研 究 報 告 書

報告書名:

工業技術研究報告書
 

報告書番号:

No.39
 

報告書年度:

2010
 

研究種別:

政策型受託研究
 

テーマ名:

窒素含有ニッケルフリーステンレス綱の実用化研究
 

副 題:


 

担当者:

(研究開発センター)三浦 一真
 

抄 録:

SUS445J2,444相当のFe-22mass%Cr-1mass%Mo,Fe-21mass%Crを用い,窒素吸収処理プロセスに関する研究を行った。素材を窒素雰囲気・高温で処理することで,表面部から窒素が固溶してオーステナイト相に変態する。形成するオーステナイト相の厚さは処理温度,時間に依存し,フェライトスコープによるフェライト量からその厚さを推定することが可能である。80℃までの高温雰囲気で耐孔食性を評価する孔食電位や塩化第二鉄腐食試験を行い,低温域の結果と比較したところ,既存のステンレス鋼の耐食性が大きく落ちたのに対し,窒素吸収ステンレス鋼は腐食性の落ち込みはわずかで,既存材を大きく上回る耐食性を示した。
 

緒 言:

SUS304に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼(クロム(Cr)−ニッケル(Ni)系)は延性,強度,耐食性,耐熱性,低温靱性,などに優れ,溶接性も良好であることから家庭用品,建材,一般機械,産業機械,電気機器,医療用途,などに幅広く使用されている1)。
Niを含まないフェライト系ステンレス鋼の中で18mass%Cr(以下mass%を省略)以上の高Cr系と呼ばれる鋼種については,SUS304や316などの代替材料になり得る素材と考えられている1)。しかし,塩水噴霧試験で評価した耐食性についてはSUS304や316と同等レベルにあるといわれるものの,強度などの機械的特性はやや劣り,磁性を有するため,同じ特性を有する材料とは言い難い。
このような状況のもと,我々はFe-24Cr-2Mo(研究開発材,以下Fe)の素材に窒素を1%強吸収させてオーステナイト相へ変態させ,既存のオーステナイト系ステンレス鋼と同等以上の特性を有するNiを含まないNiフリーステンレス鋼の研究開発を行ってきた2)。
前年度では,誘導加熱と真空ガス置換による窒素吸収処理技術を開発し,24Cr-2Moの類似組成で市場に流通している素材であるSUS445J2相当鋼種の窒素吸収処理ステンレス鋼の開発に成功した3)。
本研究では,窒素吸収処理技術を用い,この市場流通鋼種を中心に,オーステナイト相の厚さと窒素吸収処理プロセス条件との関係を実験的に求めるとともに,腐食環境で使用することを念頭に室温よりも試験温度を上げて耐食性試験を行い,既存のステンレス鋼と比較した。さらに窒素吸収処理ステンレス鋼の機械的特性や加工性に関する試験を行い,実用化に向けた課題を抽出する。
 

資 料:

05H21窒素含有ニッケルフリーステンレス鋼.pdf(約637.96 Kバイト)