研 究 報 告 書

報告書名:

工業技術研究報告書
 

報告書番号:

No.33
 

報告書年度:

2004
 

研究種別:

実用研究
 

テーマ名:

階調制御技術および限定色絵柄表現技術の研究
 

副 題:


 

担当者:

阿部淑人(下越技術支援センター)
五十嵐宏(〃)
長谷川直樹(〃)
 

抄 録:

プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)をはじめとして有機EL(OLED)、電界放射ディスプレイ(FED)などフラットパネルディスプレイの研究開発が盛んに行われ市場拡大が期待されているが、多くのフラットパネルディスプレイがCRTと異なる点の一つに連続階調を表現するのが困難であることが上げられる。原理的にPDPやOLEDは発光時間により輝度を制御するために概ね64階調程度しか表示できず、そのままでは疑似輪郭などのある低品質な表示となってしまう。そのため通常はディザ法などの処理により疑似濃淡表示を行っている。従来より良く用いられる方法に組織的ディザ法と誤差拡散法が有るが、いずれを用いるにも尖鋭度の調整を伴うには前置のフィルタ回路などを別途必要とし回路規模の増大をまねいていた。本研究では限定色表示装置に疑似濃淡階調表現を行う際に、別途フィルタ回路を用いることなく同時に尖鋭度の調整を行うことができるような方法を検討した。疑似濃淡化処理にわずかな構造要素を追加するだけで尖鋭化または平滑化を同時に処理できることが確認された。
 

緒 言:

疑似濃淡化でもっとも基本的な組織的ディザはその単純さゆえの表示性能の低さから一般には利用される事が少ないが、印刷ではインク転移を改善するためドット形状制御の必要からクラスタードット(clustered-dot)型の組織的ディザが利用されている。標本化密度の増加があるため処理方式の差自体による画質の影響は少ない。ディザマトリクスの設計如何でいかなる形状のドットも発生できるためブルーノイズマスク、グリーンノイズマスクなどの検討が行われている。なお処理方式によらずクラスタードットを発生させる事は印字(印刷) 用疑似濃淡化に共通の話題である。
誤差拡散法(ED)および平均誤差最小法は、疑似濃淡化の主力方式として多用され、引き続き改良・検討が続けられている。類似の方法として、量子化画素列の加重平均を対象画素値に近似することにより尖鋭化と疑似濃淡化を同時に行う決定論的補間戦略(DIS)およびそれと等価の平均濃度近似(MDA)、クラス行列によって走査順序を制御するドット拡散法(DD)、ランダム空間充填曲線(RSFC) による変型走査1次元拡散法、平均濃度近似を一般化したドット決定法等も提案されている。より高度な方法としては遺伝的算法(GAs)や模擬焼鈍(SA)などメタ戦略の最適化手法によるものがあるが、平均濃度と輪郭形状の再現性を高めるだけであれば誤差拡散法の改良手法などでおおむね同等の目的が達せられるため、より多くの演算資源を必要とする最適疑似濃淡化はそれほど利用価値を認められていない。しかしながら今後より強力な演算性能が手に入った場合には、表示デバイスの各種物理条件を制約にした最適化により、著しい性能向上をもたらすことも期
待できるため引き続き検討を行なう必要があると考える。
一方、実用面において、疑似濃淡化と同時に尖鋭化や平滑化を行ないたいという要求があるものの、従来は別途前置フィルタによるしか術が無く、処理負荷の点で無駄が多かった。そこで本研究では誤差拡散法を、わずかな付加要素で疑似濃淡化と同時に尖鋭化または平滑化を行なえるように拡張した。以下、次章で誤差拡散法を拡張し、第3章では信号伝達関数(STF)と雑音伝達関数(NTF)を手がかりに疑似表示能力と画質制御機能の解析を行なうなど各種表示性能について解析を行なう。
 

資 料:

実用1−階調制御.pdf(約551.57 Kバイト)