研 究 報 告 書

報告書名:

工業技術研究報告書
 

報告書番号:

No.42
 

報告書年度:

2013
 

研究種別:

その他
 

テーマ名:

セルロースを効率よく分解する触媒組成の探索(第2報)
 

副 題:

触媒反応効率の簡易な定量的評価
 

担当者:

下越技術支援センター 笠原 勝次、渡邉 亮
 

抄 録:

筆者らは昨年度,「セルロースを効率よく分解する触媒組成の探索1)」として,セルロースの迅速熱分解法にある種の金属塩を適用することにより,10 数種類におよぶ分解生成物がフルフラール(Furfural)単一の生成物になることを報告した。今回,筆者らは基質のセルロース材料に適用する触媒量と,反応温度を適宜調整することにより,Furfural への変換が完了せず,熱分解物との混合物になる条件を検討し,前回報告したZnCl2 に加えて,ZnSO4 およびFeCl3 を触媒として用いた時のセルロースからFurfural への変換効率を比較した。
 

緒 言:

セルロースを主体とする木質バイオマスの熱分解によって得られる「バイオオイル」は石油など化石資源に代わる代替資源として期待されており,燃料などエネルギー資源のみならず,化成品原料としての期待も大きい。「バイオオイル」を得る手段としては,「迅速熱分解法」(Fast Pyrolysis)が検討されている2)が,微量生成物を含む十数種類以上の複雑な生成物系と,それら生成物間の反応や物性の多様性により,品質が安定せず,このことが普及を滞らせる一因となっている。この点では,従来より一部普及している「バイオエタノール」や「バイオディーゼル燃料」のほうが優位性があるかもしれない。だが,このことは,逆にいえば,「バイオオイル」からは多様な化成品が得られる可能性を含んでいるということでもあり,生成物から有用な物質のみを分離して取り出したり,選択的な反応を行わせることで,目的物質を高純度に得ることができれば,従来,化石資源から複雑な工程を経て得られていた化成品を単純なプロセスで得られるようになるかもしれないということでもある。
木質バイオマスから得られる「バイオオイル」から,単一の物質を作り出す試みとしては,「迅速熱分解法」の分解条件をコントロールすることで行う方法もあるが,これは,プラントを新造するごとに,新たに条件探索を行う必要があり,非常に煩雑といえる。一方,「迅速熱分解法」に触媒,または反応助剤を加えて行うことで生成物の組成を制御する方法がある。こちらは,熱分解を促進する触媒,目的物質へ変換する触媒などを目的に合わせて適宜選択することで,目的の生成物を効率よく得られる可能性がある。
そこで,筆者らは,昨年度「セルロースを効率よく分解する触媒組成の探索」を行い,いくつかの金属塩がセルロースからFurfural を選択的に生成するという知見を得た1)が,基質セルロースに対する触媒添加量や反応温度などの反応条件の検討が不十分であるため,活性があるかどうかを確認するのみにとどまった。今回,筆者らは,「セルロースを効率よく分解する触媒組成の探索」にて活性があることを確認したZnCl2 について,反応条件を検討し,いくつかのその他の触媒の反応効率を定量的に評価することを試みた。また,簡易に実験室スケールの実験装置で試作実験を行い,反応効率の評価を行ったので報告する。
 

資 料:

8_H24報告書(論文5).pdf(約460.72 Kバイト)