研 究 報 告 書

報告書名:

工業技術研究報告書
 

報告書番号:

No.32
 

報告書年度:

2003
 

研究種別:

実用研究
 

テーマ名:

環境と作業性に優れた接合法の研究
 

副 題:


 

担当者:

田宮 宏一(下越技術支援センター)
斎藤 雄治(〃)
箕田 博(東日本旅客鉄道株式会社新津車輌製作所) 
 

抄 録:

有機溶剤系接着剤と水溶性接着剤の接着強度の比較を行い、鉄道車輌の製造工程に水溶性接着剤を使用することが可能かどうかの検証を行った。その結果、Al材を水溶性接着剤で接着した場合は、有機溶剤系接着剤で接着した場合よりも高い接着強度が得られることが明らかになった。また、SS材でも処理条件を変えることにより、必要な接着強度が得られる可能性がある。今後は作業性と耐久性を考慮しながら実用化試験を実施し、水溶性接着剤の鉄道車輌への適用を促進する。
 

緒 言:

産業界では地球環境問題、資源の有効利用などが重要な課題とされているが、鉄道車輌メーカにおいては有機溶剤による環境汚染が問題となっており、その見直しが盛んに行われている。JRにおいても現在多くの有機溶剤系接着剤が使われているが、地球環境に配慮した車輌づくりをするためにも、水溶性接着剤への置き換えが求められている。しかし、水溶性接着剤は有機溶剤系接着剤に比べて作業環境は改善されるが、接着強度や耐久性などに関しての信頼性に乏しいという問題がある。
車輌製造段階においては、屋根のロンテックスや天井部の断熱材、床部の敷物、窓廻りなどの内装材、断熱・防音材や構体骨組と室内化粧板との間のパッキン材、内装の化粧板など多くの接合箇所に接着剤が使われている。
鉄道車輌では構造物が大きいのでスプレー塗付ができて、次工程までの作業時間が短い有機溶剤系のクロロブレンゴム系が多く使用されている。窓の水密用シーリング材なども含めると、1両当たり約250kgもの接着剤が使用されている。
有機溶剤接着剤は、作業環境・安全面から見て問題があり、住宅関連製品や車の内装品などでは水溶性接着剤が多く使用されるようになってきている。図1に車輌製造行程における接着作業の状況を示す。車輌の接着作業は、車輌内部での吹き付け作業が多く、作業者は保護マスクを付けて作業しなければならない。そのため、廻りの作業者にも悪影響を及ぼしている。また、床敷物のように床面全体を接着するために大きな換気装置が必要となり、作業スペースも制限されるなど、作業工程上も大きな問題となっている。      有機溶剤系接着剤は、金属から木工など多くの種類の材料に適用できる上に、耐熱性や弾性に優れ、乾燥が早いことから接着行程が短くなるなど、作業効率面で優れており、鉄道車輌の製造には適しているといえる。
しかし、接着剤の中にトルエン、ノルマルヘキサン、アセトンなどの有機溶剤が含まれており、この溶剤の蒸発によるガスなどが作業環境を害し、作業者が中毒症状を起こすこともあるなど、大きな問題となっている。
一方、環境問題の中から水溶性接着剤が開発され、住宅関連部材や車の内装材の接着に使われてきたが、@有機溶剤系接着剤に比べて接着力が弱く乾燥時間が長い、A作業環境は良いが、接着強度や耐久性などに関して信頼性に乏しいという問題があり、鉄道車輌の製造分野にはあまり普及していないのが現状である。
そこで、本研究では有機溶剤系接着剤と水溶性接着剤の接着性について、実作業に即した形での評価試験を行い、被接着材料や養生温度などが接着強度に及ぼす影響を明らかにした。
 

資 料:

実用9−接合法.pdf(約117.64 Kバイト)