研 究 報 告 書

報告書名:

工業技術研究報告書
 

報告書番号:

No.28
 

報告書年度:

1999
 

研究種別:

信越スーパーテクノゾーン推進研究
 

テーマ名:

レーザを利用した表面改質及び微細加工工程の省エネルギー化研究
 

副 題:

YAGレーザによるアルミニウムの表面改質 第2報
 

担当者:

平石 誠(研究開発センター)
吉田 正樹(研究開発センター)
吉野 武美(研究開発センター)
 

抄 録:

アルミニウムの耐摩耗性の向上を目的として,レーザ照射により溶融した表面に硬質相を分散させ,局部的に改質する方法を検討した.添加材料には炭化物系硬質粒子のSiC,TiC,WC,また,金属系ではCu粉末を用いた.これらを単独または混合して添加した改質部について,断面観察,EPMA分析,硬さ試験,摩耗試験等を実施した.その結果,硬質粒子ではアルミニウム融液との反応の観点からTiCが適しており,その供給方法は,改質部内の粒子の体積率,分散性において送給ガスにより溶融池に直接投入する方法が優れていた.Cu添加材,TiC-Cu複合添加材の耐摩耗性は,鋳鉄と同等以上の優れた値を示した.
 

緒 言:

AI合金は、軽量化、熱・電気の伝導率の向上、非磁性、耐低温脆化等の目的のため多くの機械部品に素材として用いられており、さらにこれらの特性とあいまって、塑性加工や鋳造性に優れている点も工業的に大きな魅力である2)。
 しかし、AIが比較的活性な金属であること、また、AI合金を構造材として用いるためには硬度の向上に限界があること等の理由から耐摩耗性は概して悪い1)。AI合金の耐摩耗性向上策として、陽極酸化処理、硬質クロムメッキ、PVDなどがあるが、いずれも膜圧は10μm程度と薄く膜自体の強度は小さいことから、高面圧がかかる摺動面などでは膜の破壊や剥離が生じる3)4)5)。
 そこで本研究では、AI合金表面の耐摩耗性が要求される部位にのみ、かつ、充分な厚さを持った耐摩耗層を形成することを目的とし、その方法として、高密度エネルギーを入熱できるレーザを用いて、金属元素あるいは硬質粒子を添加することにより硬質の合金層を形成することを試みた。
 昨年度は、添加材料に金属系ではCu、Tiのいずれも板材を用い、硬質粒子系ではWC-Co、TiCのいずれも粉末を用いて、粒子の供給方法の検討、得られた改質部の耐摩耗性の評価を行った6)。その結果、密度の大きく異なる上記硬質粒子では、それぞれに適切な供給方法があること、また、耐摩耗性においては、Cu、WC-Co、そしてTiCを添加した場合に、高力アルミより優れていることがわかった。
 本年度は、これらの結果、さらには実用化を踏まえて、添加材料は適用形状自由度の高い粉末での供給に統一し、また、供給には添加量の制御が容易な粉末供給装置を用いて、添加材種の適正、供給条件について検討した。そして耐摩耗性の一層の向上を目的として金属-硬質粒子の混合粉末を添加した改質部についても評価を行った。

 

資 料: