研 究 報 告 書

報告書名:

工業技術研究報告書
 

報告書番号:

No.36
 

報告書年度:

2007
 

研究種別:

公募型受託研究
 

テーマ名:

ニッケルフリーステンレス鋼の実用化研究
 

副 題:


 

担当者:

三浦 一真(研究開発センター)
岡田 英樹(県央技術支援センター)
田辺 寛 (県央技術支援センター加茂センター)
渡辺 光雄(明道メタル株式会社)
安藤 俊幸(    〃    )
大澤 康暁(    〃    )
 

抄 録:

 フェライト組織の状態で薄板状に成形し,その後,窒素吸収熱処理させる手法で1〜0.2mm厚さのNiフリーステンレス鋼(Fe-24%Cr-2%Mo-1%N)薄板を試作し,種々の特性評価を行った。引張強伸度について,伸びはSUS316をわずかに下回ったものの強度は大きく上回った。それに対して,絞り加工性は既存のステンレス鋼に比べ,劣る結果となった。耐食性については30℃,1kmol / m3 NaCl溶液における孔食電位で評価した。その結果,既存のステンレス鋼と異なり,明確な孔食電位は認められなかったことから腐食環境での製品適用が期待できる材料であることがわかった。
 

緒 言:

 (独)物質・材料研究機構が開発した新しいオーステナイト系ステンレス鋼は,Niを含まないフェライト系ステンレス鋼に高濃度の窒素を吸収させたもので高窒素Niフリーステンレス鋼と呼ばれている。特性については,例えば機械的特性である引張強伸度をSUS316と比較した場合,強度は1.4倍で伸びは2倍以上と強く1),2),耐食性についても,海水中でのすきま腐食や孔食に非常に強く,非磁性で生体適合性にも優れていることから,特に海洋構造部材や医療分野においてSUS316が使われている部分の代替として期待されている3),4)。
 Niフリーステンレス鋼は,主に窒素ガスを充填した加圧容器内で溶解母材を消耗電極として再溶解するESR(Electro Slag Remelting)法や加圧誘導溶解炉により製造されるが5),製造コストが高く,金属中に固溶した窒素は加工硬化により硬度を増すため,高濃度の窒素を添加したインゴットからの加工は非常に難しく,この量産化技術は未だ確立していない。この問題を解決する方法として成形加工と窒素吸収処理を組み合わせた製造技術がある6)。我々は以前より窒素を含有する前のフェライト組織の状態で薄板成形し,その後窒素吸収処理する研究を行っている。
 今回は量産ラインで薄板成形後,窒素処理することで組織をオーステナイト化した薄板を試作し,特性を評価するとともに,SUS304など既存のステンレス鋼と比較することでこの板材の製品適用性について検討した。
 

資 料:

ニッケルフリーステンレス鋼の実用化研究.pdf(約238.22 Kバイト)