天然素材に代ってプラスチック素材の使用が検討されているが,摩擦力の低下が懸念されている。
そこで,天然素材とプラスチック素材との摩擦力を定量化することによって両者の差を検討し,商品開発に活用する。
本研究では,鋸を挽く力を鋸の柄を把持する力で除して,摩擦係数に相当する値とし,これらを各種条件で比較した。
161【2011年報告】
太陽光発電研究会報告
CO2の排出削減するため,再生可能エネルギー導入が積極的に進められている。中でも太陽光発電は,国の補助金制度が復活し,平成22年度から発電余剰分の固定価格買取(フィード・イン・タリフ=FIT)制度が始まり,急速に需要が増えている。
このような背景の中,新潟県は平成21年度から新エネルギー産業群形成事業として太陽光発電研究会を開催し,太陽光発電に関する講演や職員による情報提供を行い,県内企業の太陽光発電市場への参入および企業間連携推進を支援した。また,県内企業の取り組みや先進企業の状況を調査し,県が取り組むべき課題について検討した。
今年度は,いくつかの課題の中から,太陽光発電の雪国での施工とパネルの取り付け金具を中心に実施することとし,施工業者と金具メーカーを中心に会員を募集し,研究会を開催したので報告する。
162【2011年報告】
ゴミ取り用トング挟持部の滑り止め機構に関する研究
滑り止めのため,挟持部にシリコン製カバーを装着したゴミ取り用トング(以下開発品と略す)の機能について検証を行った。本研究では瓶・缶などを挟持した際の摩擦力と挟持力の比から摩擦係数に相当する値を算出,カバー非装着である従来品との比較を行い,カバーの滑り止め効果を検証した。加えて,実際に被験者にゴミ取り動作を行わせ,その際に要した挟持力を測定することで作業時における身体的負担の低減効果についても検証を行った。
163【2011年報告】
ナノテク機器利用技術講習会報告
電子機器,光通信,医療機器の小型化に伴い,微細形状を付与した高機能部品や超精密加工部品の利用拡大が進んでいる。これらに対応しうる技術に,ナノテクノロジー(物質をナノメートル[1nm=10-9m]領域で自在に制御する技術)があり,国の重点支援技術領域に指定されるなど製品の高付加価値化を実現する技術として期待されている。しかしながら,本県の主要な製造業である一般機械,精密機械等既存企業の取組みは,先端産業であるがゆえの技術習得や導入の難しさ(機器が高額)のため,進んでいないのが現状である。そこで,既存産業へのナノテクノロジー技術の導入,普及を図るため,NICOナノテク研究センター機器を利用した技術講習会を実施した。
164【2010年報告】
CAE研究室における技術支援事例
CAEを専門とする職員を中心にWeb上に仮想組織『CAE研究室』を設置し,ミニ共同研究をはじめとするCAEを用いた技術支援の効率化を試みた。本報告書ではCAE研究室Webの概要と成果について報告する。
165【2010年報告】
マイクロウェーブ試料分解装置による試料分解方法の確立
マイクロウェーブ試料分解装置(BERGHOF社製,以下MWと略)は,プラズマ発光分析や原子吸光分析等の前処理装置として試料を分解(溶解)することに利用されている。図1(a)に当支援センターで導入したMWの外観を示す。
当支援センターでは,これまでプラズマ発光分析(以下,ICPと略)の前処理(試料の分解)は開放系であるビーカーを用いて塩酸や硝酸等の酸を単独または適宜組み合わせて行ってきた。また,ビーカーの加熱方法にはホットプレートを利用してきた。
一方,MWは図1(b)に示す耐圧容器へ向けてマイクロ波を照射し,容器内の水溶液に吸収させて,水溶液を短時間で昇温・昇圧できることが特徴である。通常の試料分解には酸を使用し,試料毎に使い分けする。さらに,密閉系であるため操作中は外部からの不純物混入や容器内からの試料散逸を防止できる。この容器はマイクロ波の透過が良く,耐薬品性に優れたフッ素樹脂でできている。
また,容器内の急激な昇圧への安全対策は図2に示すように内蓋が破損して内圧を下げ,同時に排出されたガス(酸を含む)を容器に接続したチューブにより排気装置へ導くため万全である。
ICPの前処理例として樹脂製品を分解する方法は,ビーカーを用いた場合,硫酸に過酸化水素,硝酸または過塩素酸を適宜組み合わせて行っている。一方,密閉系であるMWは硝酸を沸点以上(120℃程度)で利用することにより樹脂を単独で分解できる可能性がある。これは,鉛のように硫酸で難溶性の塩(PbSO4)を生成する元素成分の分析にとって極めて有効である。
 そこで,県内企業へICPの利用(依頼試験および機器貸付等)拡大を図ることを目的に,工業製品として幅広く利用されている樹脂について,MWでいくつの樹脂が同時に処理(試料分解)できるのか検討したので報告する。
166【2010年報告】
重粉砕機の騒音低減について
県内企業が製造した,騒音低減対策を施した重粉砕機(図1参照)について,対策の効果を検証するため4種類のマテリアルの粉砕時における騒音を測定した。
167【2010年報告】
鋳造品の外観検査装置導入に関する研究
鋳鉄品は複雑な形状部品を大量に製造できるため,安価な量産部品として製造されている。しかし,鋳型に不具合が生じたり,鋳造条件が不適当だったりすると鋳鉄品に欠陥が発生する。そのため,目視による外観検査が行われているが,検査員による個人差や疲れによるばらつきが生じるため自動化が望まれている。2008年度の「画像処理を利用した鋳鉄品の外観検査の自動化についての研究」1) において試作した外観検査装置を企業の現場に導入するための実験を行った。様々な欠陥サンプルに対して,照明の位置,カメラのゲインの条件を変更したときの欠陥の検出のしやすさを評価した。
168【2010年報告】
ハット曲げ成形のスプリングバックに与える加工条件の影響
ハット曲げ成形におけるスプリングバックの抑制のため,金型形状やしわ抑え力などの成形条件がスプリングバックに与える影響をFEM解析により調べた結果,成形中の材料に加わる引張応力が大きくなるとスプリングバックが減少することがわかった。また,その結果を基に成形条件を変えた実験を行い,解析結果を確認,検証した。
169【2010年報告】
高空間型レーザ三次元座標測定システムの高機能化に関する研究
近年,大型構造体の製造現場では機械加工や溶接後の寸法を高精度に管理することで,後工程の組立時に発生する不具合の修正工数を低減させたいという要望が高まっている。そのためには,その大型構造体上の三次元座標を離れた位置から高精度に測定する必要がある。著者はそれらの要望に応えるために,レーザ測長器を用いた簡易的な三次元測定システムの開発を進めている。ここでは数メートルから十数メートル程度の大きさがある構造体の寸法を,数ミリメートルの精度で測定することを目標としている。昨年度の研究では,レーザ測長器とガルバノスキャナで構成した測定システムの試作開発を行った1)。
そして本年度の研究では,そのシステムのさらなる高機能化に向けて,近年低コスト化かつ高精度化が進んだ無線通信型レーザ測長器の本システムへの適用を行った。さらに測定時間の短縮を目的とした制御計測ソフトウェアの改良を行った。本報では,それらの開発概要を紹介すると共に,測定実験による形状測定精度の検証結果について報告する。
170【2010年報告】
高刺通性次世代型縫合針の研究開発
本実験では医療用縫合針を対象として,超精密加工機により先端形状が1μm以下となる微細針モデルなどを切削加工し,形状と刺す際の抵抗力(刺通力)との関係について実験を行った結果,先端頂角が大きい方が刺通力は大きくなり,先端の鋭さよりも刺通力に影響を及ぼすこと,胴体部分の軸断面形状は正方形よりも側面が抉れ,稜線部が鋭い方が刺通力を低く抑えることができるなどの結論を得た。
171【2010年報告】
干渉回避シミュレータの開発
従来5軸加工機は,工作物に対して任意の工具姿勢を与えることができることから,一体化構造で薄肉・複雑曲面形状のタービン翼,プロペラなどの自由曲面の加工,インペラ翼面のルールド面の加工などに使用されてきた。近年,より単純な形状の一般機械部品や金型などの加工分野においても,段取り替えの省略による工程削減などへの期待から,5軸加工機による高速・高精度加工が注目されている。また近年,市場の急拡大が予測されている航空機分野では,部品の多くが5軸加工機により加工されている。5軸加工においては,技術的利点を有する反面,干渉の生じないNCプログラムの生成は複雑であり,その実現は容易でない。例えば,工具系形状(工具,工具ホルダ,スピンドル)とテーブル系形状(工作物,ジグ,テーブル)間に生じる干渉は,加工機を用いたテストランもしくはシミュレータによって検出し,干渉が生じた場合は,作業者が加工戦略を変更し,干渉が生じない経路を再生成する必要がある。5軸加工機を用いる企業においては,高速で,最適なNCプログラムの生成を可能にするシミュレータに対する強い要望を持っている。
本研究では,市販CAMより出力されるNCプログラムに対して,工具系とテーブル系間に生じる干渉を,高速かつ確実に検出することができ,その干渉を自動で回避することができる機能を備えた干渉回避シミュレータの開発を行った。
172【2010年報告】
太陽光発電研究会報告
太陽光発電は,世界的な景気後退の中においても市場規模が拡大し,今後も成長が見込める分野である。日本市場では,太陽電池設置に対する補助金が復活した上に発電余剰分の固定価格買取(フィード・イン・タリフ=FIT)制度が始まっており,急速に需要が増えてきている。また新政権は,地球温暖化対策の中期目標として90年比でCO2の25%排出削減を目標に掲げており,太陽光発電導入による対策がますます重要性を高めている。一方で,太陽光発電の発電コストは,電力会社にはほど遠い水準にあり,政策支援により作られた需要(政策需要)に依存している状態である。このため発電コスト低減に向けた革新的技術開発が,強く求められている。
このような背景の中,当研究会では県内企業の太陽光発電市場への参入および企業間連携推進の支援を行うことを目的として,研究会開催による情報提供や太陽光発電に関する調査等の活動を行ったので報告する。
173【2010年報告】
天然素材活用研究会報告
新潟県の木製家具工業は,かって,箱物家具
を中心とした全国有数の家具産地を形成していたが,生活様式の変化や海外製品との競合から厳しい状況に追い込まれている。しかしながら本県の木製品製造業には,加茂の桐タンスや村上の堆朱に代表されるように,固有の伝統技術を有し,国内で高いシェア占めながら産地を形成している業種もある。また,他社には真似のできない高度な技術を有し,広くマスコミで紹介される企業もある。
 このような状況の中で,県内木製品製造業の技術の高度化を進め,市場ニーズにマッチした「ものづくり」を目指すために,「ものづくり技術連携活性化事業」の一環として,平成21年度より,天然素材活用研究会を開始した。
 本研究会は,天然系素材である木材や木質系材料を利用した産業群,とりわけ木製家具や木工品,建材などの製品製造業を主な対象にして,木製品を製造する上で必要な技術の習得を目的としたセミナー,勉強会を計画した。
また,県内企業の技術シーズの把握を目的とした調査を行うとともに,最新の技術動向の情報収集のために,メンバーによる各種展示会や学会への参加,大学や先進企業等の研究・技術動向調査を行った。
174【2010年報告】
表面技術研究会報告
めっき,化成処理,研磨,洗浄,熱処理,塗装など様々な表面処理企業はもとより,金属,プラスチック,セラミック,天然素材製品から自動車や工作機械,電子デバイスなど,ありとあらゆる工業製品が表面処理工程を経て最終製品化されており,表面技術は「ものづくり」に関連する基盤産業技術となっている1)。
基盤産業技術である表面技術では,ニーズの多様化,環境問題,安全性など「ものづくり」を行う上で品質管理は必要不可欠である。産業グローバル化に伴う海外製品との性能・価格競争も激化しており,いかに品質の高い製品を安定して製造していくかが鍵となっている。
本研究会では,もの(製品・材料)の高品質化や安定化を確保していくという課題に対し,様々な面から解決策を探ることを目的とし調査研究を実施した。活動内容は,セミナー開催,技術動向調査,県内外企業調査である。特にセミナーについては,今年度「表面評価技術」をメインテーマとして,研究会スケジュールを組み立てた。
175【2010年報告】
窒素含有ニッケルフリーステンレス綱の実用化研究
SUS445J2,444相当のFe-22mass%Cr-1mass%Mo,Fe-21mass%Crを用い,窒素吸収処理プロセスに関する研究を行った。素材を窒素雰囲気・高温で処理することで,表面部から窒素が固溶してオーステナイト相に変態する。形成するオーステナイト相の厚さは処理温度,時間に依存し,フェライトスコープによるフェライト量からその厚さを推定することが可能である。80℃までの高温雰囲気で耐孔食性を評価する孔食電位や塩化第二鉄腐食試験を行い,低温域の結果と比較したところ,既存のステンレス鋼の耐食性が大きく落ちたのに対し,窒素吸収ステンレス鋼は腐食性の落ち込みはわずかで,既存材を大きく上回る耐食性を示した。
176【2010年報告】
たて糸インクジェット捺染織物の試織
たて糸捺染は捺染(プリント染め)の一形態であり,布帛に対して行う一般的な方法と異なり,製織前の引き揃えられたたて糸に対し捺染を行う手法である。よこ糸が無いため、糸の密度が疎な状態で捺染を行え,捺染面の裏側まで染料が行き渡り,製織後の織物は表裏が同じ色柄に仕上がる。これは一般の捺染品にはない特長である。
たて糸捺染織物の一例としてほぐし織がある。これはごく粗くよこ入れして仮織りした織物に捺染を施し,よこ糸をほぐしながら本製織を行う工程を経る。大正昭和期に着物柄として隆盛を極めたが,現在は工業的な規模ではほとんど行われていない。
織物整理業の(有)金丸整理工業(見附市)は、たて糸巻き取り装置と大型インクジェットプリンタにより構成されるたて糸インクジェット捺染装置を開発した。これは製織用ビームに巻いたたて糸に対してインクジェットプリンタにより染料を捺染した後,これを製織,熱処理を行い、たて糸捺染織物を得るものである。このたて糸捺染技術には多くの特長がある。まず旧来のほぐし織りと異なり,仮織りとほぐしの工程がないことによる効率の良さがあげられる。捺染はビームに巻かれたたて糸の始端から終端まで連続的に行うことができ,フィルム貼付等によりたて糸を固定する手間もなく,不用な柄の切れ目が生じることもない。また、コンピュータとインクジェットプリンタによるデザインと染色のため,柄の表現,色数に高い自由度がある。もちろんビームの途中で色柄を変更することも可能であり,多品種小ロット化対応に適している。
また、そもそもたて糸捺染の広幅織物自体が従来市場にない新規のものであり,生地表裏が同柄の広幅捺染生地という特異性,優位性を生かし,従来捺染織物が不得手としてきた,生地の裏側にも柄表現できることが活かせるような商品分野への展開,例えばブラインドなどのインテリア用品等,衣料以外の用途へも活用が期待できる。
当センターはこの捺染技術の開発に対し本年度も対応素材の幅を広げるためのミニ共同研究を実施するなど継続的に支援を行ってきた。本研究は当技術をPRするための見本品製織を行ったものである。
177【2010年報告】
安心・安全・環境を配慮した繊維製品作りの支援
近年,消費者の購入商品に対する安全性や環境への優しさへの意識がかつてない高まりを見せている。工業製品も例外でなく,肌身につける繊維製品においてはその傾向が顕著であり,染料や助剤に対して各種規制により使用が禁じられたり,使用量について報告義務が課せられたりしている。また,エコテックススタンダード100をはじめとした安心安全や環境に配慮した繊維製品の認証制度も次第に浸透しつつある。
しかしながら地場中小繊維企業においては規制や認証などに関する情報入手経路が確立しておらず,また有害物質等の分析について対応可能機関が分からなかったり,時間や費用の面がネックとなったりと,今後いっそう重要性を増すとも思われるこの分野について対応に苦慮している話も伝わってきている。そこで本研究では安心,安全で環境に配慮した繊維製品づくりに役立てるべく,まず県内繊維企業に対し聞き取り調査を行い,現況の把握とニーズの洗い出しを行った。次に,寄せられたニーズのうち,特に分析に関するものについて,当センターで実施可能な内容か検討した。そして対応可能と思われたものに対しては必要な資器材を調達したうえで,依頼試験等での実践的な対応実現に向け試分析を行った。
178【2010年報告】
重粉砕機のデザイン開発支援
新開発の一軸式重粉砕機UFP-130について開発目標に設定した「世界に通用する機械デザイン」を達成するため,商品開発評価手法を用いた製品情報分析を行い,現在の市場動向を把握し,競合製品群に対する開発機の位置付けを確認した。また外観デザインにおいてコンピュータグラフィックス(以下CG)を使用したデザイン提案を行い,決定形状に反映された。完成した後はグッドデザイン賞,ニイガタIDSデザインコンペティションに応募し,開発機の客観的評価を得た。
179【2010年報告】
排熱利用研究会報告
近年,国連は気候変動枠組み条約締結国会議(COP)により温室ガス排出削減目標を決めており,我が国においても消費される多くのエネルギーが再利用されずに廃棄されている。                 
こうした中で,当県には食品や鋳物関連の企業が多く,これらの工場設備からの排熱を再利用することは長年の懸案であった。そこで,この排熱を利用して新たなエネルギーシステムを構築し,排熱分野におけるニュービジネスの創出を目的とする「排熱利用研究会」を開催した。ここでは,工場排熱の現状把握,排熱に関する最新技術調査,エネルギー全般に関する講演,県内企業の排熱に関する意識調査等を実施し情報提供を行った。また,最終的に参加企業を中心とした研究体を作り,スターリング発電機による排熱利用の研究テーマを提案することとなった。
180【2010年報告】
C-FRP研究会報告
炭素繊維複合材料(以下CFRP)はその優れた特性から次世代の産業資材として航空宇宙,自動車,土木建築,スポーツ・レジャー分野等様々な分野で利用されているが,製品化には素材から中間基材,成形,機械加工技術と多くのプロセスを必要とし,多くの課題を抱えている。
 本事業では,昨年度に引き続きCFRPの研究開発や事業化の推進を目的として,CFRPの市場調査,技術的課題等について調査を行い,参入の可能性について検討した。あわせて研究会参加企業を対象にしたセミナーや低コスト量産型成形技術として樹脂含浸工程を省くことを目的とした混繊技術や中間基材の製造技術に関わる予備研究を実施した。
181【2010年報告】
EV技術研究会報告
本研究会は,新潟県内の製造業が,EV(電気自動車)関連市場への参入を考えた場合に,どちらの方向を向き,何をすればよいか?のヒントを与えることを目的として,EV関連技術の動向,EV関連業界の動向を把握するために,それらに詳しい講師を招へいし,技術セミナーを合計3回開催した。その際,併せて参加企業に対するアンケートにより,EVに対する意識調査を行った。また,各種セミナー,展示会に参加し,調査を行った。さらに,県内企業におけるEVへの対応,開発状況を把握するために,県内企業の調査を行った。また,昨年の12月には,太陽光発電研究会,排熱利用技術研究会と共同で,「新エネルギーフォーラム2009」にも参画し,EV関連技術の普及啓発を図った。
以上の調査,活動結果を総合し,EVに関して,今後県内企業および工技総研が進むべき方向を検討した。
182【2010年報告】
熱処理研究会報告
自動車や建設機械,家電から身の回りにある刃物まで多くの工業製品が熱処理工程を経て最終製品化されており,熱処理技術はものづくりに欠かせない基盤技術の一つとなっている。
古くから利用され基本的には成熟した技術ではあるものの,最近の各種機械の高性能化及び自動化などから,部品の軽量・高強度・高精度化や,金型の高寿命・低歪化,処理コスト低減等が求められ,さらなる技術の高度化が必要とされている。
新潟県は県央地域を始め金属加工企業が多く集積していることもあり,東日本の熱処理事業者の団体である東部金属熱処理工業組合の加盟82社中10社が新潟県内に事業所を持ち,神奈川,東京に次ぐ数となっている。さらに組合非加盟の企業や社内で製造工程の一部門として持つところも多く,熱処理に関係する県内企業は相当数に昇る。
昨年度に引き続き,これら熱処理関連企業を対象に,研究会等の組織化を視野に置きながら,熱処理をキーワードとした情報提供と,事業に対する機運醸成のために講習会などを行った。
183【2010年報告】
業務用ダイヤモンド刃物の開発
刃物製品はその多くが輸入品との競争にさらされている。一方で,輸入品との差別化や海外への輸出を目的に付加価値の高い新製品を開発し市場へ投入する動きも活発になっている。  
我々は刃物の耐久性の向上に着目し,その手段として,刃先表面の硬度と耐摩耗性を付与することを考案した。ダイヤモンド粒子を金属皮膜中に共析・分散させたダイヤモンド複合金属皮膜は硬度が高く,耐摩耗性と固体潤滑性に優れた特性を有している。本研究ではブレード(刃部)にダイヤモンド複合コーティングを施した包丁を試作し,性能試験を行うとともに皮膜の解析を行い,包丁への適用可能性について研究した。また,包丁以外の刃物への適用可能性について調査した。
184【2010年報告】
感性工学研究会報告
機能性による差別化が困難となってきた現在では感性品質やデザイン性の向上が製品付加価値向上につながるひとつの突破口であると考えられ,製造業者にとっては優れたデザインを如何に製品として作り上げるかが課題である。優れたデザインを的確に製品として表現できる企業が他社に対して優位性を持てると考えている。
本研究会では,感性品質に関して現在の県内製造業での課題や取り組みを探った。
また,技術啓蒙活動として測色測光およびカラーデザイン等に関する3回の技術講演会を実施し,のべ94名が参加した。
担当者による各種展示会や技術講習会に参加しての技術動向調査の結果,全般として色彩等の心理物理量に関して品質管理で苦慮する例が多くみられるが,塗料・染料・印刷・繊維など一部の業界では色彩管理技術が一定のレベルまで確立して運用されているので他業界への応用展開の可能性がある。一方,光沢や質感等についてはまだそれと比して管理体制が確立しているとは言い難い。色彩管理や外観検査・目視検査の技術動向を調査した概要をまとめると,色彩管理については十分確立された手法があり,その技術啓蒙が可能と思われ,外観検査技術についても確立された手法の技術啓蒙を次年度行うことが有用と思われる。
県内製造業を対象に行った調査の結果,多くの場合において,現状では開発工程において ユーザー企業やデザイナーの感性品質要求をどう製品に実現するかについての知見や手段が十分でないことが課題であり,また製造工程においての感性品質の管理・検査の体制や技術が十分でないことが課題であることが分かった。
またその解決を支援するためには現状当所が十分な体制ではなく,今後の研究会の取り組みとしては,技術啓蒙と併せて上記の課題解決に向けた具体的構想を立案することが必要である。
以降の章では,動向調査の結果と関連技術の俯瞰について述べた後,全体をまとめる。
185【2010年報告】
匠の技を継承し発展させる技能伝承支援システムの開発(第2報)
製造業において検査作業は,未だ人手に頼るところも大きく,特に,製品の色彩検査の効率化は現在大きな課題の1つとなっている。最近の製品には,小さい範囲でそれぞれ複数の色が用いられることも多く,決められた範囲の平均値しか測定できない従来の測定器では,限界があった。また,非常に小さい製品も同様に,測定器による測色は非常に難しい。そこで,本研究では,対象となる製品をデジタルカメラにより撮影し,製品の色彩をモニタに忠実に再現し,さらに,モニタ上で選択した任意の範囲(最小単位は1画素)の色彩データを表示可能とする,カメラ撮影型測色システムを構築した。それをもって,熟練作業者による製品色彩の目視検査技能を継承するための支援システムを開発したので報告する。
186【2010年報告】
暗号鍵の生成・管理を考慮したディジタル動画像のアクセス制御
ディジタル動画像を対象に,鍵管理および配送において効果的な暗号鍵生成法を用いたアクセス制御方式の研究を行った。静止画像に対する既存のアクセス制御方式を応用することで,フレームレートなど時間軸の階層に対応する動画像のための新しいアクセス制御方式を考案した。
187【2010年報告】
高齢化社会に適した再生医療普及のための安価な培養システムの開発(第2報)
平成20年度に続き1),再生医療に使用するための細胞培養用の柔らかい足場の開発を行った。その結果,新潟県繊維産地が持つ編み技術などを活用し,天竺編み地で問題となっていた編み地のメクレ上がりを防止する処理を見いだし,また培養細胞との親和性をあげるため,UVオゾン加工を施しぬれ性を向上させた細胞培養用足場を試作できた。
188【2010年報告】
低炭素社会にふさわしい雪による新たな新潟ブランドの創造
本研究報告は平成21年度から22年度にかけて新潟県農業技術総合研究所食品研究センターが主体となって行う創造的研究制度の表題テーマにおいて,新潟県工業技術総合研究所下越技術支援センターが分光分析などの技術で参画した結果をまとめたものである。
古くから「雪室」を利用して食品や野菜を貯蔵しておくと「おいしくなる」「甘くなる」ということが経験的に言われているが,科学的に根拠が乏しいことが指摘されている。この「雪室」は地球温暖化問題に関連してCO2排出を削減する観点から優れた保存方法として見直されており,「おいしくなる」理由が科学的に明らかになれば「雪」のネガティブなイメージをポジティブに転換し,低炭素社会にふさわしい新たなニイガタブランド創出へと展開していきたいというのが本研究の発端である。他に高冷地農業技術センターが参画しており,新潟県立大学,雪だるま財団,JA津南町の支援・連携を仰いでいる。工業技術総合研究所は県内企業のトラブル分析や研究開発に寄与してきたが,近年,食品製造業からの依頼試験にも取り組んでおり,平成19,20年度には創造的研究制度によって「科学チップの開発」を行い,混合物組成を分光分析レベルで行うことが可能となり食品分析にも展開してきている1)2)。本研究は県内の他の研究機関であまり行われていないこの分光分析手法を「雪室」の効果検証に利用できるか検討するものである。分光分析の特徴は分析プローブを小さくすることが可能であることから,組成分布を知ることも可能である。したがって,従来行われてこなかった「雪室」保存によって糖などの分布変化を捉えることができれば,保存による物理的な拡散や外部環境に対応した酵素などによる能動的変化が起こることも検証できるのではないかと考えられる。
 なお,今年度は実際の「雪室」保存サンプルが年度終盤に持ち込まれ出すため,保存される予定のいくつかの食品素材に関する予備実験を行った結果(特にニンジン)のみを報告する。
189【2010年報告】
超音波キャビテーションを利用した軽合金材料表面への圧縮残留応力付与技術の開発
ステップ型ホーンにより増幅された超音波振動により,水中でキャビテーションを発生させ,その周期的な崩壊圧で金属表面をピーニングする効果により表面に圧縮残留応力を付与できる。本研究では,従来の円筒ステップ型ホーンよりも大型のバー型超音波ホーンを開発し,適切な速度で走査させることにより広い面積に対してピーニングを適用する技術を開発した。A5052圧延板表面200×180mmに対し,超音波加工ヘッドを180mm/minで走査することにより,表面粗さをほとんど変化させることなく均一に-100MPa程度の圧縮残留応力を付与することができた。
190【2010年報告】
マグネシウム合金製電動カート部品の試作
軽量化,リサイクル性の観点から注目されているマグネシウム合金について,その加工技術開発が多方面から進められている。また,マグネシウム合金を用いた製品の試作,開発も進められ,新たな商品として提案がなされている。こうした中で,都市エリア産学官連携促進事業(長岡エリア発展型)において,これまでの研究成果を採りいれたマグネシウム合金製の電動カートの試作を行った。当所においては,本事業で取り組んだ板材の成形技術,パイプの曲げ技術および高耐食性表面処理技術を用いた部品の試作を行ったので,その内容を紹介する。
191【2010年報告】
重粉砕機異物混入時の回転歯のCAEによる衝突解析
廃棄物の粉砕を行う重粉砕機が,硬い異物をかみこんで急停止した際に装置各部に生じる影響や,これを軽減する過負荷保護装置の効果についてコンピューターシミュレーションにより調べた。解析の結果,急停止時に回転刃を支えるシャフトのキーまわりに非常に大きな負荷が作用すること,またその主な要因は回転刃自体の回転エネルギーによるものであることがわかった。加えて過負荷保護装置は粉砕機の損傷低減に効果があることがわかった。
192【2010年報告】
ナノテク機器利用技術講習会
電子機器,光通信,医療機器の小型化に伴い,微細形状を付与した高機能部品や超精密加工部品の利用拡大が進んでいる。これらに対応しうる技術に,ナノテクノロジー(物質をナノメートル[1nm=10-9m]領域で自在に制御する技術)があり,国の重点支援技術領域に指定されるなど製品の高付加価値化を実現する技術として期待されている。しかしながら,本県の主要な製造業である一般機械,精密機械等既存企業の取組みは,先端産業であるがゆえの技術習得や導入の難しさ(機器が高額)のため,進んでいないのが現状である。そこで,既存産業へのナノテクノロジーの導入,普及を図るため,NICOナノテク研究センター機器を利用した技術講習会を実施した。
なお,本技術講習会は(財)にいがた産業創造機構(NICO)の平成21年度産業基盤形成支援事業である。
193【2010年報告】
cBNボールエンドミル工具による鉄系材料の鏡面加工(第2報)
焼入鋼の鏡面加工にcBN(立方晶窒化ホウ素)ボールエンドミルによる三次元曲面を適用することを目的として工具の切れ刃にスカイフ盤研磨を施した。潤滑条件を検討した結果,切削油を用いた加工では工具逃げ面に凝着摩耗を生じたが,ドライ加工では凝着が抑制され,切削面粗さは小さくなった。直径1mmの小径ディンプルの加工では,形状偏差および切削面粗さは市販ボールエンドミルを用いた場合と比較して大幅に改善された。
194【2010年報告】
マグネシウム合金の実用的な表面処理技術の開発および評価(第3報)
前報までに報告を行ってきた前処理法および化成処理法を市販材であるAZ31材および開発材であるAM50,AM60材に適用し,表面処理後に塗装を行った試験片について連続1000時間の塩水噴霧試験および30サイクルの複合サイクル試験により耐食性評価を行ったところ,良好な結果を得た。
また,サイズの大きなサンプルにも処理可能な大型化成処理装置を試作開発し,開発した処理法が電動カート用の底面パネル,シートフレーム等の大型実用部品へも問題なく適用できることを確認した。
195【2010年報告】
多軸高速加工研究会報告
新潟県内の機械加工技術力は全国的にも高く,特に自動車産業向けの金型や部品加工の分野で優れた切削加工技術を有する企業が多い。しかし国内の自動車産業は海外生産の拡大や中国,インドといった新興国メーカーの台頭などによって,今後の拡大が見込めない。このような状況の中で県内の金型業界,機械加工関連業界では,今後新たな伸びが期待できる分野への進出を模索しており,航空機産業やエネルギー関連産業に注目している。
これらの産業では高い信頼性・安全性・耐久性が求められる。使用される部品については,信頼性を高めるために,素材からの機械加工による削り出しであること,さらに極力接合部を少なくする設計思想から複雑な形状が多いことが特徴である。このため,従来の3軸制御工作機械による加工では対応が困難となり,多軸制御の加工を必要とする。また使用される金属材料は,高耐食・耐熱性,高強度を達成するためにチタン合金や耐熱合金などの難削材が多く使用されつつある。工業技術総合研究所では平成21年1月より,(財)にいがた産業創造機構の市場開拓技術構築事業「チタン合金等の革新的加工技術開発」を受託し,従来の切削加工技術に対して圧倒的な競争力を持つ固有技術を開発し,航空機・エネルギー関連産業をはじめとした新しい市場への参入を促進する手段となり得る研究開発を行っている。
多軸高速加工研究会は,上記の研究開発事業の一部であり,新潟県内の機械加工に関わる技術者を対象として,多軸加工や高速加工技術に関する知識や技術向上を目的としている。
196【2010年報告】
マグネシウム合金管の浮動拡管プラグ曲げ加工技術の開発
浮動拡管プラグ曲げ加工技術のマグネシウム合金管への適用を試み,その加工性について評価を行った。その結果,曲げ比(曲げ半径/曲げパイプ外径)1.7の厳しい曲げ加工が可能であることを示した。さらに,同加工法における円管曲げにおいて,曲げ加工性の向上と曲げパイプのさらなる形状の改善を目的にプラグの形状に工夫を加え,テーパ形状を付与した拡管プラグを用いて加工試験を行いその効果について調べたが,成形性改善の効果は確認されなかった。さらに,曲げ部の金属組織観察を行い,加工温度の影響について調べたところ,曲げ各部に双晶変形を確認するとともに,加工温度を高くにすることにより動的再結晶を利用した成形性に富む加工の可能性を示した。
197【2010年報告】
マグネシウム合金の複雑形状プレス加工技術の開発
マグネシウム合金は軽量で比強度が高いことから,その板材をプレス加工により複雑な形状に成形することで,これまでにない付加価値の高い製品を得られる可能性がある。本研究ではマグネシウム合金の複雑形状プレス成形として,板材に複数の三角錐台形状を有するテトラボードを対象にシミュレーションを用いて成形工程を検討した。実際に成形可能であることを試作により確認し,本手法による工程設計の有効性を示した。また,ブロー成形による加工に比べ,加工時間の大幅な短縮と板厚分布の均一化を達成することができた。
198【2009年報告】
ユニフォームの防汚性試験方法に関する研究
ユニフォーム使用時の汚れを再現する試験方法について検討した結果、ナノサイズの汚染物質を使用すること、また汚染物質を複数組み合わせることが有効であることがわかった。フッ素系はっ水加工布とフッ素系糸素材を用いた編み地で汚れにくさ試験と付いた汚れの落ちやすさ試験を行った結果、PTFEの糸素材を用いた編み地の防汚効果がよいことがわかった。
199【2009年報告】
溶接技術の高度化に関する調査研究
ロボットを使った溶接が普及しているが、技術的課題が多いのが現状である。そこで県内の溶接関連企業にヒアリングを行い、企業が抱える課題、要望等を調査した。中でもロボットに動作に必要な情報を与えるティーチング技術について簡易的な方法の実験を行い、実現の可能性があることがわかった。
200【2009年報告】
炭素繊維複合材料の製造と用途開発に関する調査研究
炭素繊維は環境規制への対応や省エネルギーへの期待から注目されている材料である。そこで炭素繊維複合材料CFRPの特徴や性質、課題等について調査を行い、事業化の可能性を検討した結果、県内企業が参入にしていくにあたっての課題等を把握することができた。
201【2009年報告】
ウェットブラストを利用したリフトオフプロセスの開発
パルス細線放電法により試作したアルミナのナノ粒子でスラリーを作製した。このスラリーを使用したウェットブラストをリフトオフプロセスに適用して,金属配線のパターニングを試みた。従来のリフトオフプロセスと比較して,パターン形成が容易になるとともに,サブミクロンオーダーの微細パターンの形成も可能となった。さらに基板表面を保護する工程を付与することにより,ブラストにより生じるパターン表面の損傷を防止することができた。
202【2009年報告】
難削材の加工技術研究
チタン合金の荒加工から仕上げ加工に必要最小限の工具種類で加工する高速ミーリング加工技術を適用し、実加工時間や工具費の低減、CAM操作に費やす時間の大幅な低減に取り組んだ。
203【2009年報告】
航空機産業参入に係る可能性調査報告
長期的な有望産業として期待されている航空機産業への参入の可能性を検討することを目的に「新分野チャレンジ研究会」を開催した。この研究会では講演を主体とする勉強会や、各種セミナーや展示会への参加、国内重工メーカーおよび航空機運航会社へのヒアリング調査等を行った。これらの活動により新潟県の企業が航空機産業へ参入するうえでの課題等について把握し、実際の参入の支援策を提案した。
204【2009年報告】
プレスシミュレーションにおける材料特性の逆解法に関する研究
プレスシミュレーションに必要なプレス材料の加工硬化特性を,材料試験を行わずに既存のプレス成形の結果とプレスシミュレーションを利用して推定する方法について基礎的な検討を行った。円筒深絞りを対象として,加工硬化特性の変化が成形結果に与える影響について検討した結果,加工中のパンチ荷重の測定が加工硬化特性を最も逆算しやすいとの知見を得た。
205【2009年報告】
高断熱・均熱金型の開発
温間絞り加工用などの熱源を有する金型に対して,断熱性能の向上と温度分布の均熱化を目的に,シミュレーションを用いた数値解析手法による高断熱・均熱設計手法の確立に取り組んだ。その結果,適切な断熱対策を採ることで,加熱に必要なエネルギーを従来比1/2以下に削減できることを示した。また,熱源の配置を適切に行うことにより,加工領域の温度分布を均一にできることも併せて示した。実際に, 250×500mmマグネシウム合金板用ブロー成形金型(以下ブロー成形金型)を450℃の使用条件にて設計・試作を行い,本設計手法の有効性を示した。
206【2009年報告】
布の繋ぎ目検出および測長に関する研究
反物の長さの測定については、繋ぎ目を目視で確認しながら測長しているのが現状である。繋ぎ目を自動で高精度に検知し、その繋ぎ目間の長さを自動計測表示するためのシステム開発を行った。
207【2009年報告】
窒素吸収処理ステンレス鋼の開発
SUS445J2相当のFe-22mass%Cr-1mass%Moを用い,窒素吸収処理プロセスを開発した。素材を窒素雰囲気・高温で処理すると,表面部から窒素が固溶してオーステナイト相を形成することがわかった。短時間処理では中心部にフェライト相が残るが,処理時間を長くするとフェライト相は薄くなり,4hの処理でオーステナイト単相となった。窒素吸収処理材について耐孔食性を評価する孔食電位の測定や塩化第二鉄腐食試験を行ったところ,既存のステンレス鋼を大きく上回る耐食性を示した。
208【2009年報告】
cBNエンドミル工具による鉄系材料の鏡面加工
cBNボールエンドミルによる鉄系材料の三次元曲面の鏡面加工を実現することを目的に工具の開発を行い,工具の表面粗さや切れ刃稜線の位置が加工面の表面粗さにおよぼす影響について調べた。スカイフ盤研磨を施したcBN工具を用いることにより焼入鋼の切削面粗さが改善された。主軸を加工面に対し直角にしたときの切削面粗さを改善する回転中心刃形状を検討したが,効果はわずかであった。
209【2009年報告】
鋳物廃砂ダストをシリカ原料とする有用物質製造の研究
リサイクルが難しいとされているフラン樹脂廃砂ダストを原料に有用な物質へと転換させる方法について検討した。けい酸質肥料に転換することを目標として、焼成温度や配合組成などの焼成条件に関する基礎実験を行った。また実際に事業化した場合の問題点等についても明らかにした。
210【2009年報告】
省Ni型オーステナイト系ステンレス鋼のプレス成形性(誘導加熱用鍋釜の軽量化に関する要素技術開発研究)
オーステナイト系ステンレス鋼の代表鋼種であるSUS304と同等の加工性と耐食性を目指した材料として注目されている省Ni型オーステナイト系ステンレス鋼(Cr-Mn-Niオーステナイト系ステンレス鋼)の機械的性質の温度依存性および,常温と温間におけるプレス成形性を調べ,SUS304とほぼ同等の絞り成形性であり,温間加工によってさらに成形性が向上することを示した。また,温間での再絞り加工を行い,再絞り率55%の成形が可能であること,また,成形品のパンチ肩部で板厚が最も薄くなるものの,加工誘起マルテンサイト変態の発現はわずかであることを示した。
211【2009年報告】
たて糸インクジェット捺染織物の開発支援
たて糸捺染装置により染色を行ったものを製織した結果、黄変は問題なかったが、染色は発色がより鮮明であることが望ましく、染色堅ろう度と柄ににじみ、捺染面裏側への色透り関しては概ね良好であった。
212【2009年報告】
石油系溶剤回収静止乾燥機における安全性の調査研究
排出する「揮発性有機化合物(VOC)」を回収しリサイクルするドライクリーニング乾燥機の安全性について調査を行った。乾燥機内の温度や溶剤蒸気濃度を測定した結果、脱液率90%のとき溶剤ガス濃度が最大で約0.4%となり、爆発下限界濃度(0.8%)を下回っているが、操作中の危険性については強く認識する必要があることがわかった。
213【2009年報告】
靴下のあたたかさの測定に関する研究
編み地の違いにより靴下の着用時のあたたかさの感じ方の違いは体験的に把握されているが、具体的なデータはあまり見られないのが現状である。本研究では、編み地の接触冷温感測定、熱伝導率測定、保温性試験、恒温恒湿槽を使用した保温特性試験を行って、編み地のあたたかさの評価を行った。
214【2009年報告】
熱処理技術に関する調査
熱処理をキーワードとしたセミナーを複数回開催した。県内の熱処理業および熱処理利用企業からのヒアリング、また県外企業の情報収集により、県内企業の技術力向上・製品開発につながるような研究テーマについて検討を行った。
215【2009年報告】
温間再絞り成形シミュレーションに関する研究
角筒絞りの工程設計を行う上で、すべり線場理論とシミュレーション技術を組み合わせた手法が有効であることがわかった。
216【2009年報告】
レーザ測長器を用いた三次元座標測定システムの開発
製造現場において大型構造体の寸法を高精度に測定することが求められており、そのためのにレーザ測長器を利用した簡易的な三次元座標測定システムを試作した。試作したシステムでは約3m離れた場所の物体を測定した結果、誤差は数ミリメートルであった。
217【2009年報告】
マグネシウム合金パイプ材の曲げ加工技術の開発
マグネシウム合金パイプは,実用金属中では最軽量かつ重量に対して高剛性の中空型材といった両特長を有していることから,構造部材に適用した場合のメリットが大きく,今後の適用拡大が期待されている。本研究では,異形断面を有するパイプの曲げ加工技術として,パイプの軸方向に引張り力を付加する引張り曲げ加工,および素管径に対して拡管しながら曲げ加工を行う浮動拡管プラグ曲げ加工技術についてマグネシウム合金パイプへの適用を試みた。その結果,引張り曲げ加工では,軸方向の引張り力と曲げ部の断面形状との関係を明らかにした。また,浮動拡管プラグ曲げ加工では,円形断面の素管に対して,楕円および四角形状の断面に変形させながら曲げ加工を可能とする技術を開発した。
218【2009年報告】
マグネシウム合金板の精密打ち抜き加工技術
AZ31マグネシウム合金の打ち抜き加工において、加工温度300℃以上の加工条件では、切り口面の割れによる凹みは浅くなり、板押さえにV字型突起を設けることで、割れを抑えることができた。またV字型突起付きの板押さえを用い350℃以上の温度で打ち抜き加工をすることで、割れのない切り口面を得ることができた。
219【2009年報告】
電子線リソグラフィーを用いた三次元微細形状創成技術の研究
表面性状の評価を標準化するため,標準面実量器が必要とされている。本研究では,標準面実量器を実現するために,電子線描画装置を用いた三次元微細形状作製技術を開発した。具体的には,電子線の多重露光手法を適用し,フォトレジストに等高線加工による擬似三次元形状を形成し,ニッケル電鋳およびナノインプリントを行うことで,標準面実量器の作製プロセスを確立した。
220【2009年報告】
匠の技を継承し発展させる技能伝承支援システムの開発
新潟県の中でも,とくに県央地区の金属製造業では,研磨や鍛造,溶接等,自動化や機械化が難しく,熟練技能者の技に大きく依存した製造工程であり,それらの技の伝承が大きな課題となっている。そこで,当所において平成19年度に,IT,センサ,計測技術を利用することにより,金属製品製造工程の中でも研磨工程における熟練技能者の技を初心者へ円滑に継承するための,技能伝承支援システムを考案し,その試作を行った。そこで得られた技術をもとに,本研究では,研磨工程の現場において,その場で作業状況が確認可能な技能伝承支援システムを考案し,その基礎技術を確立したので報告する。また,加工と同様に匠の技と言われる検査工程への本開発システムの適用可能性についても述べる。
221【2009年報告】
ナノテク機器利用技術講習会
本県の主要産業である一般機械、精密機械等既存産業へのナノテクノロジー技術の導入、普及を図るため、MEMS製品の加工技術および超精密加工、評価技術を対象として技術講習会を実施した。
222【2009年報告】
食品産業支援の化学チップ開発
プレート上にカバーグラスをかけその中に試料溶液を導入することでマランゴニ流,ポワズイユ流,乱流を発生させ試料成分の自己組織化を誘導して,プレート上に散逸構造のトレースを形成させる手法を開発した。このトレースに各種分析プローブを投入することで,混合物の組成を簡便に低コストで分析できるようになった。赤外,ラマン,TOF-SIMS,MALDI-TOF/MSなどによる検出を試みた結果を紹介する。
223【2009年報告】
画像処理を利用した鋳鉄品の外観検査の自動化についての研究
鋳鉄品の外観検査を自動化するために,照明方法,画像処理方法,ロボットのハンドリングおよび鋳鉄品の供給装置について研究を行った。その結果,鋳鉄品の外観検査に適した照明方法と画像処理方法を開発した。また,供給装置と反転機構を開発し,外観に欠陥があるか判別する検査装置を試作した。
224【2009年報告】
高齢化社会に適した再生医療普及のための安価な培養システムの開発
再生医療に使用するための細胞培養用の柔らかい足場の開発を行った。ニット産地の持つ編み技術を用いて,編み組織を変化させた足場やエレクトロスピニング法を用いた複合足場など複数の足場を試作することができた。また,培養細胞との親和性をあげるため,ぬれ性を付与する加工方法を検討した。
225【2009年報告】
Mg合金の実用的な表面処理技術の開発および評価(第2報)
前報にて報告した手法をAM50材に対して適用するとともに,アルカリ浸漬処理法の開発,ゾル‐ゲル法によるシリカコーティング法の適用,カップ状の成形物への開発法の適用,開発法に塗装を施した試験品の1000時間塩水噴霧試験および表面処理・腐食の有無による材料強度の変化に関する検討を行った。その結果,塗装品について塩水噴霧試験1000時間を達成するとともに,開発した表面処理法の有効性を確認することができた。
226【2008年報告】
マグネシウム合金パイプ材の曲げ加工技術の開発
 マグネシウム合金パイプは,実用金属中では最軽量かつ重量に対して高剛性の中空型材といった両特長を有していることから,構造部材に適用した場合のメリットが大きく,今後の適用拡大が期待されている。本研究では,マグネシウム合金パイプの曲げ加工特性を把握するとともに,特徴的な現象である曲げ加工時の曲げ部内側での割れや座屈を抑制し,より小さな曲げ半径を可能とする曲げ加工技術の開発を行った。その結果,プレス曲げ加工による加工温度と曲げ比,また曲げ部の偏平化や減肉等について明らかにし,構造部材に適用する場合の加工指針とすることができた。また,パイプの軸方向に引張り力を付加しながら曲げ加工を行う引張り曲げ加工技術の開発により,割れや座屈を抑制しつつ曲げ比1.5という小さな曲げ加工を可能とした。
227【2008年報告】
ICP分析の高精度化に関する研究
ステンレス鋼標準試料を対象に,ICP分析(誘導結合プラズマ発光分光分析)のマトリックス成分が測定値に及ぼす影響について検討した。
228【2008年報告】
ポリエステル/ポリプロピレン二層構造編地の機能性評価
生地にポリエステル,裏側にポリプロピレンを使用した二層構造編地素材について、接触冷温感試験、拡散乾燥試験、摩擦抵抗試験を行い、その機能性評価について検討した。
229【2008年報告】
染色堅ろう度試験における計器による判定の適用の研究
繊維の染色堅ろう度試験において、計器測色値と目視判定との整合性について検討し、両判定における変退色と汚染の傾向、試料性状や汚染状態の影響等を考察した。
230【2008年報告】
CAEの効率的活用に関する研究
CAEを活用した課題解決研究や技術相談事例等の共有化によりモデルの検証時間短縮が可能となった。またLS-DYNAによる鋳物の破壊モデルについて、引張、圧縮方向でそれぞれで実験値に近い計算結果を得た。
231【2008年報告】
産業用インテリジェントロボット制御技術に関する調査研究
ロボットをインテリジェントに動作させるための計測・制御技術と,これらを実現するための組み込み技術の最新動向について調査した。また,計測・制御と組み込み技術に関連する県内企業の現状を調査した。
232【2008年報告】
温間対向圧力プレス成形技術の開発
 温間成形によりプレス成形性が向上するマグネシウム合金板のプレス成形に対して,フッ素ゴム粒体を対向圧力媒体として用いた温間対向圧力成形の適用を試みた。その結果,円筒深絞り成形における成形限界および成形精度の向上に効果があることがわかった。また,圧力媒体として用いるゴム粒体の性能について評価を行い,柔らかいゴムを用い,ゴム表面に潤滑を施すことにより,圧力分布状態の均一化が可能となった。
233【2008年報告】
X線回折によるオーステナイト系ステンレス鋼の表面加工層の評価方法に関する研究
オーステナイト系ステンレス鋼表面に冷間加工で付与された圧縮残留応力や加工硬化が加熱や時間により消失していく挙動をX線回折装置により評価検討した。
234【2008年報告】
機能性材料の製造技術と用途開発に関する研究調査
本研究調査では材料表面の微細構造等が深く関与する機能性材料の製造技術と加工技術,応用技術に関して調査を行った。
235【2008年報告】
表面高機能化技術に関する調査研究
 表面処理手法としては,主に液相,気相,その他に大きく分けられる。新潟県においては液相処理,特にめっき処理が金属表面処理として多く行われている。そこで,めっき技術の高度化の可能性を調査した。また近年注目されている気相でのコーティングとしてDLCを中心に調査した。
236【2008年報告】
新潟の匠の技を継承し発展させるための計測と制御に関する調査研究
 本研究では、新潟県内のうち県央地区の製造業を中心に、熟練作業および工程の自動化の現状調査を行った。また自動化・省力化の先進企業として県外の企業についての調査も行った。さらに、計測や制御関連の技術動向調査についても行い、作業計測と加工品の計測・評価について、実際に計測装置を導入し、それらの作業現場への適用可能性について検討した。
237【2008年報告】
プラスチック製機能部品のナノレベル成形技術に関する調査研究
本調査研究では,従来の機械加工では作製困難な微細形状を有している,液晶バックライト用導光板について,MEMS技術を利用した金型マスターの作製と,これをもとにした電鋳スタンパの作製を行い,さらに射出成形実験を行った。
238【2008年報告】
ユトラスエースを使用するグリーストラップ油塊分解装置の開発
既設グリーストラップの性能およびメンテナンス性を向上することを目的に、排水処理工程を検討し、粉体(ユトラスエース)供給装置を試作、その効果を確認した。
239【2008年報告】
パソコンを用いた計測制御の一例
計測制御技術セミナー向けに、ブレッドボード温度計とデジタルマルチメータを利用した簡易型計測システムを作成した。
240【2008年報告】
先端加工技術に関する調査研究
 本調査研究では,高速主軸やリニアモータの搭載といった工作機械関連の技術動向について調査したほか,県内企業における多軸加工機および複合加工機などの導入状況について調査した。また,先端の切削技術として航空機分野などで使用されるチタン合金や超耐熱合金,複合材料などの難削材の加工技術動向についても調査した。
241【2008年報告】
ユニフォーム上の汚れ発生メカニズムに関する研究
野球用ユニフォームに付着する汚れについて、汚れの付着状況や汚れ物質を分析し、その発生メカニズムについて検討した。
242【2008年報告】
金属ペーストを用いたカーボンナノチューブの生成
Ni薄膜を低温焼成で形成できる有機金属ペーストを利用して、CNTを局所的に成長させることや金属とCNTを複合させた薄膜導体の形成などが可能になると考えられる。ここでは、このペーストに関する解像性向上のための組成の検討やCNT成長条件の検討を行った。
243【2008年報告】
非導電物の表面形状評価に関する研究
非導電性で無色透明である,合成石英レンズ,PDMS(ポリジメチルシロキサン)の表面形状をレーザ顕微鏡を使用して,評価した。
244【2008年報告】
介護予防のための筋力向上トレーニングロボットシステムの研究開発
 高齢者を対象とした筋力向上トレーニングロボットの安全性を評価するために,人の代わりにトレーニングロボットを駆動する試験装置を開発し,負荷特性試験,電気安全性・電磁両立性試験,および連続運転試験を行った。これらの試験結果はいずれも良好であり,その後高齢者の使用が試みられるトレーニング効果の実証試験へむけて,その安全性を確認することができた。本試験装置によって,使用者に危険が及ぶことなく,かつ任意の使用状況を繰り返し再現することが可能となり,再現性の高いトレーニングロボットの再現性の高い安全性評価を行うことができた。
245【2008年報告】
フェライト系ステンレス鋼の温間絞り加工技術
耐食性に富む高Crフェライト系ステンレス鋼のプレス加工技術開発に取り組み,素材の機械的性質の温度依存性を調べるとともに温間絞り加工の適応を試み,成形性が向上することを示した。加えて,摩擦試験により温間絞り加工に適した金型材料や潤滑剤を調べた結果,金型材料に関係なくプレコートタイプの潤滑剤がPTFEシートと同程度の良好な摩擦係数を示した。
246【2008年報告】
ステンレス鋼の温間再絞り加工
 温間深絞り加工法はステンレス鋼加工の基盤技術として知られている。本研究では温間加工法を再絞り工程に適用し,多段絞りにおける工程削減を目的に温間再絞りの研究を行った。その結果,通常の再絞り率80%に対して,55%という高い再絞り率を実現し,焼鈍工程を含めた3工程の工程削減効果を示すとともに,耐食性に影響する加工誘起マルテンサイト変態量を大幅に低減できることを示した。
247【2008年報告】
Mg合金の実用的な表面処理技術の開発および評価(第1報)
 マグネシウム合金(AZ31B)の表面処理において,@フッ酸/アルカリ処理またはAアルカリ+有機酸処理は前処理方法として耐孔食性の向上に有効であった。それぞれの前処理を実施した化成処理品(水蒸気を利用)は連続86.4ksの塩水噴霧試験において腐食痕がわずかに確認される程度であり,耐食性の向上が確認できた。
248【2008年報告】
次世代工作機械に求められる高度要素技術に関する研究調査
本研究調査では,新潟県における次世代工作機械の研究開発推進を目的として,県内メーカの競争力を強化維持する上で必要となる要素技術や生産技術について調査をおこなった。
249【2008年報告】
金型均熱化技術の開発
温間絞り用の金型表面の均熱化を目的として,伝熱シミュレーション技術の精度向上と金型表面の均熱設計手法の確立に取り組んだ。対流,輻射による熱損失を測定し,測定結果を熱伝達係数として整理することで,シミュレーションの精度が向上することを示した。このシミュレーションにより熱損失の割合を把握した。最も大きい損失は熱伝導であり,全損失の約50%であることを示した。均熱設計手法では,シートヒータを用いた設計手法を開発した。実際に角筒絞り用金型をサンプルとして,設計,試作を行い,本手法の有効性を示した。
250【2008年報告】
食品産業支援の化学チップ開発
 数cm程度の大きさのプレート上にカバーグラスを傾斜をつけて配置し,その隙間に溶媒や溶液を導入して流れを形成して試料の組成物をプレート上に分離・展開する方法を開発した。流れはプレートの異なった場所に異なった表面張力の物質を吸着させる。その吸着物質を赤外分光やラマン分光などのマイクロプローブを利用して組成や化学構造の変化を議論できる。
251【2008年報告】
ナノ加工の精密バリ取りに関する研究
超精密切削加工後に発生する微細なバリをウェットブラスト処理を用いて除去する。Ni-Pめっきに微細なピラミッド形状を切削加工しウェットブラスト処理前後の微細バリ変化を確認する。
252【2007年報告】
シミュレーション援用による知的生産プロセスに関する調査研究
 近年の産業界においては,製品およびその製造プロセスに短納期・低コスト・高品質・安全性が求められている。これらを実現する手段のひとつとして強い関心を寄せられているのがシミュレーション技術である。シミュレーション技術はコンピュータ上で仮想実験を行い,製品構造や加工条件を最適化するものである。特に選択肢が多い場合や,通常の実験では確認ができない内部構造の可視化などに効果がある。最近ではハードウェア性能の飛躍的な進歩により,ワークステーションではなくパーソナルコンピュータ上でもシミュレーションを実行できるようになり,大手企業だけではなく中小企業においても積極的な導入が図られている。本県においてもシミュレーションを用いたものづくり体制の確立は急務な課題であるが,人材や情報の不足から導入が遅れているのが現状である。
 そこで本調査研究では各技術分野におけるシミュレーション技術の概要や最新動向を調査し,本県産業界へのシミュレーション技術普及について検討した。
253【2007年報告】
高品質・機能性繊維製品の開発支援
 インクジェットプリントは通常の捺染プリントと比較して版(スクリーン)を必要としないことなどから,多品種少量生産および短納期対応に適しており,広く利用されるようになってきている。
 インクジェットプリントでは,あらかじめ生地に染料インクのにじみ防止や発色性向上のために,前処理を行う必要がある。この前処理技術のノウハウは最終製品の品質,特に発色性を考える上で,非常に重要なポイントであり,これまでにも京都市産業技術研究所,群馬県繊維工業試験場などがこれらに関する研究に取り組んでいる1)2)。
 本研究では,これらの研究結果を参考にして,濃色のプリントが得られる前処理剤の調製方法について検討を行った
254【2007年報告】
高度センシング技術によるスマートメカニクスに関する調査研究
 新潟県においても,今までに機械加工や金属製品製造等をはじめとした各種製造業において,製造工程および検査工程の自動化・省力化がなされてきている。しかし最近では,ユーザーや消費者が今までよりも高品質な製品を求める傾向にあり,従来の検査工程のレベルでは,必要な精度が得られない等の弊害が起きている。さらに,機械加工や金属製品製造業以外においても,繊維や食品産業等では,製品そのものが柔らかく,ハンドリングが難しいために,未だ自動化が図られずに人手に頼っている工程が存在している。
 一方で,検査工程の自動化に必要な画像センサや温度センサ等各種センサの技術開発は日々進められている。そのため,それらの開発された新しいセンサを実際の上記のような製造工程に適用できれば,製造工程の自動化・省力化に加え,知能化(スマートメカニクス化)が円滑に図られる可能性を秘めている。
 そこで,本調査研究においては,新潟県内中小企業の製造工程での自動化・省力化の現状を把握し,その一方で,センサ技術等の技術動向・市場動向に関しての調査を行った。そのうえでいくつかの最新センサについては,県内中小企業の製造工程への応用することの可能性を探った。
255【2007年報告】
自動絣柄合わせ織機の改良研究
 前年度に素材応用技術支援センターで開発した自動絣柄合わせ織機1)は,その後実用性を検証するための試験運転を実際の製造現場において行っている段階にあるが,その結果,より実用的にするための様々な要求項目が上がってきている。
 本装置は作業者がついていなくても自動的に絣織物を織り上げることが可能であるため,作業者は通常この織機を監視しているわけではない。そのため,トラブルが発生した際に織機を適切に止める技術,ならびにトラブルを未然に防ぐ技術が必要になってくる。更に装置堅牢性の向上および動作の高速化が求められている。以上のことを目指し,機能向上のための研究を行ってきた結果について報告する。
256【2007年報告】
ステンレス薄板の微細切断に関する研究
 ステンレス薄板の高精度・微細加工技術を確立するために高エネルギー密度レーザ光であるファイバーレーザを使って切断実験を行い,加工条件が加工品質に与える影響を確認した。また,条件を最適化することにより20μm程度の幅で切断できることを確認した。
257【2007年報告】
耐熱金型の高度化に関する調査研究
 金型は,自動車や家電などの製品を量産する上で必ず必要となる道具(ツール)であり,その品質が製品の品質を決定づけるため,「マザーツール」とも呼ばれている。新潟県の金型製造業は農業と並ぶ基幹産業の一つであり,平成15年度の工業統計(経済産業省)によれば,製造品出荷額で国内11位の位置にある。これは関東圏,名古屋圏,大阪圏を中心とした太平洋側の金型集積地と距離的に大きく離れた日本海側にあっては,最大の規模となっている1)。
 一方,半凝固状態の材料を金型を用いて成形することによって,従来の鋳造組織であるデンドライト組織より微細な粒状組織を得ることができる半溶融・半凝固加工が注目されている。半溶融・半凝固加工では,組織の微細化,粒状化により,鋳造組織よりも強度・伸びで,特に良好な特性が得られるため,製品の薄肉化が可能で,軽量化に対してメリットがある。反面,成形前の半凝固スラリーを一旦生成してから成形しなければならないこと,また,スラリーの固相率を一定の状態に保つことが難しいことなど,製品化,低コスト化,量産技術で解決すべき問題点も多い2)。
 本調査研究では,半溶融・半凝固加工のような高温領域での加工で使用される金型の高度化を目標とし,対象となる成形をガラス材料のプレス成形に絞って,ガラス材のプレス金型材料として注目されるガラス状カーボンの切削性について検討するとともに,日本のガラス産業の現状や県内企業の動向について調査研究を実施した。
258【2007年報告】
鏡面光沢度の測定方法に関する研究
 分光光度計を用いて鏡面光沢度を相対的に測定する方法を検討する。本研究では,分光光度計を用いて日本工業規格(JIS)に規定された角度における鏡面反射率を測定し,その測定値を鏡面光沢度に変換する。さらに,光沢度計で測定した値と比較し相関を評価する。
259【2007年報告】
先端レーザー等を用いた加工技術の研究(第3報)
 ファイバーレーザーはビーム品質が高く集光径を小さく出せることから微細加工に適している。本研究では,マグネシウム合金等の金属材料に対してファイバーレーザーによる微細加工の可能性を検討してきた。前報では,出力2Wのパルス波および出力100Wの連続波ファイバーレーザー発振器を用いた実験結果を報告した。本報では,出力50Wの連続波のファイバーレーザー発振器について,ビーム品質を調べるとともに,微細切断と微細穴あけの加工実験を行ったので,その結果を報告する。
260【2007年報告】
ニッケルフリーステンレス鋼の実用化研究
 フェライト組織の状態で薄板状に成形し,その後,窒素吸収熱処理させる手法で1〜0.2mm厚さのNiフリーステンレス鋼(Fe-24%Cr-2%Mo-1%N)薄板を試作し,種々の特性評価を行った。引張強伸度について,伸びはSUS316をわずかに下回ったものの強度は大きく上回った。それに対して,絞り加工性は既存のステンレス鋼に比べ,劣る結果となった。耐食性については30℃,1kmol / m3 NaCl溶液における孔食電位で評価した。その結果,既存のステンレス鋼と異なり,明確な孔食電位は認められなかったことから腐食環境での製品適用が期待できる材料であることがわかった。
261【2007年報告】
摩擦攪拌接合技術に関する研究
 回転プローブを用いたAZ31Bマグネシウム合金の摩擦撹拌接合を行い,製作した継ぎ手の機械的性質やミクロ組織等について検討を行った。摩擦攪拌接合による継ぎ手は,継ぎ手強さが接合母材の82%で,母材強度には達しなかった。また,プローブにより撹拌された部位は,結晶粒の微細化が確認され,プローブによるせん断応力の付与とショルダからの摩擦熱で動的再結晶を起こしたものと推察された。
262【2007年報告】
ナノ材料と成形プロセスに関する調査研究
 ナノテクノロジーは,材料,情報通信,環境,エネルギー,機械,生命科学など,広い範囲に渡る融合的で総合的な科学技術分野である。10億分の1メートルの単位で原子・分子を操作・制御することにより今まで実現できなかった全く新しい機能を発現させ,科学技術の新しい領域を切り開くものとして期待されている。
 このような新しい機能の発現は,原子・分子の操作・制御のみならず,これらを観察できる分析・評価装置があってはじめて応用できるものである。ナノサイズの物質を観察できるものとしては透過電子顕微鏡(TEM),走査電子顕微鏡(SEM)および走査プローブ顕微鏡などがある。これらを用いたナノ計測は,創製した材料の評価技術として定着しており,産業界にも広く普及している。このようなナノレベルの対象物をきちんと評価できるための分析機器の発明や改良という下地があってこそナノテクノロジーが発展したとも言える。
 工技総研ではこれまでの研究において,MEMSプロセスに関する研究,超精密加工に関する研究,ナノ粒子に関する研究,ナノ表面・界面に関する研究など,ナノ領域の技術を利用した分野に関する研究を進めてきた。しかしながら,ナノ領域での材料設計や加工性は,加工精度,サイズはもとより,ナノであるが故の凝集性の発現,分析自体の困難さのため,従来技術での対応ができないために企業での技術導入や技術開発が本格的に進んでいないのが現状である。特に県内産業においては,大きな流れであるナノテクノロジーの導入による高付加価値製品への対応が遅れており,将来的な競争力低下が懸念される。
 そこで,産業の活性化と新規産業の創出および,高付加価値製品開発による県内企業の競争力向上を目的に,県内産業とリンクすべきナノ材料製造・加工技術およびニーズ調査を行い,上記技術開発に要求される分析技術についても調査研究を行った。
263【2007年報告】
マイコンによる自動化支援キットの開発
 製造の自動化(効率化),製品の高付加価値化へ向けて,県内企業の取り組みが行われている。
近年,コンピュータの小型化,高性能化,低価格化に伴い,様々なものにコンピュータが取り入れられ高機能化を実現している。マイコン等を用いると,ネットワーク,アクチュエータの制御,センシングといった機能が簡単に製品に実装できるようになった。
 そこで,自動化,高付加価値化に対しての県内企業ニーズに応えるため,マイコンを使った支援キットを開発した。
(1)ペレットストーブハンディタイプ用制御装置の開発
(2)温度制御デモ装置の開発
前者は県内S社から相談を受けた案件の開発,後者は今後の支援業務に役立てるためのデモ装置の開発である。
264【2007年報告】
透き目柄出し製織技術の開発
 三角形状の切り欠き凹部を持つ筬羽(おさは)15枚程度を一群とし,それらを和装織機筬全幅にわたり配設する装置を作製した。そしてそれら筬羽群を任意に上下位置決め制御することにより,織物に部分的な密度変化を持つ柄を創出する新規製織技術を開発した。試作織機による製織試験の結果,平織組織においても立体的な凹凸感のある織物の製織が可能となり,また従来のドビー機やジャカード機を併用することにより,新感覚の高付加価値織物の製造が可能となった。
265【2007年報告】
抽出IR法による樹脂中微量成分検出方法の確立
 工業製品のトラブルの中には樹脂およびその周辺材料の微量成分が原因となるものがある。しかし,これまでの分析法では微量成分検出能と化学構造解析能とがトレードオフになっており,これらの微量成分の化学構造の推定が困難であった。本研究では化学分析能にすぐれた赤外分光顕微システムと抽出法を組み合わせることによって工業製品中の微量成分を検出・同定する検討を行った。抽出溶媒の種類や温度などを変化させた前処理で多様な微量成分分析が簡便に行える可能性が示された。
266【2007年報告】
ここちよい打音・打感のゴルフクラブに関する研究
 プレーヤーの生体情報,すなわちボールを打ったときに聴こえる打音と,身体に伝達する振動に着目し,これを基にして打音,打感のここちよさを定量化する手法について検討した。打音の時間−周波数応答から打音の快適性評価パラメータを提案し,官能検査結果と比較することによってその妥当性の検証を行った。また,ボール打撃時におけるシャフトの曲げひずみと手への伝達振動との関係を実験によって調べ,シャフトの曲げひずみを計測することで打感の推定が可能であることを明らかにした。スイングロボットを用いボール打撃時におけるシャフトの曲げ,ねじれひずみを計測し,クラブ間での比較によって,打感評価がどのような特性に起因するかを把握した。
267【2007年報告】
MEMSプロセス技術の開発研究(第3報)
 微細パターン描画,スパッタリングやドライエッチングなど,これまでに蓄積してきたMEMS基本技術を応用し,新規のMEMS製品の設計・試作を進めてきた。薄膜ガスセンサでは,MEMS技術を利用し,感ガス材に貴金属触媒と微細形状を付与することにより,ガス感度を向上させた。また,光導波路では,専用CADによる設計をもとに,レジストマスクを形成し,さらにドライエッチングにより光導波路をシリコン基板上に形成した。
268【2007年報告】
シリコンウエハー厚さの非接触高精度測定・凹凸性状可視化システムの開発
 シリコンウエハーの厚さ測定を空圧非接触で行い,凹凸性状の可視化を実現するシステムを開発した。空圧流でシリコンウエハーを浮上回転させながら,高精度レーザ変位センサを2個用いて上下からの挟み込みでウエハー全面の測定を行う。さらに,測定データからウエハーの厚さを求めてPLC(Programmable Logic Controller)に保存し,パソコンと通信を行い三次元凹凸性状を表現する。
269【2007年報告】
グリストラップ改善装置の改良
 オゾン吹込み式グリストラップ改善装置を備えたグリストラップにおいて,ラード状の固形食用油を処理しようとすると油塊が生成してグリストラップの性能,およびメンテナンス性が著しく損なわれる。これを改善する目的で,現状の把握のための分析を行い,アルカリ加水分解による鹸化分散作用を用いたいくつかの改善策を試した。
270【2007年報告】
高度塑性加工技術による車両用シートフレーム部品の開発
 環境負荷低減への要求から自動車等の輸送機器の大幅な燃費低減は必達であり,これを解決する手段として,軽量化への取り組みが重要である。本研究では,経済産業省から委託を受けた「地域新生コンソーシアム研究開発事業」において,輸送機器軽量化のための高性能軽量金属部材の実用化を図るため,マグネシウム合金に対する温間対向圧力成形技術,および温間逐次成形技術の開発を行った。これらの加工技術を車両用軽量シートフレーム部品へ適用することにより,高い意匠性を持った軽量センターテーブルを開発した。さらにミニバン用シートフレームの開発も行い,マグネシウム合金展伸材の強度・機能部品への展開を図る道筋をつけた。
271【2007年報告】
超精密加工による金型加工
 微細加工による加飾を目的に,プロモーション用キーシートの射出成型金型の研究を行った。具体的には,微細加工を施した金型の試作,射出成型試験を行い,成型品の評価を行った。また,量産化に向け金型の洗浄試験を併せて行い,洗浄条件を検討した。
272【2007年報告】
粒度ゲージ(グラインドゲージとスクレーパー) による粒子分散性評価の自動化に関する研究
 グラインドゲージを用いた分散性評価装置の自動化について試作機を開発した。この装置は掃引作業を自動で行う機械と,認識行為を自動で行う回路からなっている。テストに使用したサンプルやその結果の計測能力についてはまだ限定的ではあるが,試作の初期段階としてはおおむね良好と言える結果となった。実用上の性能や運用上の課題について今後のフィールドテストを通して検証と改良を行い製品としての完成度を上げて行きたい。
273【2006年報告】
生体情報の工業製品への応用に関する調査研究
本調査研究では生体情報を利用しての製品開発の効率化や製品の高付加価値化を目論んで,技術動向および産業動向を調べた。健康・快適・安全に関連する産業として医療福祉産業があるが,医療福祉産業は薬事法の適用を受け参入障壁が高いため,その適用を受けないような生活用品や,スポーツ用品・衣料品の快適性向上に繋がる技術開発を主な対象にして調査を行なった。調査の結果,県内企業の多くにおいて生体情報を利用した製品開発や,快適性,健康増進などをキーワードにした高付加価値化に興味をもつことが分かった。今後はツールの開発などをとおして開発支援を行っていく必要があると考えられる。
274【2006年報告】
プラスチック等の添加剤の分析方法に関する研究
プラスチックなどの高分子にはその性能を向上させるために多種類の添加剤が含有されている。本研究では,このような添加剤を比較的簡易に分析するための方法について検討を行った。パイロライザーにより試料を加熱し,揮発した添加剤を液体窒素によりトラップし,ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)で分析するという方法である。今回,ポリプロピレンを試料として実験した結果,温度条件によっては添加剤の分析ができることがわかった。
275【2006年報告】
電気工事用作業工具の絶縁性能評価方法に関する調査研究
県内作業工具メーカーは,工場・事業所内設備の通電時における配線,工事,組み立て等作業において,短絡が原因となって発生する回路事故を防止し,かつ作業者を感電事故から守るために使用される短絡防止絶縁工具を共同で開発している。特徴は,使用上支障ない最小限の導電部を露出させるだけで,出来る限り絶縁コーティングで覆うことにあるが,その絶縁性に関する統一的な試験基準が確立されていなかった。そこで,短絡防止絶縁性能に関する試験基準を確立するとともに,この工具の普及啓蒙を計るため短絡防止絶縁工具協議会をたち上げることとした。
276【2006年報告】
機器性能向上を目的とする表面・界面の高機能化に関する調査研究
本報告書は、,材料の表面と界面に注目し,今日話題となっている成膜技術や界面制御技術、,そしてこれらの技術を支える分析評価技術について、,本県産業との関わりを踏まえて調査研究を行ったものである。今後新潟県が取り組むべき研究開発の方向性について検討した。
277【2006年報告】
CSP(チップサイズパッケージ)用極小径穴打ち抜き金型の研究(第2報)
半導体の実装に使用されるポリイミドフィルムにφ0.1〜0.2mm程度の小径穴を多数個打ち抜くための金型製造技術の確立を目的に研究を行った。昨年度に引き続き,硬さが60HRC程度の金型鋼を対象に,必要とされる小径穴をドリルで直接加工するための加工技術の確立を目指して研究を行い,小径ドリル加工におけるドリル折損予知に関して,切削力(スラスト力)のモニタリングについて検討した。また,小径穴を有するダイプレートの耐久性向上を目的とした表面処理方法について検討した。
278【2006年報告】
アイスウォーターブラスト装置の実用化に関する研究
氷粒を混合した高圧水でバリ処理,洗浄を行うアイスウォーターブラスト装置に関して,バリ処理能力の把握を行うと共に,装置能力の向上を図った。バリを実際に除去することなく簡便にバリ処理能力を評価しうる定量化手法を確立し,本手法を基に装置構造とバリ処理能力の関係を把握することにより,能力向上を目的とした装置の改良を行った。さらに,実際にバリ処理試験を行い,処理前後におけるバリ形状を測定することにより本装置の処理能力を定量的に把握した。
279【2006年報告】
繊維製品への新規染色加工法及び機能性付与に関する研究
本研究ではナノファイバーの紡糸を簡単な設備により可能にするエレクトロスピニング法に注目し,この技術を用いて布への加工を試みた。加工方法や使用する素材によってどのような加飾形態になるか試験し,試作品を作製した。
280【2006年報告】
アモルファス電波アンテナに関する研究(第2報)
試作した電波腕時計用の標準電波受信アンテナの特性の評価項目としてL値,Q値があるが,最終的には時計全体としての感度を評価する必要があり,そのための手法について検討した。疑似標準電波を放射し,それを受信して得られる出力信号の変化から感度を求めることができ,試作アンテナの感度評価を可能とした。
281【2006年報告】
難加工金属材料の革新的生産システムに関する調査研究
近年,自動車,電子機器,光通信,生体材料などの各種分野において,製品の小型化,軽量化および高機能化の要求が高まるなかで,高強度材料,耐熱合金など難加工金属材料の検討,適用が進んでいる。一方,製造コストや生産工程を革新的に低減する生産システムは,ゼロエミッション化技術とも関連して産業界で強く要望されている。そこで,素形材加工の生産システムを対象に,ネットシェイプ加工技術,精密プレス加工技術およびその関連技術について調査研究を行った。
282【2006年報告】
ワンチップマイコンで構成するシーケンス制御機器の開発
PLC言語(シーケンス制御用プログラム)をPICマイコン用のアセンブラ言語に変換するプログラムを開発した。プログラミングのしやすさ,処理速度の観点から,STL(SFCを基にして作成されるPLC言語)を変換できるようにした。開発の結果,STLでPICマイコンを動かすことができるようになった。本研究は,シーケンス制御を組み込みシステムに統合することを見据えている。
283【2006年報告】
マイクロ・メゾ領域における小型・超精密加工技術に関する調査研究(第2報)
平成17年10月,ながおか新産業創造センター内にナノテク研究センターが設置され,超精密加工機が利用できる環境が整った。それに伴い,本年の調査研究は加工を主体とした研究となった。具体的な内容は,@県内企業の協力を得て行った射出成形用金型の試作と射出成形試験,ACAD/CAMの研修課題として行ったフレネルレンズの金型試作,Bダイヤモンドドリルを用いた超硬合金の微小穴加工実験,である。あわせてニッケルリンめっきの試作や金型のメンテナンス性向上を目指したDLC(Diamond Like Carbon)のコーティング試験を行った。
284【2006年報告】
絣織物製織自動化技術の実用化
自動絣織り技術の実用化を実現するため,次の内容の研究を行った。まず絣合わせマーク剤の開発と各種マーク剤を用いた絣糸の試作を行い,実用性を損なわず十分な検出性能を確保できることを確認した。次に織機運動状況を検知する各種センサの装着,自動絣合わせに必要な各種ユニットの試作,およびこれらをシステム制御する自動絣織りソフトの開発を行い,有杼織機にこれらの機能を持たせた自動絣織機を試作した。
試作織機による絣織物試織の結果,その性能が製織作業者と同等レベルであることを確認した。
285【2006年報告】
MEMSプロセス技術の開発研究(第2報)
昨年度に続き,MEMSプロセス技術の開発を進めている。基本プロセスである微細パターン描画技術やエッチング加工技術の確立に加え,新たにMEMS製品の要素部品の設計・試作を行った。光通信部品については専用CADを用いて設計を行った。回折格子の試作では90nmピッチの溝パターンを形成した。スパッタリング装置により,アルミナ基板上に酸化スズを成膜し,ガスセンサを試作した。また,生体材料であるチタンの金属片表面に微細加工を施すプロセスも開発した。
286【2006年報告】
雪国の生活を支援する自律運行型除雪ロボットの研究開発
雪を圧縮して排出する除雪ロボットの自律制御機構を開発した。ロボット本体の位置を計算しながら人や車などの障害物を検出し,決められた範囲を効率よく移動して除雪する。「愛・地球博」で実証実験を行い,その結果をもとに実用化に向けての改良を行った。
287【2006年報告】
先端レーザー等を用いた加工技術の研究(第2報)
ファイバーレーザーはビーム品質が高く集光径を小さくできることから微細加工に適している。本研究では,マグネシウム合金等の金属材料に対してファイバーレーザーによる微細加工の可能性を検討するために,出力2Wのパルス波および出力100Wの連続波のファイバーレーザー発振器を用いて,ビーム特性を調べるとともに微細切断および微細溶接の加工実験を行った。
288【2005年報告】
焼入れ鋼の深リブ加工技術の研究
N-MACH加工を焼入れ鋼の深リブ加工に適用し、その切削特性を明らかにした。溝形状は、深さ43 o、溝底巾2.5 o、片側テーパー角0.75°で、工具には先端径がφ3.0 oおよびφ2.5 oの2種類のテーパーエンドミルを用いた。等高線加工では、工具に著しいびびりが生じて切れ刃が破損し、切削が困難であった。往復加工では、びびりの発生もなく、正常に加工することができたが、工具先端径φ2.5 oのエンドミルによる加工では溝巾が最大で0.5 o大きくなるという課題が残った。
289【2005年報告】
食品冷却装置の冷却効率向上に関する研究
冷蔵食品の無菌化包装技術の一つである半殺菌チルド法1)は、パッケージング後に加熱水槽で加熱殺菌して速やかに冷蔵温度まで冷却する方法である。この方法では食品内部の温度管理が重要であるため、装置を設計するにあたって食品内部温度が目標値になるように処理条件を決定する必要がある。本研究では、この方法による豆腐の加熱殺菌装置を対象としてその冷却過程に注目し、豆腐内部温度を目標値まで低下させるために必要とされる冷却装置の処理条件について検討した。
290【2005年報告】
繊維製造へのIT活用支援研究
ドビー織機の柄出しを電子的に制御する装置を開発した。紋栓データ作成ソフトで柄データを作成し、そのデータに基づきPLC でエアシリンダーを制御する。本装置を使うことで、データの作成時間を大幅に短縮することができ、管理、再利用も容易となる。また、従来の方式ではデータ読み込み部の重量制限により作成できなかった長尺の織物作成が可能となった。
291【2005年報告】
異方性電解エッチングによる多数個穴あけ加工技術の研究
電解エッチングは、電極の消耗がないため、金属に微細で高アスペクト比の穴を高品質かつ効率的に加工することができると考えられている。本研究では、微細穴加工に電解エッチングを適用するための電極として、表面を絶縁物で被覆した直径数十μmの電極を形成する方法を検討し、大気開放CVD を利用する方法、ガラスを溶融延伸する方法、電鋳による微細ニッケルチューブを用いる方法の3 種類の加工法を開発した。ガラスを溶融延伸して導体に被覆する方法では、導体の曲がりを矯正し、加工に十分耐えられるだけの剛性を電極に付与することができた。
292【2005年報告】
ニューメタルマテリアルとその加工法に関する調査研究
医療・健康産業や輸送機器産業で注目され今後の成長発展が期待される生体材料や軽量化材料などの新金属材料について、開発動向・技術動向の調査を行った。また、チタン合金の温間・冷間鍛造性評価やニッケルフリーステンレス鋼の絞り性評価などの試験を行い、高精度塑性加工・高効率加工技術等高付加価値な加工技術に関する可能性の検討、課題の把握を行った。さらに、調査対象材料ごとにロードマップとしてまとめるとともに、今後取り組むべき研究開発課題の提案を行った。
293【2005年報告】
CSP(チップサイズパッケージ)用極小径穴打ち抜き金型の研究
半導体の実装に使用されるポリイミドフィルムにφ0.1〜0.2mm 程度の小径穴を多数個打ち抜くための金型製造技術の確立を目的に研究を行った。対象金型のなかで、ダイプレートとストリッパープレートの材料である硬さが60HRC 程度の金型鋼に、必要となる小径穴をドリルにて直接加工するための加工条件について検討した。その結果、ドリル回転数は高回転であること、チップロードならびにステップ量は最適値があることを見いだした。
294【2005年報告】
新機能性触媒の開発
環境対応型の新規機能性触媒の検討を行うため、燃料電池に適した白金系触媒およびシリカ系触媒の合成を行い反応特性の検討を行った。燃料電池用電極触媒についてバインダーなどを用いずに評価できる多孔質マイクロ電極を用いた電気化学的評価系により、一酸化炭素(CO)による被毒に対して効果的なRu含有量の検討をコロイド法により合成した触媒を用いて行った。またシリカにアミンを担持した不均一系の分子触媒は、ルイス塩基触媒として高い活性を持ち水溶媒中でも触媒活性を示した。
295【2005年報告】
MEMSプロセス技術の開発研究(第1報)
MEMS プロセス技術についての研究を行った。この研究は、MEMS プロセスの要素技術、シミュレーション技術やMEMS 製品の試作を目的として、3 か年の予定で行う。本年度は、要素技術である、微細パターン露光技術、エッチングの異方性等方性制御、CNT の成長制御についての検討を行った。また、光導波路についてのシミュレーションも行った。
296【2005年報告】
先端レーザー等を用いた加工技術の研究
高エネルギー密度レーザー光であるファイバーレーザーを使ったマグネシウム等各種材料の高速・高精度切断加工および微細加工の可能性の検討を目的として10W-PW(パルス)レーザーと100W-CW(連続波)レーザーの特性調査、切断および穴あけの加工実験を行った。さらに有限要素法を用いて穴あけ加工の熱伝導シミュレーションを行った。
297【2005年報告】
次世代デバイス設計とその応用製品開発
近年、電子機器は小型化、高機能化を目指して新製品開発が繰り返し行われている。これには電子回路のシステムLSI化が不可欠である。一方、製品の低価格化、ライフサイクルの短期化に伴い低コストかつ迅速な電子回路の設計開発が重要視されてきている。県内中小企業でも製品の高付加価値化のためにIC化の必要性を感じている企業が多いが、設計技術者の不足や開発コスト負担の不安から取り組みに躊躇しているのが現状である。本調査研究では、電子デバイスの現状、その設計技術、および現存する開発支援体制について調査し、具体的に幾つかのデバイスについて設計・試作に取り組み、県内中小企業による次世代デバイス利用促進のための支援体制構築について検討する。コストおよび納期を考慮すると、プログラマブルデバイスに着目した開発支援体制作りが有効である。
298【2005年報告】
新規機能薄膜の研究
本研究では、物理的気相成長(PVD)法である蒸着法とスパッタ法を用いて携帯電話用キーシートに各種金属薄膜を作製した。さらに金属薄膜のレーザー加工とプラズマによる表面改質についても検討した。その結果、薄膜作製時に薄膜の膜厚と構造の制御を行うことにより各種機能を有する薄膜が作製できた。また、金属薄膜のレーザーによる文字抜き加工条件と金属薄膜の保護膜密着性向上のための表面改質法を確立した。
299【2005年報告】
機能性ナノ材料に関する調査研究
21世紀の最重要技術と捉えられているナノテクノロジーの一分野である機能性ナノ材料に関する調査研究を行った。本研究では、機能性ナノ材料の創成技術やその応用製品に関する研究開発動向、マーケットの将来性、県内の大学や企業の状況について調査した。特にウェット処理による材料生成に注目して試作検討および評価を行なった。
300【2005年報告】
アモルファス電波アンテナに関する研究
日本標準時が重畳された標準電波を受信し、時刻を自動的に修正する腕時計内蔵型の標準電波受信アンテナに関する開発を行った。従来、標準電波受信アンテナに用いられているアンテナコア材料であるフェライトは、機械的強度が低く、透磁率の周波数特性が不安定である等の問題があることから、アモルファス材料の活用を検討し試作アンテナを作製した。アモルファス材料の磁気特性および熱処理による特性向上について検証した。また、アモルファス薄帯を積層したアンテナを構成する上での条件を確認した。さらに、電磁界解析ソフトを活用し、アンテナ特性のシミュレーションを行うとともに、コア形状による特性の変化について確認した。
301【2005年報告】
化学加工による編織素材の開発
繊維業界の新製品開発を支援するため、「酸性染料によるスペック染色法」を開発した。
スペック染色とは、染料を粒子化して、斑点状に染める手法で、糸に部分的な色の濃淡を付けることで色彩表現力を高めている。これまでの染色法は、直接染料が用いられ、主に綿糸に染色が行われていた。昨年までの反応染料によるスペック染色の研究では、綿以外に、羊毛、絹などの染色も可能になり、堅牢度も向上したが、手間が掛かる点などから実用化されていないのが現状である。今回、酸性染料によるスペック染色法を開発し、羊毛、絹などの染色も直接染料によるスペック染色とほぼ同じ工程で可能になり、これまでの染色にない、面白い表現をした製品に仕上がった。
302【2005年報告】
繊維産地アクションプラン支援研究
チーズ染色機を使用した新規的な染色手法として、チーズ形状の糸を部分的に染め分ける絣調染色を試みた。その結果、チーズ染色機を使用して、チーズ形状の糸の一部分だけを染めて、絣調に染色できることを確認した。部分的に染め分けるにあたって、準備工程のチーズソフト巻き時のテンション、糸の層厚、およびチーズ染色機の循環流量が染色形態に大きく影響を及ぼすことがわかった。
303【2005年報告】
ステレオビジョン画像処理技術の実用化研究
2台のカメラ画像の視差から距離画像を求めるステレオビジョン画像処理技術の実用化に関する研究を行なった。これまでよく使われてきた距離計算アルゴリズムには、対象物の境界がぼけてしまい、また対象にテクスチャの特徴がないと誤った距離画像が計算されるという欠点がある。本研究では、これらの問題を解決しかつ高速で計算できる距離画像計算手法を開発した。また、小型で計算速度の速い実用的なシステムを実現するためのDSP ボードを製作した。実際の移動ロボットに搭載して障害物を避けて移動する実験を行ない、その有効性を確認した。
304【2005年報告】
高窒素Niフリーステンレス鋼の加工性向上及び製品実用化に関する研究
(独)物質・材料研究機構が研究している高窒素Ni フリーステンレス鋼(Fe-24%Cr-2%Mo-1%N)は強度や耐食性に優れている反面、加工が難しく、現状材では製品化が困難である。そこで本研究では、窒素を含有する前(フェライト組織)の状態で薄板状に成形し、その後窒素吸収熱処理させることで組織をオーステナイト化し加工性の向上を図った。厚さ1mm の薄板について加工性評価(コニカルカップ試験)を行ったところ、D 値はSUS430 と同等の絞り加工性を確認した。また、圧延を繰り返すことで1mm 厚の板材から微細な組織を持つ約0.2mm 厚の薄板の試作に成功した。
305【2005年報告】
SCM415 とSUS303 の摩擦圧接
被削性の良いオーステナイト系ステンレス鋼SUS303 と、浸炭焼入れにより表面を硬化させたクロムモリブデン鋼SCM415 を接合することにより、一部は加工性が良く、他の部位は耐摩耗性の高い複合材を作ることが出来る。本研究では、このような異種材料の接合方法として摩擦圧接法を試みた結果、良好な継ぎ手が得られた。同径φ8mm の供試材の場合、アプセット寄り代が2mm 以上得られた場合には、接合界面全面がほぼ接合され600MPa 程度の引張強さを示した。また、接合機、供試材の材質、硬さ等を変更した場合、適切なアプセット寄り代を得るための指針として、変更すべき接合パラメータとそれらがアプセット寄り代に及ぼす影響について検討した。
306【2005年報告】
ナノテク技術とデバイス加工の研究及び技術評価
優れた骨親和性を有するチタンと耐摩耗性の高いCo-Cr 合金を複合化し、機能性に優れた人工関節の開発に寄与するため、チタンとCo-Cr 合金の拡散接合を行い、接合面の引張強度について検討した。その結果、接合界面の液相部にカーボンを供給し炭化物粒子を分散させることによって、液相凝固部の強度を向上させることができることを明らかにした。
307【2005年報告】
マイクロ・メゾ領域における小型・超精密加工技術に関する調査研究
小型・超精密な加工技術の中で、主に機械加工分野による超精密加工を用いた製品化の動向と、県内企業における精密加工に関する取り組みについて調査を行い、今後新潟県で取り組むべき研究の方向性について検討を行った。また、超精密加工機を使用した加工実験を通して加工における留意点を明らかにするとともに、加工物の評価を測定原理の異なるいくつかの測定機で行い、その特徴を調べた。さらに、今後金型材料として適用が拡大すると考えられるセラミックス材料の超音波援用加工実験を行い、その有効性を確認した。
308【2005年報告】
逐次張出し成形機と成形法に関する研究
本研究では、汎用NC フライス盤を活用した逐次成形技術の実用化について検討している。今年度は、本研究の最終年度であり、これまで開発してきた成形技術や応用技術について、企業で展開・活用を図ることを主な目的として活動を行った。その結果、いくつかの企業化支援の事例を通じて、実用化への道すじをつけることができた他、今後の課題等も明らかとなった。
309【2005年報告】
マグネシウム合金による複雑形状部品の鍛造・プレス加工技術の確立と用途開発(第3報)
マグネシウム合金の鍛造・プレス加工における製品化技術を確立するため(1)再絞り加工技術の開発、(2)マグネシウム合金板のスプリングバック性の評価、(3)金型加熱時の温度分布、解析(4)大型プレス部品の形状精度評価、(5)表面研磨を行ったサンプルの陽極酸化処理技術の開発を行った。各々の研究課題について、マグネシウム合金の加工技術をさらに高める結果を
得た。とくに(1)ではマグネシウム合金に適用可能な再絞り率を明らかにし(2)ではマグネシウム合金板を温間加工した際のスプリングバック性を把握した。また(3)では金型をヒータで加熱した際の温度分布シミュレーションを行ったのでここに報告する。
310【2004年報告】
県産スギ材製品の耐候性に関する研究(第2報)
 新潟県産スギ材の間伐材を用いた製品(側溝用木製蓋)の正確な耐用年数の把握と製品の適正な防腐処理方法を検討するために、製品を試験体として、当センター北側の側溝に設置し、屋外暴露試験法による耐候性試験を実施している。設置して2年経過した試験体の劣化の状態を強度試験やピロディンを用いた測定により確認したので、ここに第2報として報告する。
311【2004年報告】
撚糸及び加工による新複合繊維素材の開発
本県繊維業界が得意としている複合素材に焦点を当て、既存の合撚糸機や仮撚り機などに改良を加えながら、物性差が異なる種々の繊維を組み合わせ、機能性や意匠性に優れた素材の開発を行った。その結果、任意に糸形状や伸縮性を付与することが可能な仮撚り加工機を開発できた。また、ペーパーヤーンや金属細線などの特徴ある素材の複合化により、新しい素材ができた。
312【2004年報告】
自動小口染色システムの実用化試験
 見附アクションプランの一環として、自動小口染色システムを構築するとともに、各種複合繊維素材の染色試験を実施した。また、チーズ染色機を使用してスペック調染色を試みた。
313【2004年報告】
燃料電池の技術動向調査と要素技術研究
昨今注目を浴びている燃料電池を新潟県の産業とする可能性を検討するため、技術動向調査と要素技術について検討を行った。実用化目前といわれる燃料電池ではあるが、まだまだ解決すべき課題は多く残っていることがわかった。本県の技術特性などをふまえた上で、当所では燃料電池のコア部分であるセパレータの金属化、膜−電極接合体(MEA)製作手法の検討、および電極触媒評価手法についての検討を行った。セパレータは金属の切削加工により製作した。MEAでは、当所で転写法による製作技術を確立した。そして、製作したMEAと金属セパレータを用いた発電試験により両者を評価できる体制を確立した。加えて電極触媒評価では、実際の電極触媒を電気化学的手法により評価することで、カーボンに担持された白金の効果を確認できた。以上より基本的な燃料電池開発の要素技術を検討できる技術を工技総研において確立した。
314【2004年報告】
医療用CO2レーザの中空ファイバ導光システムと
周辺装置の開発
医療用CO2レーザ装置において、多関節ミラーによるCO2レーザ導光路に代わり、中空ファイバによる導光路を適用することによって、製品の高付加価値化を図ることを目指して研究を行った。中空ファイバによるCO2レーザの伝送特性を明らかにするため、CO2レーザの中空ファイバへの入射条件、ファイバ長さ、曲げによる伝送損失を測定した。その結果、ファイバ曲げによる損失を、曲げ半径、曲げ角度をパラメータとして数式化した。また、治療を行う際に医師が操作するアタッチメントの光学系について集光特性を調べた。さらに、実用化のうえで非常に重要な問題となる安全対策に対応するため、赤外線センサを用いた中空ファイバの折れ検出方法について検討した。
315【2004年報告】
マグネシウムとアルミニウムの異種材拡散接合
アルミニウム(A1020)とマグネシウム合金(AZ31B)の拡散接合において、各種中間材が接合強さや接合部の組織に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、接合部の化学組成と接合強さの関係について調べた。中間材にはAg、Zn、InおよびSnを用いた。
共晶温度付近の接合温度において接合できたのはAgとZnを用いた場合のみであった。Znを用いた場合には接合界面で共晶反応が生ずる温度で高い接合強さが得られ、中間材を用いなかった場合に対して2.5倍であった。中間材を用いなかった場合、破断部近傍は初晶Mgと金属間化合物Mg17Al12の擬共晶組成であった。Zn中間材を用いることによりMg17Al12の生成が抑制され、接合強さが向上することが示された。
316【2004年報告】
マグネシウム合金による複雑形状部品の鍛造・プレス加工技術の確立と用途開発(第2報)
 マグネシウム合金の鍛造技術・プレス加工技術の高度化および製品化技術を確立するため、(1)油系潤滑剤を用いた絞り成形性の向上、(2)各種高強度マグネシウム合金の鍛造性評価、(3)陽極酸化処理を活かす高品位な表面処理技術の開発、などを行った。各々について、マグネシウム合金加工技術をさらに高める結果を得た。とくに、(1)ではPTFE(テフロン)粉末を利用した成形性向上の可能性を明らかにし、(3)では装飾性の高い表面処理技術を開発したので報告する。
317【2004年報告】
高速デジタル動画像伝送システムの開発(第3報)
本研究ではこれまでにGHz帯の高周波信号とOFDMという変調方式を用いたデジタル動画像無線伝送について研究を行ってきた。最終年となる本年度は以下の応用製品開発をおこなった。
(1) OFDMを利用したFDMLサーバー
(2) 赤外線リモコン遠隔制御システム
318【2004年報告】
有機金属の積層コンデンサーへの応用研究(第2報)
金属有機塩を有機溶剤に溶解させてペーストを作製する有機金属法により、ニッケルの導電性ペーストの開発を行った。昨年度は、酢酸ニッケル四水和物とテトラエチレングリコールが好適な材料であることを見い出し、ペーストを試作した。焼成実験により400℃の低温焼成でニッケルのナノ粒子が析出し、導電性が発現することを明らかにした。本年度は、より高温で処理した焼成膜の特性、ペーストの形態や焼成のメカニズムについて調査し、さらに積層セラミックコンデンサーへの適用の可能性について検討した。
319【2004年報告】
N-コンポ実用化試験(第2報)
戦略技術開発研究にて開発された、複合素材に対応するための自動引き通し機N-コンポ(Niigata- Composite yarn Piercing)の織物産地でのフィールド試験を行い、様々な糸種への適応性と課題について把握するとともに、信頼性や耐久性等実用上の問題点を抽出した。その結果、引き通しにおける糸受渡し動作の確実性および安定性の向上が課題であり、今後解決する必要があることが確認された。また、昨年度に基本的な設計と試作を終えた2ビーム綾取り装置の動作の確実性と操作性の向上を図り、この2ビーム綾取り装置により整経した種糸を用いたN-コンポによる引き通し手順を確立し、N-コンポの利用範囲の拡大を図ることができた。
320【2004年報告】
IT活用織物企画設計支援システムの開発(第4報)
織物の企画設計をコンピュータで行う織物企画表作成支援システムを開発した。従来手作業で行っていた作業が、本システムを導入することで設計作業に不慣れな作業者でも容易になり、製品開発に要する時間を短縮することができた。また、本研究開発により織物生産現場におけるIT化の段階的な推進を図ることが可能となった。
321【2004年報告】
研削加工の効率化に関する研究
 ステンレス鋼SUS304の平面研削加工は反りが発生したり砥石のくい込みが起こるため、切込は2〜3μmと小さく設定し加工に長時間を要している。そこで、加工の効率化のため切込8μm(2倍以上)を与えた場合の研削抵抗、反りを調べたところ、研削抵抗については不規則性があること、反りは凸に15〜40μm以上発生し大きくばらつくことがわかった。また、当て板を同時に研削する方法と従来の方法とを比較したところ反りの差はなかった。
322【2004年報告】
フロンティア分野におけるミッション遂行型ロボットに関する調査研究
 ロボットの市場、開発動向、関連技術などについてシーズ・ニーズの調査を行った。また、ロボットの要素技術として自律制御に関連するステレオビジョンシステムの試作と、日常生活とは異なるフロンティア分野(極限環境)における潤滑技術について調査を行い、今後産学官で取り組むべき研究開発課題の検討を行った。
323【2004年報告】
逐次張出し成形機と成形法に関する研究
本研究では、汎用NCフライス盤を活用した逐次成形技術の実用化について検討している。今年度は、昨年度から行ってきた逐次張出し成形の他、逐次絞り成形技術の開発および迅速な加工データを作成するための機上計測技術の開発等を行い、逐次張出し成形の補完や付随する技術の開発に取り組んだ。
324【2004年報告】
プレス成形品のスプリングバックに関する研究
 プレス成形時に発生するスプリングバックについて、成形実験および静的陰解法プログラムMARCによる有限要素法解析を行った結果、実験値と解析は良く対応した。また、解析精度向上には長手方向よりも板厚方向の要素細分割が有効であることが分かった。
325【2004年報告】
階調制御技術および限定色絵柄表現技術の研究
プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)をはじめとして有機EL(OLED)、電界放射ディスプレイ(FED)などフラットパネルディスプレイの研究開発が盛んに行われ市場拡大が期待されているが、多くのフラットパネルディスプレイがCRTと異なる点の一つに連続階調を表現するのが困難であることが上げられる。原理的にPDPやOLEDは発光時間により輝度を制御するために概ね64階調程度しか表示できず、そのままでは疑似輪郭などのある低品質な表示となってしまう。そのため通常はディザ法などの処理により疑似濃淡表示を行っている。従来より良く用いられる方法に組織的ディザ法と誤差拡散法が有るが、いずれを用いるにも尖鋭度の調整を伴うには前置のフィルタ回路などを別途必要とし回路規模の増大をまねいていた。本研究では限定色表示装置に疑似濃淡階調表現を行う際に、別途フィルタ回路を用いることなく同時に尖鋭度の調整を行うことができるような方法を検討した。疑似濃淡化処理にわずかな構造要素を追加するだけで尖鋭化または平滑化を同時に処理できることが確認された。
326【2004年報告】
アーク溶接の簡易自動化法の研究
アーク溶接を自動化するには自走式台車やロボットを使う方法などがあるが、今回は中小企業で採用し易い自走式台車を用いた自動化について検討を行った。自走式台車に溶接トーチを取り付けただけではウィービング(溶接線に対して直角にトーチを振ることや、小さな円弧を描くことによって幅広のビードを作る動作)ができず薄板のみしかできないため、厚板も出来るように回転式ウィービング機能を持った自走式台車を作り、それを用いた隅肉継ぎ手、突き合わせ継ぎ手について条件検討を行った。条件を選ぶことによって適正な溶接ビードが出来ることを確認した。
327【2004年報告】
マグネシウム合金の鍛造成形技術の研究
 マグネシウム合金鍛造成型品で発生する表面傷の改善を目的として研究を行った。鍛造実験は、金型の温度制御が高精度に行えることや、実験条件を容易に定量化できるところから、機械式プレス装置を使用し、空気式ハンマー鍛造装置との成型性比較や鍛造における素材温度、金型温度、離型剤の影響について検討した。実験の結果、(1)機械式プレス装置による鍛造は、空気式ハンマー鍛造装置に比べて材料の変形が小さい。(2)鍛造素材の温度を300℃から400℃に上げた場合と金型の温度を室温から200℃に上げた場合では、成型時の最大負荷はそれぞれ10%、5%程度しか低下しなかった。(3)鍛造時に離型剤を用いることにより、同じ鍛造条件でも材料の変形が大きくなり最大負荷も低下した。また成型品表面の品質も向上した。
328【2004年報告】
MEMSプロセス技術の調査研究
MEMSプロセス技術についての調査研究を行った。本研究では、MEMSプロセスやその応用製品に関する研究開発の動向、マーケットの将来予測についての調査をした。また、この技術に関する県内の大学や企業の状況についても調査をした。さらに、MEMSの基本的なプロセスの把握を目的として、光通信用導波路とCNT−FED電子銃の試作を行った。
329【2004年報告】
三次元レーザ加工機の実用化
現在多くの金型を使用して行っている精密プレス製品のトリミング加工を、戦略研究で開発した高精度三次元レーザ加工システム7) 8) 9) 10) 11)で代替することを目的に実用技術開発を行った。パルスYAGレーザ発振器の導入、高精度三次元レーザ加工機の高速化、CAMシステムの改良等によって、加工サイクルタイムの短縮、切断精度の向上、切断面の外観向上を達成し、高精度三次元レーザ加工機を実用化することができた。
330【2004年報告】
家具・建具用材の性能評価試験
家具・建具用材4樹種について、建材としての利用方法を検討するために物性・強度試験および防耐火試験等の性能評価試験を実施した。その結果、物性・強度・燃焼性能とも米マツが最も建材適性が高かった。また建材適性は密度に大きく影響されることを確認した。
331【2003年報告】
高出力YAGレーザーを用いた溶接技術の研究
Nd:YAGレーザー(以下YAGレーザー)は、優れたビーム品質を維持しながら高出力化が一段と進み、また光ファイバーを利用できるために加工の自由度が大きく、非常に注目されている。
しかし、高出力YAGレーザーは、ここ数年で著しく進んだために、CO2レーザーを用いた加工技術と比較すると、その特性が十分に理解されておらず、今後の普及のためには、加工技術のデータベース化が急務である。本研究では、YAGレーザー溶接の系統的な技術蓄積のために、昨年度までの軟鋼、ステンレス鋼、純チタン、アルミニウム合金およびマグネシウム合金に引き続き、アルミニウム合金間同一材・異材接合、マグネシウム合金間同一材・異材接合、アルミニウム−マグネシウム合金間異材接合においての最適加工条件データベース化を行った。
332【2003年報告】
マグネシウム合金を中心としたエコマテリアルの接合技術の開発
 マグネシウム合金AZ31Bを供試材とし、MIG、TIGおよびレーザといった各種溶接法による接合実験を行った。MIG溶接は、マグネシウム合金用に電源特性を調整した溶接機を用いて、まず、ビードオンプレートにより接合条件を求め、シールドガスの影響について検討した。ビードオンプレートの結果をもとに、突合せ接合体を作製した。TIG溶接では、ワイヤ供給装置にサーボモータを組込み、精密な制御を可能とした。突合せ溶接により、母材程度の強度を示す接合体が作製できた。また、シールドガスの影響についても調べた。レーザ溶接では、突合せおよび重ね接合について検討した。突合せ接合では、ワイヤ供給装置を組込み、厚さ1mm以下の板材の突合せおよびすみ肉・肉盛り溶接を可能とした。溶接条件を検討し、母材程度の強度を示す突合せ接合体を作製することができた。重ね接合では、高レーザ出力条件においては、上下両板材を安定して溶融することが困難であり、低レーザ出力条件で接合体を作製することができた。Mg合金/Al合金異材レーザ重ね接合を仮定し、有限要素法解析により、各レーザ出力および溶接速度における界面温度分布を求め、溶接条件を検討した。解析に必要なパラメータの導出方法を確立し、解析に基づく、Mg/Al異材接合の指針を得る手法を示した。
333【2003年報告】
活性白土製造後の廃酸の利用に関する研究(第2報)
活性白土製造工程より発生する酸廃棄物(廃酸)の有効利用を目的として、金属分を含む廃酸を中和・凝集沈殿処理などを行い調製された水和含鉄アルミニウム(アルフェマイト)による硫化水素の吸着に関する研究を行った。昨年度の研究では、アルフェマイトによる硫化水素吸着機構の解明と吸着性能の評価を行い、その吸着性能は市販吸着剤よりも優れたものであることを明らかにした。しかしながら酸素の無い条件では吸着性能が著しく低下したため、本年度は無酸素条件下における吸着性能の向上について第三元素の添加による検討を加えた。また、硫化水素吸着後の吸着剤の処理方法に関しても検討を行い、硫化水素吸着後の酸への再溶解による再処理方法に関して目処が立った。
334【2003年報告】
エコデザイン(環境配慮型設計)による商品開発研究−2
地球環境問題への取り組みが世界的に活発となってきた中、本県産業にとっても環境対応化は大きな課題である。そこで環境に配慮した商品づくりの基盤となる研究を実施することにより、県内生活関連産業の環境対応商品開発体制づくりの支援を目的とする。
335【2003年報告】
環境と作業性に優れた接合法の研究
有機溶剤系接着剤と水溶性接着剤の接着強度の比較を行い、鉄道車輌の製造工程に水溶性接着剤を使用することが可能かどうかの検証を行った。その結果、Al材を水溶性接着剤で接着した場合は、有機溶剤系接着剤で接着した場合よりも高い接着強度が得られることが明らかになった。また、SS材でも処理条件を変えることにより、必要な接着強度が得られる可能性がある。今後は作業性と耐久性を考慮しながら実用化試験を実施し、水溶性接着剤の鉄道車輌への適用を促進する。
336【2003年報告】
超精密平面研削盤の開発
定圧送り機構研削盤に、エアースライダーを導入し、研削盤の性能を向上させた。その結果、以下のような成果が得られた。テーブル送り速度は、研削条件により変化することが確認された。このことは時間とともに悪化する砥石の性能評価、ひいては砥石面再生工程である目立てのタイミングが容易に判定できることを示す。また、切り込み量が増大するにつれて比研削エネルギーは減少し、切り込み量10μm以上で一定値となった。定圧送り研削盤で加工した試料は、切り込み量によらず表面粗さおよび破壊強度は一定であった。これは定圧送り研削盤では加工物の研削面に切り込み量によらず常に一定な力が作用しているため、加工物の面粗さと破壊強度を損なうことなく、高速な加工が行えることを示す。アルミナ焼結体、シリコンウエハともに数十μmの厚さまで、特殊なサポートテープや接着剤を用いず研削のみで加工することが可能となった。
337【2003年報告】
難削材の穴あけ加工に関する研究
NCフライス盤を使用して、厚さ1mmのソーダガラス板に穴あけ加工を行った。加工時に発生する穴周囲の欠けを低減させるには、ヘリカル加工が有効であることが実証できた。
338【2003年報告】
小型携帯機器用DC-DCインダクタに関する研究
小型携帯機器用DC-DCコンバータ回路に搭載されるインダクタの小型化を目的として開発を行う。
まず、インダクタの特性について電磁気学的考察を行った。磁気抵抗がインダクタの特性に関与しており、その値はコアの形状やギャップ幅に影響されることが理論的に説明できた。また、電磁界シミュレーションソフト(JMAG-Studio Ver7.2 鞄本総研製)を用いてインダクタンス値を求めたところ、実測値とほぼ一致した。次に、コア形状やギャップ幅を変えたとき、インダクタンス値と直流重畳特性について解析した。試作することなくインダクタを評価できるので、シミュレーションは有効に活用できる。
339【2003年報告】
IT活用織物企画設計支援システムの開発(第2報)
織物の縞割設計をコンピュータで行う織物企画表作成支援システムを開発した。従来手作業で行っていた作業が本システムを導入することで、設計作業に不慣れな作業者でも容易になり、製品開発に要する時間を短縮することができる。また、本研究開発により織物生産現場におけるIT化の段階的な推進を図ることが可能である。
340【2003年報告】
複合素材織物生産基盤強化のためのビームツービームサイジング技術の確立研究
複合素材織物へのビームツービームサイジング方式による経糸糊付け技術の確立を目的として、各種複合素材織物を企画・製織し、サイジング糸の品質や製織性の評価をすることにより適切な糊材やサイジング条件等の把握を行った。またそれらをベースとして多くの試作商品開発を行い、更にノウハウを蓄えた。
341【2003年報告】
放物面型THz帯受信システムの開発
THz帯電磁波の用途が、各分野で広がりつつあるが、特に欧州を中心として、X線に比べて安全性に優れた医療診断技術としての優位性が指摘され、実用化に向けた大型プロジェクトがスタートしている。しかしながら、プロジェクトで研究対象となっている技術は、超短パルスレーザを必要とし、装置の大型化が避けられず、感度、応答速度、コスト面等で問題がある。一方で、ショットキーダイオードを用いた高速応答・超高感度受信システムの開発が古くから行われているが、数THz以上での利用上、克服すべき課題が多い。本報告は、従来型THz帯受信システムの諸問題を解決する世界初の新構造提案と、その設計・製作を行い、初号機システムのTHz帯受信テストに成功した結果である。
342【2003年報告】
高速デジタル動画像伝送システムの開発(第2報)
GHz帯の無線通信を利用して動画像などの高速大容量データをディジタル通信するためのシステムを開発することを目的に、以下の研究をおこなった。
1)FPGAやDSPを利用したOFDMベースバンド部の試作。
2)5GHz帯の無線回路の試作と評価。
343【2003年報告】
マグネシウム合金による複雑形状部品の鍛造・プレス加工技術の確立と用途開発
 マグネシウム合金の鍛造・プレス加工技術の高度化および製品化技術を確立するため、(1)各種潤滑剤と金型表面コーティングの組み合わせによる絞り成形性の向上、(2)マグネシウム合金用研磨実験装置と装飾研磨技術の開発、(3)金属光沢を活かした染色可能な陽極酸化処理技術の開発、等を行った。各々について、マグネシウム合金加工技術をさらに高める結果を得たが、とくに(3)では新しい表面処理技術を開発することができた。また、本研究を通じて県央地域地場産業アクションプランの技術的な支援を行い数種の製品試作に至ったので、併せて紹介する。
344【2003年報告】
光触媒の担持応用技術とその評価
代表的な光触媒である酸化チタン(TiO2)を簡易的に担持させる方法としてゾルゲル法についての検討を行った。試料はチタニウムテトライソプロポキシド/エタノール溶液よりディップ法で作成した。また、基材への接着性及び光触媒効果の向上を目指すために粘土鉱物(スメクタイト,セピオライト)及びポリエチレングリコール(PEG)を添加し、PEGの添加量・分子量の変化、セピオライトの添加量の変化により酸化チタン膜がどのような変化を示すのかを考察した。また、メチレンブルーの分解を用いた光触媒効果の性能評価を行い、各条件における効果の違いが確認された。
345【2003年報告】
IT活用織物企画設計支援システムの開発(第3報)
見本織機を制御するドビーを自動的に動作させる装置を開発した。パソコンで動作データを作成できるソフトを開発し、昨年度開発した自動パンチングマシンのデータ作成ソフトに組み込んだ。本装置と自動パンチングマシンを使うことで、織物見本の製作からドビー紋栓カード作成及び実際の織物製造までに要する時間を大幅に短縮することができる。
346【2003年報告】
高精度三次元レーザ切断加工システムの開発(第3報)
高精度三次元レーザ切断加工システムを実用化するため、切断線補正データ作成システムの開発を行った。一方、制御システムの変更及び加工機の改造を行い、加工機の運動精度と切断精度の関連を調べると共に切断円間ピッチの収縮量を調べ、切断速度と材質による違いを明らかにした。またワーク固定治具を石膏の注型により迅速に作る方法を開発した。さらに、レーザ変位計を用いた加工機上でのワーク形状計測システムを開発した。これらの開発により、高精度三次元レーザ加工システムの実用化に目途がついた。
347【2003年報告】
移動分散協調作業用汎用小型ロボットプラットフォームの開発
生産分野から非生産分野へと応用が拡大しつつあるロボットは、2025年には現在の10倍以上の8兆円市場が見込まれている。特に分散協調作業を行う移動ロボットは、様々な分野に応用可能であり、一層の研究開発が求められている。しかし、移動ロボットの研究開発をゼロからはじめる場合、その技術的、価格的ハードルが高いため、良いアイデアがあってもそれを実用化することは困難である。本研究では、開発者のアイデアを容易に具体化できる、安価で手軽な移動ロボットのプラットフォームの開発を目的とする。本研究ではシステム全体を見直し、拡張性に優れた低価格なプラットフォームを開発する。
348【2003年報告】
県産スギ材製品の耐候性に関する研究
新潟県産スギ材の間伐材を用いた製品(側溝用木製蓋)の耐用年数を把握するために、スギ間伐材を防腐処理した試験体5種類と未処理の試験体を作製し、これを上越技術支援センター北側入り口側溝に設置して、屋外暴露による耐候性試験を実施した。また、サンシャインウェザーメーターを用いた促進耐候性試験を実施し、県産スギ材製品の経年劣化の状態を強度試験や分光測色計を用いた測定により確認した。
349【2003年報告】
活性白土製造後の廃酸の利用に関する研究(第1報)
活性白土製造工程より発生する酸廃棄物(廃酸)の有効利用を目的として、金属分を含む廃酸を中和・凝集沈殿処理などを行い水和含鉄アルミニウムが調製されている。水和含鉄アルミニウムは主に水処理剤として使われているが、有害物質吸着剤、特に硫化水素の吸着剤注)としても優れた能力を有している。そのため本研究では水和含鉄アルミニウムの吸着剤としての応用について検討した。水和含鉄アルミニウムを用いた硫化水素発生現場における実証試験では著しい周辺環境の改善が認められた。また速度論的解析により、水和含鉄アルミニウムによる硫化水素吸着のメカニズムを推定できた。さらに水和含鉄アルミニウムはアンモニア吸着能力を有していることが明らかとなった。
350【2003年報告】
高性能刃物技術に関する研究
切れ味が長期間持続する包丁の開発を目的として窒化、DLC(Diamond Like Carbon)による表面処理を行った。切れ味試験器を用いた評価の結果、窒化、DLC処理によって包丁の耐摩耗性が向上することが確認できた。また片面だけの表面処理でも耐摩耗性が向上することがわかった。
351【2003年報告】
YAGレーザによる薄物板金溶接に関する研究
YAGレーザ加工による薄物板金溶接の高度化研究を行った。今まで作業者の経験に頼っていた溶接時の加工条件を視覚的および数値的にデータベース化を行い、溶接時の加工条件の決定が従来の経験に加えて、蓄積されたデータベースを参照して、より適切にできるようにした。また、高精度な溶接システムを構築するための雰囲気装置を開発し、既存のレーザ加工機に付属させて溶接時の雰囲気中のモニタリングを行った。さらに、シールドガス流量と酸素濃度が測定できる計測システムを開発し詳細なデータを取得可能にした。実際の開発製品は、マグネシウム合金製の戦闘機(ブルーインパルス)模型、サッカーボールモニュメント、および医療用、精密機器部品等である。
352【2003年報告】
有機金属の積層コンデンサーへの応用研究
積層セラミックコンデンサーの小型大容量化に伴う、内部電極の薄膜化に適用可能な導電性ペーストの開発を行った。本研究では、金属有機酸塩を有機溶剤に溶解させてペースト化する有機金属法により、卑金属であるニッケル有機酸塩と非アミン系溶剤を用いたペーストの作製を検討した。
酢酸ニッケルとテトラエチレングリコールを主剤として選定し、ペーストを作製した。さらに、このペーストをスクリーン印刷し、塗膜を焼成した結果、粒径が数10nmの微粒子で形成された導電膜が得られた。
353【2003年報告】
高精度三次元レーザ切断加工システムの開発(第4報)
高精度三次元レーザ切断加工システムを実用化するため、切断線補正データ作成システムを開発した。当補正システムに具備する修正切断線作成機能、三次元座標変換機能、自動干渉回避機能、三次元オフセット機能、ピアスライン作成機能、NCデータ作成機能、等の機能を使うことにより、複雑なプレス成形品の実形状に合わせた切断プログラムを作成できた。この切断プログラムを用いて、本研究で開発した高精度三次元レーザ加工機により切断試験を行い、切断精度を測定した結果、既存のレーザ加工機に比べて大幅に加工精度が良いことがわかったが、主に外周部で熱変形が原因と思われる精度不良が見られた。
354【2003年報告】
拘束強加工によるチタンの結晶粒微細化技術の開発
ゴルフクラブヘッドのパフォーマンス向上を目的として、フェース材に用いられる準安定b型Ti-20%V-4%Al-1%Sn合金に冷間クロス圧延および時効処理を行い、ミクロ組織および引張特性を評価した。クロス圧延した試料では結晶粒が等方的に変形し、引張特性の面内異方性が改善されるとともに、引張強さ、0.2%耐力も向上する。さらに、時効を行うことにより、0.2%耐力の平均値は1132MPaに達する。この試料をゴルフクラブのフェースに適用した場合、板厚は従来材の2.7mmから2.45mmまで薄肉化が達成できる。その結果、たわみは約16%増加し、より高反発のフェースが作製可能となる。
355【2003年報告】
N-コンポ実用化試験
戦略研究により開発した自動引き通し機 N−コンポ(Niigata Composite yarn Piercing)のフィールド試験を行い、様々な糸種への適応性を把握するとともに、実用性能を向上させるために問題点への対応方法を検討した。また、近年新潟県内の織物産地で主流を占める2ビーム織物をN−コンポで引き通しするための対策として、見本整経機を用いて2ビーム用の種糸を整経する方法を検討し、そのための見本整経機の改良を行った。
356【2003年報告】
逐次張出し成形機と成形法に関する研究
本研究では、逐次張出し成形の実用化を目的として、汎用NCフライス盤の活用による様々な形状の成形可能性を検討した。今年度は、実用化の第一歩として、半球殻や皿形状などの垂直壁を持つ形状をはじめとした各形状の成形実験を試みた結果、複数の成形工程を組み合わせること、および工具移動経路を検討することで板をより均一に張出すことができ、各種の成形が可能であることを確認した。
357【2002年報告】
DSPの利用技術の研究
DSPの製品への応用に役立てる目的で、その特性について評価を行った。ディジタルフィルタのアルゴリズムをDSPにプログラミングし、動作の検証を行った。汎用のCPUとのパフォーマンスの比較を行った。
358【2002年報告】
新しいX線残留応力測定技術の研究
当所で研究したX線応力測定装置を用いて,シリコン単結晶とその上にスパッタ法により製膜した[111]配向をもつアルミニウム薄膜の応力を測定した。シリコンは(511)と(333)面の回折線をCrKb線を用いて,アルミニウムは(222)面の回折線をCrKa線を用いて,それぞ二つの回折線ピーク位置から応力値を決定する方法(2点法)を提案した。さらに,シリコン単結晶とアルミニウム薄膜の応力定数を実験的および理論的に求める方法を示した。得られたシリコン単結晶とアルミニウム薄膜の応力定数の測定値は,理論値とほぼ一致した。
359【2002年報告】
アイカメラの自動追尾焦点制御装置に関する研究
運転者の危険予知能力に関する運転適性を測定するために開発された実映像シミュレータに搭載される、視線検出カメラ(アイカメラ)の瞳孔自動追尾システムに関する開発を行った。装置の仕様は、被験者の無意識は頭部の搖動に伴う瞳孔の動きを測定して、決定した。さらに、ステッピングモータによるサーボ機構を構築し、無意識は被験者の頭部の搖動に対して、有害な振動を発生すること無く、瞳孔を自動追尾することを確認した。また、この機構を実映像シミュレータと組み合わせ、総合実験を行った結果、視線の誤差50mm以内で視線を検出し、精度の高い運転適性診断が可能になった。
360【2002年報告】
標準電波受信用アンテナに関する研究
標準電波を受信して時刻を自動的に修正する電波時計に用いるアンテナの小型化を目的として開発を行った。アンテナコイルに用いるコアの両端にツバをつける(ドラム型コアと呼ぶ)と,コア材の見掛け透磁率が向上し,ドラム型コアを用いないものと比べると,インダクタンス値及び受信電圧値が大きくなることが分かった。したがって,同じインダクタンス値のアンテナコイルの場合,ドラム型コアを用いることにより,従来のコイルに比べて小型のアンテナを作製することが可能となった。
また,設計の効率化を図るため,電磁界解析ソフトを用いてシミュレーションを行なった。ドラム型コアは,電磁界解析ソフトでもその有効性を確認できた。
361【2002年報告】
光プローブの自律走査と平面データムの内蔵を特徴とする表面凹凸形状測定機
面領域を走査する座標系として直交座標に加えて極座標の実用性を追求し、光プローブ変位計の異常値補正と最適なサンプリング条件を導出するためのソフトウェア開発に力点を置いた。
362【2002年報告】
光触媒の担持応用技術
二酸化チタン光触媒を簡易的に担持させる方法としてゾルゲル法について検討を行った。サンプルはチタンテトライソプロポキシド/ EtOH溶液よりディップ法で作成した。基材への接着性向上のため、ポリエチレングリコールおよびスメクタイト(粘土鉱物)を添加し、同様の手順でディップ−焼成後SEMで観察したところ、スメクタイト添加溶液について良好な結果を得た。
二酸化チタン被膜の性能評価については、色素増感型太陽電池を製作し発電量を測定することにより行った。この測定の結果では、スメクタイト添加後のサンプルについては発電効率がおちることが確認された。
363【2002年報告】
繊維製品の染着制御・機能性付加技術の開発(その1)
低濃度の佐渡産柿渋液と一本糊付け機により、柿渋付着後の斑発生を回避すると同時に、染色堅ろう度及び糸物性等を低下させることなく、綿糸に柿渋を付着させることができた。また、この柿渋処理糸(編み地)には、十分な抗菌性がみられた。
364【2002年報告】
CADデータを利用した製造技術に関する研究
プレス品、射出成形品などの開発期間短縮とコスト低減を目的として、3次元CADのデータから、CAD/CAMと木工用NCルーターを使って木型を作製した。それを用いて精密鋳造により簡易金型を作製し、収縮等について評価を行った。
365【2002年報告】
繊維製品の染着制御・機能性付加技術の開発(その2)
12°ボーメ以上の水酸化ナトリウム水溶液中で、ペーパーヤーンを室温下約30分間無緊張シルケット処理することによって、これに伸縮性を付与することができた。また、酵素処理によってペーパーヤーンに柔軟性(柔らかさ)を付与することができた。これにより、ペーパーヤーンの編成性が可能となった。
366【2002年報告】
交流パレスMIG溶接機のステンレスへの応用試験
交流パルスMIG溶接機を用いて、ステンレス薄板(1〜3mm)の溶接試験を行った。ビードオン溶接、突き合わせ溶接試験により溶接条件の把握を行い応用試験として重ねスミ肉溶接試験を行った結果、2mmのギャップまでの溶接が可能な条件が得られた。
367【2002年報告】
高精度・高速処理テープ式研磨装置の開発
従来のバフやベルト研磨機では対応が困難な次世代プリント基板の表面を高精度かつ高能率で研磨するため、従来機の欠点であった加工能率を大幅に改善した高速テープ研磨装置を開発した。また、開発したテープ研磨装置で各種プリント基板材料の研磨試験を行った結果、従来機よりはるかに高速、高精度な加工が可能であることが確認された。
368【2002年報告】
繊維素材の複合化技術に関する研究
素材応用技術支援センターでは、複合化によるものづくり研究に取り組み、業界の新製品開発を支援してきた。本報では「多色のスペック染色をした先染め駒絽」と「撚糸によるメランジュ調ニット」を開発し、その評価を行った。
369【2002年報告】
中小企業における情報技術の導入
CAD/CAM技術によって電子化された図面情報をインターネット上で共有する方法について検討し、形状データ確認の際にXVL形式を用いることで、データ容量の大幅な軽減や高精度表示が可能となることを確認した。また、実際の切削過程で発生する情報を加工データ作成者に伝える際、インターネットを介することで、工具軌跡や加工条件が適正かどうか迅速に判断でき、品質の向上や納期短縮の効果が見込まれることを明らかにした。
370【2002年報告】
金属製品の腐食に関する研究
ステンレス鋼について、塩化第二鉄−塩酸溶液で腐食減量実験をおこない、材質や表面状態の違いが耐食性に及ぼす影響について検討した。腐食減量の経時変化を測定することで、腐食速度および腐食開始までの時間の違いがわかり、より正確な耐食性評価が可能となった。また、INCO法発色処理、硝酸処理、メッキ等の表面処理がステンレス鋼の耐食性に及ぼす影響について、その前処理も含め考察した。
371【2002年報告】
高温酸化を利用した超硬合金チップのリサイクル
超硬合金工具の廃材をリサイクルする方法として,高温酸化を利用した方法を提案する。市販のWC-Co系超硬合金チップを1300℃,大気中の高温酸化によりWO 3としてタングステンの回収を確認した。しかし表面に液相のCoWO 4が生成するため,WO 3の蒸気圧が著しく低下し,その回収速度はきわめて遅くなることがわかった。また,セラミックス製の容器との反応が著しいが,アルミナよりは安価なムライトの方が,反応がゆるやかであることがわかった。
372【2002年報告】
複合材料の疲労試験評価に関する研究
信頼性と高品質を備えた製品を開発する上で、その製品の品質や性能を評価するための試験方法や評価・基準・規格が必要になる。現在、ウインタースポーツのひとつに、複合材料を構成材とした製品、スノーボードがある。このスノーボードに関するこれらの試験・規格としてISO/DIS10958等があるが、しかし、その内容は金具、ブーツに関する規格であり、スノーボード本体の強度性能や疲労性能などの品質と信頼性に関する項目は含まれない。
 本研究は、複合材料製品であるスノーボードについて、その疲労特性を検討するための試験方法と製品本体の疲労特性を評価するために、旧JIS S 7019(アルペンスキー試験方法)を参考に、スノーボード用ねじり強度試験機を用いて、曲げ疲労試験やねじり疲労試験を実施した。
373【2002年報告】
IT活用織物企画設計支援システムの開発(第1報)
織物組織の設計と分解をコンピュータで行う織物組織分解支援システムおよび、織機を制御するために必要なドビー紋栓カードを自動的に作成するパンチングシステムを開発した。従来人手で行っていた作業が本システムを導入することで正確になり、織物の企画設計やドビー紋栓カード作成に要する時間を大幅に短縮することができる。
374【2002年報告】
環境調和型薄膜太陽電池の電気的特性に関する研究
環境調和型薄膜太陽電池の開発を目指し,Cu 2 ZnSnS 4(以下CZTS)薄膜を光吸収層とする薄膜太陽電池を作製し各種評価を行った。作製した太陽電は,Al/ZnO:Al/CdS/CZTS/Mo/ガラス構造である。厚さ1.2mmのソーダライムガラスを基板とし,RFスパッタ法により下部電極Moを製膜した。Mo上に,光吸収層CZTS薄膜をE-B蒸着・
気相硫化法により積層した。バッファー層CdSは,溶液成長法(CBD法)で成長させた。上部窓層ZnO:Alは,ZnO+Al 2 O 3 :2.0wt%ターゲットを用い,RFスパッタ法により積層した。最後に上部櫛形Al電極を真空蒸着法により作製し,太陽電池を構成した。本研究で得られた最高変換効率は4.13%であった。この値は,これまでのトップデータ2.62%を大きく上回る値である。
375【2002年報告】
繊維製品の染着制御・機能性付加技術の開発(その3)
反応条件を適切に制御することによって、壁材の主成分としてとしてPS(ポリスチレン),芯剤してパラフィンを内包するマイクロカプセルを作成することができた。このマイクロカプセルは約10μm粒径を示し、またその蓄熱性能は約12J/gであった。
376【2002年報告】
インプロセスモニタリングを用いたYAGレーザー溶接による高信頼性溶接部品生産法
健全性の高い,軽量化された溶接部を得ることを目的として,YAGレーザーによるビードオンプレート溶接並びに突き合わせ溶接を実施した。さらに溶接品質の保証技術を確立するために,発光・音響信号による溶接性状のモニタリングを行ったので報告する。
377【2002年報告】
マグネシウム合金による複雑形状部品の加工技術の確立と用途開発(第3報)
本研究では、現在、ダイキャストやチクソモールディングといった溶融或いは半溶融成形法により製造されているマグネシウム合金の製品を、安価で生産性の高いプレス加工に置き換えることを目的として3年間研究を行ってきた。これまでの2年間では素材の加工にあたる圧延・押出しからプレス加工・溶接・最終段階の表面処理にいたるまでの各工程において加工技術の研究を行ってきた。本報告では今年度に行った研究内容の内、マグネシウム圧延板研磨装置の開発、アルミニウムクラッドマグネシウム材料の開発、マグネシウム溶接技術の開発、マグネシウム表面処理技術の開発について報告する。
378【2002年報告】
高精度ボールねじにおけるラップ仕上げの自動化とよろめき補正可能な工具の開発
熟練作業者の経験と感覚に委ねられていたボールねじ軸のラップ作業を自動化し、安価でかつ超高精度なボールねじの量産化を実現させる。また、移動量誤差変動(よろめき)をラッピングで可能にするために、多数のラップ歯を持つ新形式のラップ工具を開発した。
379【2002年報告】
エコデザイン(環境配慮型設計)による商品開発研究
地球環境問題への取り組みが世界的に活発となってきた中、本県産業にとっても環境対応化は大きな課題である。そこで環境に配慮した商品づくりの基盤となる研究を実施することにより、県内生活関連産業の環境対応商品開発体制づくりの支援を目的とする。
380【2002年報告】
高精度三次元レーザ切断加工システムの開発(第2報)
平成12年度より開発中の三次元レーザ加工機の精度を確かめるため、加工点の運動精度、環境温度による加工点の変位、繰り返し運動時の加工点の変位、2次元及び3次元加工精度について試験を行い、既存のレーザ加工機と比較しながら評価した。その結果、開発した加工機は、ほぼいずれの試験においても既存の加工機よりも精度がよいことがわかった。
381【2002年報告】
バイオマスエネルギーストーブのデザインと開発
木質バイオマスエネルギーの典型であり、また、日本古来より使われ続けてきた「木炭」を燃料とするストーブのデザインを含めた開発を目的とし、ストーブ構造だけで木炭による高温連続燃焼を可能にした技術を基に1号機、2号機2種類のプロトタイプの製作を実施したので報告する。
382【2002年報告】
マグネシウム合金等のリサイクル化の調査研究(第2報)
マグネシウム合金は、携帯電話やノートパソコン、MD プレーヤーなどの筐体への利用が進んでおり、近い将来、マグネシウム合金板を使ったプレス成形品の採用が予想されることから、現段階からプレス成形の過程で発生するスクラップや端材を対象としたリサイクルを積極的に考えていく必要がある。そこで、本研究では、展伸材を中心としたマグネシウム合金のリサイクルの可能性について検討するため、マグネシウム合金の市中回収品を想定した溶解実験、連続鋳造スラブの製作、リサイクル圧延板の試作とその性能評価を行った。その結果、連続鋳造を行うことによって、欠陥のないスラブが作製可能であり、そのスラブより製作した圧延板もプレス加工を行う上で十分な成形能を有することを確認した。
383【2002年報告】
高速デジタル動画像伝送システムの開発
GHz 帯の無線通信を利用して動画像などの高速大容量データをディジタル通信するためのシステムを開発することを目的に、次の項目について研究を行った。
1 )OFDM の原理及び、その利点と開発課題について調査を行った。また、FPGA などの素子を利用した回路実現の可能性を探るため、送信側のベースバンド部について回路構成を検討した。
2 )高周波回路シミュレータを利用して、2 .4GHz 帯のローノイズアンプを設計・試作し、その特性について実測・評価を行った。
384【2002年報告】
高出力YAGレーザを用いた溶接技術の研究
Nd:YAG レーザ(以下YAG レーザ)は、優れたビーム品質を維持しながら高出力化が一段と進み、また光ファイバーを利用できるために加工の自由度が大きく、非常に注目されている。
しかし、高出力YAG レーザは、ここ数年で著しく進んだために、CO2 レーザを用いた加工技術と比較すると、その特性が十分に理解されておらず、今後の普及のためには、加工技術のデータベース化が急務である。本研究では、YAG レーザ溶接の系統的な技術蓄積のために、昨年度までの軟鋼、ステンレス鋼、純チタンおよびアルミニウム合金に引き続き、マグネシウム合金の最適加工条件データベース化を行った。
385【2001年報告】
CATVインターワーキング高速無線LANシステムの研究
本報告では、インターネット、ADSL、CATV等の高速アクセス網と相互接続可能な、高速無線アクセス技術としては、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を採用し、実際にハードウエアにより設計、試作、実験を行い、基礎的データの取得と解析を行った。実験評価の結果、OFDM技術を用いて高速無線伝送方式の実現性について明らかにすることができた。
386【2001年報告】
高出力YAGレーザを用いた溶接技術の研究
 Nd:YAGレーザ(以下YAGレーザ)は、優れたビーム品質を維持しながら高出力化が一段と進み、また光ファイバーを利用できるために加工の自由度が大きく、非常に注目されている。
しかし、高出力YAGレーザは、ここ数年で著しく進んだために、CO2レーザを用いた加工技術と比較すると、その特性が十分に理解されておらず、今後の普及のためには、加工技術のデータベース化が急務である。本研究では、YAGレーザ溶接の系統的な技術蓄積のために、昨年度の軟鋼及びステンレス鋼に引き続き、純チタンおよびアルミニウム合金(以下アルミ合金)の、最適加工条件データーベース化を行った。
387【2001年報告】
キリ材の渋抜け過程の研究
桐は軽くて狂いが少なく加工しやすいことや淡い材色に独特のツヤを持つことなどから、昔からタンスなどに多く使われてきた。しかし、伝統的な「雨ざらし」による十分な渋抜き行程を経なければ赤紫から褐色さらには黒へと変色してしまうという性質を持つ。当センターでは以前からこの渋抜きに関する調査研究を継続してきた。1),2)今回はマイクロスコープによる桐の組織観察や温水抽出パターン及び変色促進試験に関する考察を行い、これまでの研究経過と合わせ一定の成果を得ることができたので報告する。
388【2001年報告】
マイクロカプセル利用による高付加価値製品の開発
 マイクロカプセルを利用することにより繊維製品の高機能化、高付加価値化を図ることを目的として、染料のマイクロカプセル化および蓄熱材のマイクロカプセル化の実験を行い、得られたマイクロカプセルの繊維製品への応用を検討した。
389【2001年報告】
金属製品の腐食に関する研究
 県央技術支援センターで相談の多いステンレス鋼の腐食現状についての理解を深めるために、孔食電位測定、塩化第二鉄腐食試験を行った。結果として微量元素の添加、加工硬化、鋭敏化処理が耐食性に影響することを確認した。
390【2001年報告】
マグネシウム合金等のリサイクル化の調査研究
マグネシウム合金は、軽量等のその優れた機械的特性に加え、リサイクル面の優位性からも非常に注目を浴びている。展伸材を中心としたリサイクルの可能性について健闘するため、マグネシウム合金のリサイクルの現状調査を行うとともに、基礎的な溶解試験、リサイクル圧延板の試作を行った。試作材においては、内部欠陥、表面欠陥が認められ、引張試験特性に不安定さが認められてるものの、その深絞り成形性において、市販材と同等な良好な結果を得た。
391【2001年報告】
微細粒を用いた多孔質鉄系薄刃砥石の開発
微細粒を用いた切断用薄刃砥石において、砥粒率、ボンド率、気孔率、気孔径、砥粒保持力の各要素が独立して制御可能な砥石制作方法とその方法を用いて作製した多孔質薄刃砥石の切断性能について報告する。
392【2001年報告】
有機EL素子の用途開発
スピンコートで製膜できる高分子タイプの有機EL素子に着目し、ホール移動剤の合成を行った。この試作品に発光剤Alqを加えてITO電極情に製膜し、有機EL素子を作製した。これに直流電圧を印可すると緑色発光したが、短時間で電圧破壊された。
393【2001年報告】
WPC木材の接着技術に関する研究
木材にビニル系モノマーを主体とする樹脂液を含浸させたWPC(wood-polymer composite)はアルミ板やカーボン板(CFRP)などの材料と組み合わせることで、ゴルフのパターやグランドゴルフのヘッドとして製品化されている。
 これら製品の接合方法は、接着剤を用いた接着接合が一般的であり、その接着強度が製品の品質に大きく影響を及ぼしている。
 本研究は、WPCと異種材接着における最適接着条件を把握することを目的とし、実験では、実際に製造で使用している接着剤を用い、WPC、アルミ、カーボンを被着材として、前処理や温度などの接着条件を変え、JIS K 6804に準拠した圧縮せん断試験を行い、その接着強度を評価した。
394【2001年報告】
商品開発における評価システムの研究
県内企業のデザイン・企画技術の確立を目的に、「商品コンセプト開発マニュアル」と「デザイン展開の手引き」を提案してきた。
 これまでの研究成果に、今年度の「商品開発評価手法 研究事例集」が加わることにより、コンセプト立案からデザイン案の作成と商品評価・決定まで一連の商品開発作業に役立つ方法論が完成した。
395【2001年報告】
日本海側気候に対応した住環境維持管理システムの研究(第3報)
1)天井大面積吹出し、2)放射と対流の併用型、3)天井が放射面などを特徴とし熱源に壁掛型エアコンを使用した放射冷暖房システムの開発を行った。これを実験用住宅に設置して夏季、冬季に運転しデータ収集を行い評価した。
 このシステムを設置した室は、同機種のエアコンによる従来の冷暖房(対流冷暖房)を行った室に較べPMV、上下温度分布、ドラフトなどの点でより均一で穏やかな温熱環境であり本冷暖房システムの有効性を示す結果を得た。
396【2001年報告】
光−空気2次電池の構成材料の特性改良
光エネルギー充電と酸素をエネルギー源とした放電を組み合わせた光−空気2次電池を試作し、その電極材料であるTiの処理方法により充放電特性がどのように影響されるかを検討した。
397【2001年報告】
生分解性プラスチックのフィールドテスト
生分解性プラスチックは土壌中の微生物による分解を受け、最終的に水と二酸化炭素に分解される。しかしその分解挙動については現時点では不明の点も多い。そこで県内数カ所に各種サンプルを埋設し、分解状況のモニターを行った。なお、本研究は物質工学連合部会高分子分科会の共同研究の一環として行われたものである。
398【2001年報告】
複合化技術による繊維素材開発の研究
県内繊維業界が得意としている複合素材に焦点を当て,産地が所有する既存の設備を使用し,または一部改造を加え,物性が異なる種々の繊維を組み合わせて機能性や意匠性のある素材の開発を行った。本報では「エアジェット精紡機による多層構造糸」,「ダブルカバーリング機による機能性絹糸」,「エア仮撚りによるムラ感のある素材」「快適性能向上を目指した夏用素材」の4つの複合素材を開発し,その特性評価を行った。
399【2001年報告】
バーチャルリアリティ表示用スクリーン微細加工技術の開発
明るい室内においても、臨場感に富んだ立体映像が得られるフロントプロジェクション方式のスクリーンの実現を目指して、微小凹面(ディンプル)の分布した金型を対象として、高精度化が可能な加工方式、加工工具、および超精密加工技術を開発するとともに、この金型を用いて樹脂成形し反射特性を評価したところ、ほぼ所望の光学特性が得られていることを確認している。
400【2001年報告】
センシング用無線機器の伝送特性の評価研究
携帯電話や無線LAN等の各種無線機器が急速に普及してきているが,無線機器の実際の伝送特性は周囲の環境に大きく左右され,はっきりと掴めていない実態がある。そこで,SS無線LANでパソコン間を結び,距離や障害物の有無による伝送特性の比較実験を行った。
401【2001年報告】
マグネシウム合金による複雑形状部品の加工技術の確立と用途開発(第2報)
現在、ダイキャストやチクソモールディングといった溶融或いは半溶融成形法により製造されているマグネシウム合金の製品を安価で生産性の高いプレス加工に置き換えるにあたって、素材の加工である圧延・押出しからプレス加工、溶接、最終段階の表面処理にいたるまでの各工程において加工技術を確立する必要がある。今年度は、マグネシウム合金のプレス成形品を製品化する上で必要とされる各要素技術の開発を報告する。
402【2001年報告】
高精度自動X線材料評価システムの研究開発(第3報)
X線ゴニオメータ,X線計数制御装置,WINDOWSに対応したソフトウェアおよびパーソナルコンピュータで構成される新しいX線応力測定装置を開発した。この装置は,市販装置にはできない測定値の再現性を評価できるほか,市販装置に比べて測定時間を大幅に短縮できる。この装置を用いて,シリコン単結晶とシリコンウェハ上にスパッタにより作成したアルミニウム薄膜について,負荷応力を加えながらX線応力測定を行い,負荷応力に対してX線で測定した応力は比例することを示した。本研究により,従来の測定方法では困難であったシリコン単結晶およびシリコンウェハー上のアルミ薄膜の残留応力測定の可能性を見い出した。
403【2001年報告】
画像処理技術を応用したロボット溶接の研究
溶接の効率化を目指し、パソコンによりロボット及びワーク固定テーブルを制御し、カメラ画像を処理して溶接部のルートギャップを計測するシステムを構築した。実験の結果、直線部においては、ライン照明を使用することでルートギャップを良好に把握することができた。非直線部の計測精度向上と、実際の自動溶接への適応が今後の課題である。
404【2001年報告】
高精度三次元レーザ切断加工システムの開発(第1報)
従来のレーザ加工機では対応の困難な、カメラ、携帯電話、情報機器など高精度なプレス成形品の三次元切断を実現することを目的に高精度三次元レーザ加工機の開発を行った。開発機はX、Y、Zの直動位置決め駆動軸とC、αの回転姿勢制御軸で構成される一点指向の5軸機構とした。
405【2000年報告】
工作機械のセンターベース知的制御技術に関する研究
 小型NCフライス盤を対象に、主軸周辺を中心とした機械各部の温度から主軸の熱変位をニューラルネットワークを利用して推定し、NC装置へ熱変位補正データを与えるシステムを構築した。
406【2000年報告】
シールド繊維および電磁波遮蔽材のシールド効果評価
 最近電磁波が人体に及ぼす影響が問題になり、また、他の機器の電磁波による電子機器の誤動作防止が問題になっている。これらの電磁波の防止のため電磁波シールド材を開発製造している企業は、県内にかなりある。そこでシールド効果の効率的な測定方法を確立するとともに、シールド材のシールド効果に与える要因を明らかにして企業を技術支援した。
407【2000年報告】
商品の企画提案力を増大するための「モノ作り」に関する研究
 従来設備で可能な新規染色方法の開発及びニット用合撚糸の開発とにより、企業の企画提案力の増大に努めた。従来から新潟県にあるスペック染色を更に高度化して、高染色堅ろう性、絹・羊毛への可染性を有する新規な染色法の開発、絹とポリエステルを合撚したニット用糸の開発及び作業性の良いジャガードデータ作成支援ソフトの作成などを行った。
408【2000年報告】
レーザを利用した表面改質及び微細加工工程の省エネルギー化研究
PTFE(Polytetrafluoroethylene)表面の親水性、接着性を向上させるためにホウ酸水溶液を処理剤としてArFエキシマレーザにより表面改質を行った。その後、改質した表面に無電解銅めっきを施し、エッチング処理により不要な部分を除去した回路を作り、PTFE回路基板の作成に成功した。
409【2000年報告】
ホット・ダイ・フォージングによるチタン合金成形技術の開発
 一般的な金型材料を用いたチタン合金の超塑性成形を可能にするため、ホット・ダイ・フォージングを試みた。使用したチタン合金はβrichα+β型チタン合金。金型温度を500℃一定とし、素材加熱温度(700℃〜850℃)を変化させて成形試験を行い、形状精度や、転写性、金属組織などを調べた。その結果、超塑性状態時の成形性には及ばないものの、ある程度精度よく成形することができ、身近な金型材料(合金工具鋼SKD61)の使用を可能にした。
410【2000年報告】
日本海側気候に対応した住環境維持管理システムの研究(第2報)
全国的に見ても非常に相対湿度の高い新潟県内において、快適に住環境を得るために調湿内装用ボードの開発を試みた。稚内産珪藻頁岩を調湿材料としたセメントボードは優れた吸放湿性能を有し、混入する粒度により吸放湿性能の相違が見られた。
411【2000年報告】
木材切削用刃物の研究(第2報)
 ルータ加工に適した桐材用刃物と切削条件を検討するため、昨年度の結果を受けて引き続き刃物の試作及び切削試験を行った。その結果、裏刃加工を施した試作刃物の高速回転域での優位性は認められなかったが、低速回転域では確認できた。このことから、裏刃付き刃物は、高速回転で使用するNCルータよりも比較的低速回転で使用するNC以外のルータや面取り盤において効果が期待できることがわかった。
412【2000年報告】
米でんぷん発酵産業排水のための超音波膜処理浄化プロセス
 超音波処理を膜水処理過程に適応することで、膜の汚れを取り除き、再生が容易に行えることが可能となった。また、超音波照射によって膜の処理能力が促進されることも見いだした。この新しい膜プロセスのでんぷんやペプトン合成廃液における処理特性について報告する。
413【2000年報告】
マグネシウム合金による複雑形状部品の加工技術の確立と用途開発
近年、パソコンや携帯用家電製品の筐体にマグネシウム合金を採用したものが増えているが、そのほとんどは、ダイキャストやチクソモールディングにより製造されている。これらをプレス成形に置き換えるべく、マグネシウム合金板の深絞り成形実験を行ったので、ここに報告する。
414【2000年報告】
自己発生共晶液相による異種金属の複合化研究
 異種金属の接合面を擦り合わせることによって生成された共晶液体を「糊」として用いる、大気中での簡便な接合方法について検討した。銅パイプとアルミニウムパイプおよびアルミニウムパイプと鉄パイプの押し込み接合法における接合条件や接合機構について明らかにした。また、平板形状の異種金属の接合として、アルミニウム板とステンレス鋼板の接合を試みた。
415【2000年報告】
デザイン展開システムの研究
 県内企業の特性や資源を活かした「魅力的な商品作りへの転換」、にいがた発モノづくりの推進」を目標に平成9・10年度に「商品コンセプト開発マニュアル」を作成・発表した。
 今年度は、その次のステップとして、商品コンセプトから具体的なデザインに至るまでのプロセスを対象に、その諸問題を調査研究し、商品コンセプトが確実にデザインに反映されるためのデザイン展開システムの研究を行い、「デザイン展開の手引き」を作成した。対象業種は、道具、空間、衣、食(生活関連用品製造業を4つに分類したもの)の4分野とし、手引きの使用者は、企業内の商品開発担当者とした。
416【2000年報告】
チタンのプレス成形技術に関する研究
 本研究では純チタンの結晶粒径による成形性を明確にするため、化学組成が同一で粒径の異なる供試材で機械的強度、絞り成形性、張り出し成形性について検討した。その結果、絞り加工では、結晶粒の小さな純チタンを用いることにより成形性が向上し、純チタンの成形で問題視される肌荒れの問題を解消することができた。
417【2000年報告】
高出力YAGレーザを用いた溶接技術の研究
優れたビーム品質と高い加工自由度によって高出力YAGレーザーによる加工が非常に注目されている。しかし高出力YAGレーザーはここ数年で長足の進歩を遂げているため、CO2レーザーを用いた加工技術と比較するとその特性が十分に分かっているとは言えず、今後の普及のためには加工技術データベース化が急務と考えられる。本研究ではYAGレーザー溶接の系統的な技術蓄積のために、軟鋼及びステンレス鋼の最適加工条件データベースの研究を行った。
418【2000年報告】
レーザを利用した表面改質及び微細加工工程の省エネルギー化研究
アルミニウム合金表面の耐摩耗性が要求される部位に局部かつミリオーダーの厚さを持った耐摩耗層を形成する事を目的とし、レーザにより金属粉末および硬質粒子を添加し合金化を図った。本技術を実製品に適用するため、ピンオンディスク式摩耗試験により摩擦相手材(軸受鋼)への攻撃性を評価した。その結果、凝着抑制効果を持つ金属CuやSnには、攻撃性の抑制効果もあることがわかった。また、アルミナセラミクスを相手材とした場合にも凝着が生じ、Cuを添加することで凝着が抑制された。さらに、加工条件を検討し、合金層断面形状の改良、粉末添加効率の向上を図った。
419【2000年報告】
超高速切削加工による加工技術の高度化
 空気静圧スピンドルを有するCNCフライス盤を使用して、アクリル樹脂を高能率滑高品位に切削加工するための検討を行った。その結果、水平面の加工を行った場合は、工具回転速度を高くかつピックフィードおよび一刃当たりの送りを小さくした時に、加工面の粗さRyが最も小さくなった。また、ピックフィールドを大きくした場合は、加工面の粗さRyが理論値よりも小さくなった。切削加工に使用する工具形状については、刃先にギャッシュを持つボールエンドミルを使用した方が、ギャッシュがないものよりもその加工面の粗さRyを小さくすることができ、さらに水平切削面の透明度も高くすることができた。したがって、アクリル樹脂の切削に超高速切削加工技術を適用する場合は、工具形状を最適化することにより、高能率・高品位加工が可能であることが明らかにされた。
420【2000年報告】
高精度自動X線材料評価システムの研究開発(第2報)
X線ゴニーオメータ、X線計数制御装置、WINDOWSに対応したソフトウェアおよびパーソナルコンピュータで構成される新しいX線応力測定装置を試作した。このシステムは、市販装置では行うことのできない一回の測定で応力値などの95%信頼区間を求めることができるなどの特徴をもっている。また、測定結果や計算結果をグラフや表にする機能を持つため、これまでデータ処理に要していた時間が大幅に短縮され、迅速なデータ処理が可能になった。
421【2000年報告】
高次伸縮糸の開発とニット製品への応用
平成9、10年度にわたって開発した、綿伸縮性素材「多層構造伸縮性」を試験レベルから生産レベルへと技術移転を行った。特に仮撚り工程で発生する風綿対策の検討から、簡易装置の開発、生産機への設置までを行った。
422【2000年報告】
放射加熱法を応用した機能性酸化物膜の3-Dコーティング
 放射加熱方式大気開放型化学気相析出装置により機能性酸化物膜を3−D形状基材にコーティングした。基材の表面温度分布、アモルファスアルミナの膜厚分布および絶縁破壊特性は良好であった。さらにステンレス波板基材およびメッシュ構造材料への均一コーティングも行えることがわかった。
423【2000年報告】
高精度エンプラ歯車の動特性の研究(第2報)
近年のエンジニアリングプラスチック歯車(エンプラ歯車)の高精度化に対応するため、高精度エンプラ歯車を安定的に製造する技術の研究と歯車の動的な性能評価装置の開発を行った。ここでは平成11年度の研究結果を報告する。高精度エンプラ歯車の安定製造技術の研究に関しては、昨年度の研究で得られたデータを基に試作高精度歯車の金型を製作し、さらに成形条件に検討を加えて成形実験を行った。その結果、今年度末の時点において歯車の精度を当初のJIS5級からJIS3級まで向上させることができた。歯車の動的性能評価装置の開発では回転伝達誤差測定装置と強度・耐久性試験装置を開発した。この装置を用いてプラスチック歯車の性能評価試験を行い、高精度歯車製造のための知見を得た。
424【2000年報告】
工作機械の精度測定システムの開発
 工作機械の運動精度、特に真直度を現場的に精度よく測定する方法を開発する事を目的に研究を行った。反転法および3点法を用いてデータを収集解析する真直度測定システムを開発し、その検証を行った。データの再現性およびバラツキに関しては、レーザー測長器による真直度測定よりよい結果を得られた。反転法を用いた測定では1m程度の測定長において1μm前後の相対誤差で測定が可能であった。
425【2000年報告】
高温加熱処理を行ったスギ材の表面圧縮処理による製品開発
 上越地区に、高温加熱処理(遠赤外線燻煙熱処理)により、生の丸太材を短期間に乾燥出来る装置が導入された。この装置により処理された木材(スギ)について、加熱処理後の性能を把握するために、JISに基づく材料試験を行い、次に、薬剤や樹脂などの注入性を評価するために、含浸性試験を行った。
 また、付加価値製品の開発を目的に、木材中に熱可塑性樹脂を注入したWPCを用い、熱圧成形加工法による銘々皿(トレイ)を試作したので、ここに報告する。
426【2000年報告】
糸状素材のマイクロハンドリング機構の研究(第3報)
形状が変化し微小で柔軟性のある糸状素材を1本1本確実に掴み、小さな孔を通し、所定の位置に運び置くためのマイクロハンドリング機構の研究を行い、織物生産の準備工程として人手に頼っている柄組み、引通し工程の自動機械を開発する。第1報、第2報では、
開発する柄組み引通し機械の概念、仕様等を述べ、要素技術について進捗状況、動作試験結果を報告した。今年度、目標であった柄組み機及び引通し機を開発した。両者とも複合糸素材に対応するため掴み受け渡しを行うことに特徴を持つ。本報では、柄組み機、引通し機の仕様、構成要素、動作手順及び動作試験結果について述べる。
427【2000年報告】
佐渡島の物質代謝解析と資源循環・環境共生型エコアイランド構想実現化のための環境経済学的考察
 佐渡島は沖縄本当に次いで2番目に大きな島であり、1市7町2村からなり、人口7.5万人、面積854kuで産業の中心は農水産業と観光である。佐渡島は閉鎖された離島地域なので物質の移入・移出はもっぱら港湾輸送が主流であり、それゆえ物質の流入・流出の統計データも比較的整っているので物質フローの解析対象として好適である。また、佐渡島のエネルギー需要は島外からの化石エネルギーの輸入に全面的に依存している。すなわち、佐渡島の物質代謝とエネルギー需要の様相は、そのまま、物質、食料、資源、エネルギー等を大きく海外に依存している島国日本の縮図とも見て取れる。そこで本研究では、佐渡島における環境共生・資源循環型の社会システムの構築をめざし、物質・水・エネルギー・廃棄物等に関する代謝構造の把握と、風、バイオマスなどの再生可能エネルギーの導入による離島・佐渡のエネルギー自立型社会への移行の適用可能性について環境経済学的な評価を行った。
428【1999年報告】
含浸木材の可塑性を利用した木材の成形加工
  木材にビニル系モノマーを主体とする樹脂液を含浸させて得られるWPC(wood-polymer composite)では、プラスチックの特徴である熱可塑性を利用したプレス成形加工が期待できる。WPCは今後新しい木材利用の方向として大いに期待される分野であり、本研究ではこの加工技術を開発することにより、WPCの加飾−成形加工の高度化と新市場の開拓を目指した。
429【1999年報告】
マルチメディア技術を利用した工場管理技術の開発
異なる機種間における3次元CADデータの変換について、その問題を検討した。またインターネット回線を利用して、3次元CADデータ中間ファイル(IGES)の転送試験を行なった。ファイルをそのまま転送した場合、データの一部が変化し正確な転送ができなかったが、圧縮して転送することにより不具合が生じないことがわかった。またCADにより作成した3次元データを元に有限要素構造解析を行った。
430【1999年報告】
新潟県食品産業廃棄汚泥処理用の故紙混入法縦型汚泥発酵槽の研究
(1).80%の高含水率の有機汚泥に故紙を混合し縦型の発酵槽に投入し、非加温空気(10℃)を毎分40L送風する事で、70℃の高温発酵を1〜2日の内に開始することが出来た。(2).60℃以上の高温発酵は3日間持続し、現行法で最も優れている、オガクズ混合の場合よりも長く持続した。(3).発酵槽内3点の温度変化を積算したトータル発酵槽温度に於いてはオガクズ混合法に比較し2倍弱の高い発酵温度を示し、故紙混合法の優れていることが示された。(4).減容率を示す汚泥の高さの減少は、オガクズ混合槽では4日間で10%減少しただけだが、故紙混合発酵槽では30%も減少し減容量は圧倒的にオガクズ混合槽を凌駕した。(5).臭気官能試験で故紙混合汚泥は非混合脱水汚泥に比較し3倍以上低臭気であることが示された。(6).故紙混入法縦型汚泥発酵槽は発酵温度、槽内積算温度、減容率においてオガクズ混合発酵法より優れ、故紙混合縦型発酵槽の工業化の可能性を示すことが出来た。
431【1999年報告】
座標軸分析によるコンセプトメイキング研究
県産業の担い手自身が使いこなし、自社の特性や資源を生かした独自商品の企画立案が可能な、分かりやすい手法づくりをめざして、9年度に「商品コンセプ開発マニュアル'97」を作成・発表した。今年度は、この「商品コンセプト開発マニュアル'97」の内容の充実とさらなる高度化を図ることを目的に研究を行い、「商品コンセプト開発マニュアル'98」を作成した。
432【1999年報告】
新潟県域音声地理情報システムの実用化研究
新潟県域の音声における地図情報システム確立を目的に、音声案内携帯端末と地理情報入力ソフトウェアを開発しその評価を行った。ここで、携帯端末の位置測位方式にはFM−DGPSを使用し誤差10m以内の測位精度を確認した。また、音声情報の入力にはディジタル地図上で音声データ層を作成可能なソフトウェアを開発・使用した。本報告では、特に本システムの特徴であるFM−DGPS携帯端末と音声情報入力方法について述べる。また、学会論文とは異なり実用面での技術提供を目的とする事から、開発時及び今後の問題点や注意点についても記載する。
433【1999年報告】
5.5kWCO2レーザーを用いた溶接技術の研究
 系統的な技術蓄積が遅れている「高出力炭酸ガスレーザーによる純チタン・アルミニウム合金の溶接接合」について、溶接対象別の最適加工条件ならびにガス種・ガス流量・ワーク形状等の加工条件が及ぼす溶接状態への影響等を系統的に明らかにした。
434【1999年報告】
まいご老人保護システムの開発(第5報)
痴呆性徘徊老人の位置を探索する「まいご老人保護システム」の開発において、家庭に設置し老人の位置を地図上に表示する固定局と、携帯型の保護移動局の開発を行ってきた。ここでは、固定局と保護移動局の操作性向上のための改良と、老人までの距離と方向だけを表示する簡易保護移動局について報告する。
435【1999年報告】
日本海側気候に対応した住環境維持管理システムの研究(第1報)
住宅関連製造業の加工技術の高度化、製品分野の拡大と同製造業の融合化によるシステム産業群の形成を目的として日本海側気候に対応した住環境維持管理システムの開発を行う。本年度は、このシステムを実際の住宅で評価するための実験用住宅を建築したのでその概要を報告するとともに施工した壁体の性能特性について実験により検討した。その結果、高断熱仕様(外断熱)壁体は良好な結果が得られたが、従来仕様(内断熱)壁体内の一部の相対湿度が夏季に90%以上となること、それが構造用合板の温度上昇による水分放出が原因であることなどがわかった。
436【1999年報告】
商品の企画提案力を増大するための「モノ作り」に関する研究
「もう1加工加えてみませんか」をキーワードに、県内産地で生産されている先染め織物やニット編地に様々な後加工をを加え、製品の高付加価値化につながるような試作試験を行い、企業に提案した。
437【1999年報告】
雪国における北窓昼光の出現色温度調査に基づく比色作業の照明環境の構築
手作業やコンピュータグラフィックスを用いた配色デザインの色と工程を通して得られる製品への再現色との知覚レベルでの見えの一致は様々な物理的、心理的要因が複雑に関わり大変難しい問題である。とりわけ、これら色作業現場における環境光の心理物理的様相は色の見えの一致に大きな影響を及ぼす。本報告は雪国における自然環境光の実態調査を基に製品の色彩管理に最適な照明環境光を求めた。その結果、色作業に取り入れられている自然光(北窓昼光)の色温度は概ね6000Kから7000K(雲天時に相当)に多く出現すること、5500K以下の色温度の出現は皆無であることを明らかにした。その上で、自然昼光の特性に近い人工明光を調査するとともに、コンピュータグラフィックスを用いる場合、周囲環境光およびモニター白色点の設定を同一色温度にすることが色彩管理にとって重要な要因であることを明らかにした。
438【1999年報告】
チタンのプレス成形技術に関する研究
純チタン1種及び2種の深絞り加工を行い、成形限界と成形品の性状を検討した。また、材料の温度依存性を利用した温間絞り加工についても検討した。その結果、硬質で絞り加工に使用されていない純チタン2種でも、絞り加工に適用できることを確認した。
439【1999年報告】
自動絣合わせ織機に関する研究
 有杼織機をベースとする絣織りの自動化技術を確立するため、次の要素技術について研究を行ったので報告する。
(1)マーク(耳ずみ)の材料の選定および検出方法
(2)絣合わせの方法および機構
(3)自動絣合わせの製織制御技術
440【1999年報告】
レーザを利用した表面改質及び微細加工工程の省エネルギー化研究
PTFE(Poly(tetrafluoroethylene))表面の親水性、接着性を向上させるために純水、ホウ酸水溶液を処理剤としてArFエキシマレーザにより表面改質を行い、接触角測定、めっき密着性等により評価を行った。
441【1999年報告】
パルス通電焼結による複雑形状精密ダイヤモンドホイールの制作に関する研究
パレス通電焼結法によるダイヤモンドホイールの制作は、金属容器に封じ込んで熱間で加圧する従来法よりも、大幅に短時間で製造が可能となり、コストの大幅な低減となる。また、機械的性能、切削性能も従来並みで、また放電加工及びレーザによる加工の指針も示した。
442【1999年報告】
チタン薄板の溶接高度化研究
3kWCO2レーザを用いてチタン薄板(0.5〜0.8mm)の溶接試験を行った。レーザ出力と加工速度を変化させ、良好な溶接が行える条件を検討した。
443【1999年報告】
油圧製品組立工程の合理化に関する研究
県内の油圧製品企業をモデルに作業改善を行った。今回、油圧ポンプ組立工程を中心に現状を分析、改善を行い、生産性の向上、改善手法の普及等の成果を上げることができた。将来的に工業全体の利益を上げるためには、機械加工工程などの他部門への水平展開が必要となる。
444【1999年報告】
地場産業技術を利用した医療用高機能インプラントの開発
医療費の削減と医療技術やQOL(Quality of Life:生活の質)の向上は、国民医療費が30兆円を超えると予想される中、相反する特性を有しているが、共に解決しなければならない問題である。そのためには早期に社会復帰することと医療コスト削減の観点から高機能人工インプラントの開発必要不可欠である。この様なインプラントは医療用であっても当然のことながら工業製品の一つであり、極めて付加価値の高いチタン製品である。地場産業が有する技術資源を利用して整形外科用高機能インプラント、即ち、数種類の股関節用免荷デバイスと脊椎不安定性評価のためな術中モニターコンポーネントを開発し、その高機能性を生体力学的に確認したので報告する。
445【1999年報告】
3次元レーザー加工機の高精度、短時間加工
 現在一般的に行われている3次元レーザー切断加工は、準備工程として、プレス成形した切断物に切断ラインを設計図を見ながら人手によりケガキ、その製品を3次元レーザー加工テーブルにセットした後、ティーチングボックスによりケガキ線に沿ってレーザー加工ノズルを人手によりトレースさせて加工軌跡を加工機に学習させている。人手による準備工程が多く時間がかかり加工寸法精度を不十分である。
 金型設計時のCADデータを基に加工機の動作シミュレーションを行い、NCプログラムを作成するシステムを構築し高精度化と準備工程の短縮化を図った。
446【1999年報告】
超塑性成形によるチタン・チタン合金成形技術の高度化
大気中において、チタン合金同志を超塑性成形と同時に拡散接合し、一体化する成形法(超塑性成形/超塑性拡散接合)を試みた。使用したチタン合金はβrichα+β型チタン合金。加工温度(650℃〜800℃)、加工開始までの時間(10sec〜180sec)を変化させて成形試験を行い、接合強度と金属組織などを調べた。その結果、大気中での超塑性成形/超塑性拡散接合は可能であり、非常に良好な接合面を得られることがわかった。製品への応用も行い、打ち抜き材の積み重ねからなるプリフォーム(成形前の素材)の利用を可能にした。この成形技術により、打ち抜き加工と超塑性成形の組み合わせが実現し、成形加工全体にわたる大幅な工程短縮が可能である。
447【1999年報告】
高精度エンプラ歯車の動特性の研究
近年のエンジニアリングプラスチック歯車(エンプラ歯車)の高精度化に対応するため、平成10〜11年度にかけて以下2項目の研究と開発を行っている。一点目は高精度エンプラ歯車を安定的に製造する技術の研究、二点目は歯車の回転伝達誤差測定装置の開発である。ここでは平成10年度末におけるこれらの進捗状況を報告する。高精度エンプラ歯車の安定製造技術の研究に関しては、成形歯車と射出成形金型の精度評価を行った。その結果、歯車測定機を用いた測定により歯車の精度はJIS4〜5級程度であることを把握した。また三次元測定機を用いて金型の位置決めピンと歯車軸穴の位置誤差を測定した。歯車の回転伝達誤差測定装置の開発では、エンプラ歯車に適した測定方式を検討し装置を開発した。
448【1999年報告】
放電プラズマ焼結に関する研究
放電プラズマ焼結機を用いて、異種材料の接合について検討を行った。また、接合に対して必要となる要素的な研究として、純チタンの焼結及び粒径の異なるタングステン合金の焼結を行った。
449【1999年報告】
高信頼性水晶振動子に関する研究
水晶振動子の信頼性を阻害する様々な要因のうち,特にその影響が深刻であるコンタミネーションをとりあげ,水晶表面におけるこれらの除去に関する検討および、コンタミネーションと振動特性の関係について検討を行ったので報告する。
1 緒 言
 通信、電子機器等の中でも、ISDNデジタル公衆網、移動体通信、衛星通信およびコンピュータ関連機器の進展はめざましく、より高周波数帯への移行や周波数の有効利用のための周波数制御・選択用デバイスなど以下に示す要求が今後重要となってくる(1)。
(1) 高周波数への適合と高安定化の必要性
(2) 高速データ通信に伴う周波数安定度の向上
(3) 高速化、大容量化による正確な出力波形と信頼性の高いクロック波形
(4) 携帯情報端末の発展に伴うデバイスの小型化、低消費電力化、表面実装化
 水晶振動子に対してもこれらの要求が求められてきている。そこで本研究では、水晶振動子の高信頼性化を図るために、特にその影響が深刻であると考えられるコンタミネーションの問題を取り上げ、現状の客観的把握と水晶表面におけるこれらコンタミネーションの除去に関する検討および、コンタミネーションの付着と水晶振動特性の関係について検討を行い、水晶振動子の高信頼性化への指針を得ることを目指した。
450【1999年報告】
高精度自動X線材料評価システムの研究開発(第1報)
X線ゴニオメータ,X線計数制御装置,WINDOWSに対応したソフトウェアおよびパーソナルコンピュータで構成される新しいX線材料評価システムを開発した。このシステムは,市販の装置では行うことのできない一回の測定で応力値などの95%信頼区間を求めることができるなどの特徴をもっている。また,測定結果や計算結果をグラフや表にする機能をもつため,これまでデータ処理に要していた時間が大幅に短縮され,迅速なデータ処理が可能になった。
451【1999年報告】
まいご老人保護システムの開発(第4報)
痴呆症を持った徘徊老人の位置を探索するシステムである「まいご老人保護システム」のうち、老人に装着する移動局の小型化、省電力化を行った。その結果、体積141cc、重量150g、稼働時間20.5時間となり、ほぼ実用に耐えうる装置となった。また、実際に老人に装着することを想定した実験を行い、装着に際しての留意点を見出した。一方、GPS測位精度を向上させるディファレンシャルGPSの機能を固定局へ組み込んだため、その結果についても報告する。最後に、本システム製品化に際しての課題を示す。
452【1999年報告】
病原性大腸菌O-157:H7及び環境ホルモンの対策に資する高付加価値複合高機能紙の開発
食器、まな板及びキッチン周りの洗浄具としてのデスポーザル型の紙タワシを開発した。さらに、紙に脱化学物質や抗菌性を持たした高機能性の紙の開発研究を行い、実際の試料に試み良好な結果を得る事ができた。また本研究においてホッキ貝の焼成粉末が病原菌、ことに大腸菌0-157の殺菌効果が極めて高いことを発見し、その応用性について検討を加え、有用性、実用性についても報告する。
453【1999年報告】
レーザを利用した表面改質及び微細加工工程の省エネルギー化研究
アルミニウムの耐摩耗性の向上を目的として,レーザ照射により溶融した表面に硬質相を分散させ,局部的に改質する方法を検討した.添加材料には炭化物系硬質粒子のSiC,TiC,WC,また,金属系ではCu粉末を用いた.これらを単独または混合して添加した改質部について,断面観察,EPMA分析,硬さ試験,摩耗試験等を実施した.その結果,硬質粒子ではアルミニウム融液との反応の観点からTiCが適しており,その供給方法は,改質部内の粒子の体積率,分散性において送給ガスにより溶融池に直接投入する方法が優れていた.Cu添加材,TiC-Cu複合添加材の耐摩耗性は,鋳鉄と同等以上の優れた値を示した.
454【1999年報告】
糸状素材のマイクロハンドリング機構の研究(第2報)
 形状が変化し微小で柔軟性のある糸状素材を1本1本確実に掴み、小さな孔を通し、所定の位置に運び置くためのマイクロハンドリング機構の研究を行い、織物生産の準備工程として人手に頼っている柄組み、引通し工程の自動機械を開発する。第1報では、開発する柄組み引通し機械の概念、仕様等を述べ、いくつかの要素技術について進捗状況を報告した。本報では、糸把持機構及びドロッパ分離位置決め機構を中心に要素技術の研究成果を述べ、それらを組み合わせた引通し試験結果について報告する。
455【1999年報告】
高次伸縮糸の開発とニット製品への応用
 昨年開発した多層構造伸縮糸の実生産化を推進するため、各製造工程における加工技術を確立し、製品試作を行った。また、新たな素材として、ソフトモール調糸、ドライ感のある素材について開発を行い、伸長弾性率、表面粗さなどの各素材の物性測定を行い、特徴の把握を行った。
456【1999年報告】
民族紋様構成要素の解析研究(第2報)
平成9年度に、新紋様創作の発想ソースを世界の民族紋様に求め、その紋様犠牲の分析結果から、民族紋様が持っているフォルムの背後に潜んでいる魅力あるコアパターンの抽出と、パターン展開手法の開発により、民族(伝統)紋様の雰囲気を保持した創作パターンが作成できた。
 この展開パターンに色彩、素材感、形状等のデザイン付加価値要素を付加して紋様の精度向上を図り、その製品化シミュレーションのイメージ測定・評価と開発パターンの製品化研究を行った。
457【1999年報告】
きのこ菌による資源活用型土壌浄化システム
菌床キットを用いると、汚泥中できのこ菌を生存させることが可能で、それによって汚泥中の重金属を吸収させることを見出した。本研究では、その生物活動を組み込んだ汚泥浄化装置の開発し、高濃度の重金属、特にヒ素をきのこ菌に吸収させることを可能にした。さらに、この菌床キットを酸で処理することによって、きのこ菌からヒ素を回収した。
458【1999年報告】
木材切削用刃物の研究
NCルータで木材を切削しようとする場合、一般に軟らかい木材の方が、削り面にケバ立ちやむしれ等が発生しやすく、加工が難しいといわれている。中でも桐は国産樹種では最も軽軟で、輸入材も含めて特に県央地区で多く使われていることから、ルータ加工に適した桐材用刃物と切削条件を検討することとした。そこで、アルミ切削用エンドミルの刃先形状や刃物の角度を改造した3種類の刃物を試作し、これに市販のルータビット2種類を加え、NCルータにより、桐材を被削材に切削試験を実施した。
 この結果、試作刃物の表面粗さ及び官能評価における優位性が確認できた。
459【1999年報告】
衣料用乾燥技術の高度化
昨今、業務用クリーニング機械業界の売り上げが落ち込む中で、石油系ドライクリーニングにおける危険性や環境問題が表面化している。そのため、従来のクリーニング技術の抜本的な改革が求められており、その一つとして水洗い洗浄技術が見直されている。
 その水洗い洗浄技術を利用した一連のクリーニング工程(ウエット洗浄システム)のうち、乾燥・仕上げ工程の処理時間が問題になっている。
 この問題の解決のため、新しい方式の乾燥技術(負圧低温乾燥)を解決するとともに、この乾燥技術を採用した新型の衣類乾燥機を開発したので報告する。
460【1998年報告】
スノーボード用金具の解放装置導入に関する研究
 スノーボードが自走して起こる事故を未然に防ぐため、スノーボード用のストッパーを試作しこれらがスノーボードの単独滑走を防止するのに有効であることがわかった。
461【1998年報告】
家具・建具用材の性能試験
和・洋家具の化粧材や構造材等の各種部材、また、建具の各部材として用いられる用材、特に、従来用いられてきた材料に代わる代替え材(輸入材)について、その基本性能を把握するために、JISの規格に基づき性能試験を実施した。
 近年、話題になっている木材の遊離ホルムアルデヒドについて、その存在の有無を確認するために、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則の試験方法により試験を行った。
462【1998年報告】
中小企業におけるマルチメディア導入技術開発
 中小企業製造業において、マルチメディア技術を利用し、生産システムの効率化を図るために、簡易なネットワーク(SOHO)を構築し、その活用事例を開発した。
 三次元測定器で測定した型モデルのデータを中間ファイル(DXF形式)に出力し、電子メールにより金型製造業に送信。受け取った側では、そのデータをCADに取り込む、NCデータを作成し加工を行った。
463【1998年報告】
レーザを利用した表面改質及び微細加工工程の省エネルギー化研究
 PTFE(Poly(tetrafluoroethylene))表面の親水性、接着性を向上させるため、ヒドラジン、メタクリル酸を処理剤としてArFエキシマレーザにより表面改質を行い、接触角測定、ESCAによる表面分析、メッキ密着性等により評価を行った。
464【1998年報告】
産業廃棄材料及び熱の有効利用に関する研究開発
 溶融プラスチック二十反転型のスクリューによる溶融押出方式(処理量約10s/hr)の脱塩素化実験プラントを製作し、種々の条件下における脱塩化水素処理について検討を行った。この装置では溶融プラスチックの一部は、溶融スクリューの先端部分(ホッパー投入口下)に戻され装置内を循環している。このときの溶融樹脂環流量は、排出樹脂量に対して約0.5から0.8であった。また装置内の平均樹脂滞留時間は約22〜26秒であった。原料樹脂中の塩化ビニル樹脂の含有率(5〜20wt%)は脱塩素化に大きな影響を与えず脱塩素化率はほぼ96%であった。塩化ビニル樹脂以外のマトリックス樹脂組成ではポリエチレン樹脂の単一組成の時よりも、ポリエチレンを混入したときの方が脱塩素化率が高かった。また最も遅いスクリュー回転数の60rpmに時に最も脱塩素化率が高かった。分解温度の影響は、加熱用熱媒体温度で330℃と340℃で調べた。その結果、10℃の温度差で残留塩素含有量で約0.2%の差があった。
465【1998年報告】
三次元超高速加工技術の研究
 本研究はN−MACH加工技術の更なる高速化と3次元複雑状加工を可能にするため、平成8,9年度戦略特別研究として行ってきたものである。研究は大きく分けて2つの開発要素から成る。第1部では三次元超高速加工技術を実現するための空間6自由度の機構であるパラレルメカニズムの開発について、その運動機構、制御等について述べ、完成した三次元超高速加工機の動特性を含めた切削加工特性、課題について検討する。第2部では従来の3軸加工によるN−MACH加工能率の更なる向上のために最適な工具経路や切削条件を検討した。切り込み深さの割合を変化させた時の切削エネルギーと寿命の関係やスピンドル消費電力による切削状況のモニター等について報告する。
466【1998年報告】
画像処理による検査工程の省力化に関する研究
 モータの回転軸に使用される細い軸の検査工程の自動化を図るため、画像処理によるキズ、メッキ不良等の欠陥検出を試みた。照明に反射光を用いることにより、表面状態の鮮明な画像を得ることができ、エッジ処理することにより欠陥不良品の判別が可能となった。
467【1998年報告】
建材用圧縮木材の製造技術に関する研究
 圧縮木材を用いて床材をはじめとする住宅関連製品の開発を目的に、量産体制に対応した圧縮木材の構造技術について検討した。4つの製造方法で圧縮木材を試作し試験した結果、性能的には従来の床材と引けを取らないものの、ローコストで生産することは困難であった。
468【1998年報告】
天然繊維(綿、毛)の化学加工による高風合化に関する研究
 綿繊維へのキトサンの付与方法は、アクリル酸の綿への重合反応率が非常に低いために、綿をアクリル酸とキトサンの混合溶液に浸漬して処理をする“パッド&キュアー法”が適切であった。また付与されたキトサンに耐久性は、アクリル酸とキトサンの使用量がモル比においてほぼ1:1,及びキューアおんどが100℃以上の場合に、良好であった。
469【1998年報告】
エコマテリアルとしての新潟県産海洋性多糖の機能化
 本研究は、「キチン1合成ポリマー新規複合体の作製」及び「新潟県産紅藻類多糖の分子構造とゲル化挙動」の二部よりなる。始めに,溶液凝固/塊状重合法により得られた,キチンと医療用高分子として知られるポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)の複合体は,DSCの熱分析及び固体CNMR測定より両成分が相溶していること,また動的粘弾性測定によりキチンのゲル構造と架橋PHEMAの網目が絡み合った相互侵入網目が形成されていることが示唆された。次に,エゴノリ及びアミクサより抽出された多糖は,共に寒天の主成分であるアガロースを基本骨格とするが,前者には硫酸基があるがメトキシル基ではなく,後者はその逆であること,重量平均分子量は前者の方が高いことが明らかとなった。
470【1998年報告】
熱交換建材を用いる省エネルギー・克雪住宅の開発
 高断熱・高気密の住宅に残された、換気、結露、屋根雪処理の問題を、省エネルギーの観点から解決する、新しい住宅を、発明者の蝸Y一と大学との共同で開発する。特色は、住宅の屋根や床や壁の建材として、暖房廃熱や太陽熱等を含む空気を流す熱交換パネルを用いることにある。この研究の目的は、実験用小住宅を建築して、パネルの性能から予測される効果が、実験の建物で成立するか否かを知ることであり、この報告では、主に建築された実験用住宅の内容が述べられている。
471【1998年報告】
5.5kWCO2レーザーを用いた溶接技術の研究
 近年、材料加工分野へのレーザー導入が進んでいる。レーザー加工は高品位・高エネルギービームであるため、高速度・高精度で熱変形が少ないのが特長である。また、非接触加工であるため自動化が容易である。現在、レーザー加工は切断分野と比較すると溶接分野への普及が遅れているが、装置の大出力化が進み欧州や自動車業界などで導入が活発化している。本研究では、レーザー溶接の系統的な技術蓄積のために、5.5kWCO2レーザーを用いて最適加工条件に関する研究を行った。
472【1998年報告】
座標軸分析によるコンセプトメイキング研究(第1報)
 県産業の担い手自身が使いこなし、自社の特性や資源を生かした独自商品の企画立案が可能な、分かりやすい手法づくりをめざし、座標軸分析によるコンセプトメイキングの手法(商品コンセプト開発マニュアル’97版)を作成した。
473【1998年報告】
共有結合によって酸素を結合した磁器加工への応用
 高い酸素活性を失うことなしに、回収が容易で再利用可能な磁性微粒子固定化酸素を作成出来た。この中でセルラーゼ固定した磁性微粒子固定化酸素を用いて、精製セルロース(テンセル)の繊維加工処理を行い、柔軟で滑らかな精製セルロース織物を得ることが出来た。この新しい繊維加工法について報告する。
474【1998年報告】
超高速切削加工による加工技術の高度化
 空気静圧主軸を搭載したNCフライス盤により、ボールエンドミルを用いて純チタン材の基礎的な側面切削実験を行い、主軸回転数、送り速度を変えて切削面の表面粗さを測定した。その結果、実験を行ったほとんどの領域で目標としていた表面粗さ5μmRy以下の良好な切削面を得られた。
475【1998年報告】
レーザを利用した表面改質及び微細加工工程の省エネルギー化研究
 水晶振動子の周波数調整にKrFエキシマレーザの適用を試みた。振動子の銀電極にエキシマレーザを照射すると,銀電極は溶融,蒸発の過程を経て,熱加工により除去される。このため,銀電極を薄く削る加工では,周波数変化量のばらつきは大きかった。一方,水晶の表裏の銀電極を一定面積,完全に除去する加工では,周波数調整が可能である事がわかった。
476【1998年報告】
糸状素材のマイクロハンドリング機構の研究(第1報)
 形状が変化し微小で柔軟性のある糸状素材を1本1本確実に掴み、小さな孔を通し、所定の位置に運び置くためのマイクロハンドリング機構の研究を行い、織物生産の準備工程として人手に頼っている柄組み、引通し工程の自動機械を開発する。本報では、開発する柄組み引通し機械の概念、仕様等を述べ、いくつかの要素技術について進捗状況を報告する。
477【1998年報告】
金属製品の破損原因の解析に関する研究
 日常の指導業務の中から金属製品の破損事例を取り上げ、破損原因の解析をおこなった。その結果、破損原因は、製品の取り扱いと製造工程に起因することが分かった。また、電子顕微鏡と金属顕微鏡を組み合わせて使えば、破損原因を調べる上で、大きな手がかりになることを示した。
478【1998年報告】
陽極酸化による触媒生成条件の把握
 現在、環境負荷の少ない、叉は環境負荷を減らすといった効果のある製品づくりの素材として手段として、光触媒が注目されている。本研究では光触媒としてAnatase型TiO2に着目し、陽極酸化条件と酸化被膜の生成効率について検討を行った。
 その結果、光触媒生成条件としては陽極酸化処理電流値の処理時間積分値と生成したTiO2のX線回折強度の間に相関が見られた。またTiからTiO2生成の過程をX線回折で追跡した結果、基材の組成がTiO2の生成に影響し、生成するTiO2層の表面状態、および生成速度などに影響するということが示唆される結果が得られた。
479【1998年報告】
民族紋様構成要素の解析研究(第1報)
デザインの付加価値要素である紋様の構成要素を、現在でも愛着されている民族紋様に求め、その紋様特性と考えられる構成要素を抽出し、これを単位図形としてパターン展開することにより、民族紋様が持つイメージを残した新紋様創作のための適正手法の開発を行った。
480【1998年報告】
高次伸縮糸の開発とニット製品への応用
 芯繊維、鞘繊維、巻き付き繊維の三層構造を持ち伸縮機能を保有した新規複合糸を開発した。この多層構造伸縮糸と従来の多層構造糸とを比較したところ、伸縮性が5倍以上向上し、その風合いも従来のものとは異なり新規制のある物となった。
481【1998年報告】
まいご老人保護システムの開発(第3報)
 痴呆症を持った徘徊老人の位置を探索するシステムである「まいご老人保護システム」のうち、老人の身の付ける、GPS(Global-Positioning-System)とPHS(Personal-Handyphone-System)を組み合わせた「まいご老人移動局」および、介護者が老人の探索に使用する「保護移動局」の測位精度を向上させるために、D−GPS(Differential-GPS)技術に着目し、その評価・考察を行ったので、報告する。
482【1998年報告】
レーザを利用した表面改質及び微細加工工程の省エネルギー化研究
 レーザを照射することにより溶融したアルミニウム表面に硬質粒子を分散させ,耐摩耗性の向上を図った。添加材料には,セラミックス等の硬質粒子としてWC-Co,TiC,また金属系ではCu,Tiを用いた。供給方法には,添加粒子の大きさ,密度に依存した適性があり,また板材として供給した場合に高い添加効率が得られた。硬質粒子を用いた場合は粒子の改質層内への分散により,一方金属添加では金属間化合物が生成することにより硬質の改質層が得られた。改質層の耐摩耗性は時効処理後の高力アルミニウムに比して優れた値を示した。
483【1998年報告】
高精度工作機械の研究
 油静圧案内、両持ち静圧砥石軸受構造の高精度NC円筒研削盤を開発した。主要機械部品の加工精度を測定後、それらを組み合わせた機械要素(案内、砥石軸受等)の運動精度を測定評価した。そして各機械要素を組立調整後、NC装置を取り付け検索加工試験を行った。その結果、工作物移動案内の真直運動精度は0.1〜0.2μm/250mm、円筒状部品を研削した場合の真直加工精度は0.18μm/190mmであり、世界トップレベルの機械運動精度及び加工精度であることを確認した。
484【1997年報告】
経糸綜絖通し工程の自動化に関する研究
 織布準備工程の中で経糸綜絖通し作業は多くの手作業と工数を要する。これは、織機の綜絖(ヘルド)の目(メール)に経糸を織物設計の順番通りに一本ずつ通していくものである。現在は手作業又は高価な装置で行っているが、県内中小企業で使用されているワイヤーヘルドについては、今だに自働機械がない。近年,QR対策として外注の内製化、労働生産性の小さい部門の自動化が課題となってきており、その一つが経糸綜絖通しとされている。そこで、本研究では県内中小企業で使用されているワイヤーヘルド用の経糸綜絖通しの自動機の開発を行った。
485【1997年報告】
繊維紋様デザインの「高度化・高付加価値化」
 繊維製品企画設計支援事業で、地域研究会に培った製品企画に関するベース技術の発展を図るため、伝統(古典)紋様のCGによるデータベース化と系統分析を行い、地域研究会の中でデザイン技術の指導を行い、研究会の発展を支援した。
486【1997年報告】
産業廃棄材料及び熱の有効利用に関する研究開発
 各種プラスチックの熱分解特性をTG/DTA(熱重量/示差熱分析)と熱分解ガスクロマトグラフ法による測定を行った結果、熱分解温度が280〜300℃であれば脱塩化水素反応は速やかに行われ、サーマルリサイクルに有効な成分の損失の少ないことが確認された。また、PVC(ポリ塩化ビニル)においてその種類(軟質、硬質、試薬)の違いにより塩化水素の生成パターンの異なることが確認された。以上の結果を基に脱塩化水素実験装置の設計、製作を行った。
487【1997年報告】
高精度工作機械の研究
 高精度円筒研削盤(開発中)のNC制御を行うことを目的に、オープン志向のモーションコントロールボードを利用したNC装置(オープンNC装置)を開発した。従来のNCにない機能として、外部センサ信号に基ずく補正値を実時間で機械の運動制御軸に重畳することが可能である。開発機の寸法を約1/5にしたモデル機に接続した場合の補正機能に関する性能試験の結果について報告する。
488【1997年報告】
レーザー利用によるハードディスク表面検査の高速化に関する研究(第2報)
 金属鏡面上の欠陥検査において、凹欠陥と凸欠陥を従来に比べ安定に判別する方法を提案する。レーザビームを斜めから入射し、凸欠陥検出器を入射側に設け、凸欠陥による後方散乱光だけを選択して検出する方法である。実際のハードディスク表面検査装置を使い試験を行った結果、垂直入射で広角散乱光を検出する従来の方法に比べ、凹凸判別をより安定に行えることが確認できた。
489【1997年報告】
複合材の自動検査システム開発に関する研究
 スノーボード製造企業の生産現場において、JIS S7019−1987に準拠した試験を簡便に実施できる試験機を開発した。
 この試験機はサーボモータ、位置制御ユニット、直動ガイド、ロードセル、A/D変換器、押し下げポンチ、位置検出センサ、ターミナルディスプレイ、シーケンサ等でシステムを構成し、指定したプレ荷重負荷から最大荷重負荷までのスノーボードの押し下げたわみ量を、算出表示する機能を持つ。
490【1997年報告】
放電プラズマ焼結に関する研究
 放電プラズマ焼結法によりタングステン基合金の焼結を試み、焼結条件と焼結品の密度の関係を調べた。また、焼結品の形状および焼結に要する時間を普通焼結品と比較した。
491【1997年報告】
三次元超高速加工技術の研究
 空気静圧主軸を搭載した高速加工機により、焼入れ鋼の高速加工の基礎的な研究を行った結果、小径工具を用いて長時間にわたり安定した高能率加工が可能であることが明かにされた。この超高速加工技術をさらに複雑な三次元形状部品へ適用することを目的にパラレルメカニズムを用いた超高速加工機の開発に着手した。また、従来の直交三軸型の高速加工機を用いてクランクシャフト鍛造用金型の加工を行った結果、大幅な時間短縮と加工コスト低減が実現されることを示した。
492【1997年報告】
まいご老人保護システムの開発(第2報)
 痴呆症をもち、徘徊している老人(まいご老人)の位置を家庭のパソコンの地図上に表示する「まいご老人保護システム」の開発を行った。ここでは、まいご老人が携帯する小型の移動局を呼び出しその位置を表示する固定局について報告する。
493【1997年報告】
木質系新素材による次世代住宅用高機能性開口製品の研究(第2報)
 断熱性に優れ結露が生じないなどの木材の優れた特性を生かしつつ、耐久性を著しく向上させるため特殊な圧縮処理を施した木質系素材を開発し、サッシ等の開口製品及び住宅関連製品への応用を図った。その結果、圧縮木材の利用価値は大きく、一部の製品については圧縮木材への全面転換も考えられている。
494【1997年報告】
レーザー利用によるハードディスク表面検査の高速化に関する研究(第3報)
 微細な不規則表面をもつ完全導体にレーザを入射させたとき観測されるインコヒレント散乱光の角度分布を解析した。不規則表面としてガウス・ランダム表面を取り上げ、入射波は平面波とした。表面は一様等方であるとし、そのスペクトル密度にガウス形を仮定した。解析は、入射表面の面粗さ及び相関長、入射波の偏光状態及び入射角を変えて行った。その結果、比較的強い散乱を示す方向は主に入射波の偏光状態と入射極角に依存すること、またその散乱強度は主に面粗さと粗面の相関距離に依存することが分かった。
495【1997年報告】
クロムめっきスラッジの有効利用に関する研究
 クロムめっき工場から排出される廃水処理スラッジの低減化と、クロムの再資源化を目標として実用研究を実施した。本年は廃水処理工程中のクロム系廃水を出発原料とするとともに、イオン交換処理を行って六価クロムの濃縮と不純物金属カチオンの除去を実施した。これにより、純度98.2%酸化クロムを得ることができた。
496【1997年報告】
セルロース及び高分子系産業廃棄物の高度活用技術
 現在、社会問題となっているセルロースおよび石油原料加工品の廃棄物の有効利用技術として廃棄物を有用な化合物に変換するための技術開発の事前研究として、文献情報の収集、および生分解処理にともなう条件設定、分解性評価などの技術に関するデータの蓄積を図った。
497【1997年報告】
レーザによる薄板の精密安定化溶接に関する研究
 レーザ溶接の実製品への応用の一環として、オーステナイト系スレンレスと黄銅から構成される気化器への適用を試みた。接合部から発生するリークの原因は、溶融した黄銅がステンレス粒界に浸入するいわゆる液体金属脆性による割れであった。この割れは、溶接速度を制御すること、また、フェライト系ステンレスを用いることにより制御されることがわかった。
498【1997年報告】
高出力YAGレーザによるアルミ等の溶接
 4kWの高出力YAGレーザを用いてアルミの溶接試験を行った。主に溶融深さと溶融幅について、レーザ出力、加工速度や焦点位置との関係について検討した。また、ビードオンプレートによる溶接実験で得た基礎データを基にレーザ出力4.0kW、加工速度50cm/分の条件で厚さ5mmのアルミニウム合金の突合せ溶接が可能で、応用化のための知見を得た。
499【1997年報告】
まいご老人保護システムの開発(第1報)
 痴呆症を持った徘徊老人の位置を探索するシステムである「まいご老人保護システム」のうち、老人の身に付ける、GPS(Global Positioning System全世界測位システム)とPHS(Personal Handyphone System簡易型携帯電話)を組み合わせた「まいご老人移動局」の製作およびその評価を行ったので報告する。
500【1997年報告】
金属製品の熱処理技術の高度化
 刃物用ステンレス鋼にいろいろな条件で焼入れ、焼戻しを行ったときの金属組織、硬さ、曲げ強さおよび耐食性を調べた。その結果、焼入れの冷却方法を油冷にすると空冷より耐食性は良いが、硬さおよび曲げ強さに差はみられなかった。