研 究 報 告 書

報告書名:

工業技術研究報告書
 

報告書番号:

No.27
 

報告書年度:

1998
 

研究種別:

実用技術研究
 

テーマ名:

陽極酸化による触媒生成条件の把握
 

副 題:


 

担当者:

高畑 悦武(下越技術支援センター)
笠原 勝次(〃)
坂井 裕子(〃)
 

抄 録:

 現在、環境負荷の少ない、叉は環境負荷を減らすといった効果のある製品づくりの素材として手段として、光触媒が注目されている。本研究では光触媒としてAnatase型TiO2に着目し、陽極酸化条件と酸化被膜の生成効率について検討を行った。
 その結果、光触媒生成条件としては陽極酸化処理電流値の処理時間積分値と生成したTiO2のX線回折強度の間に相関が見られた。またTiからTiO2生成の過程をX線回折で追跡した結果、基材の組成がTiO2の生成に影響し、生成するTiO2層の表面状態、および生成速度などに影響するということが示唆される結果が得られた。
 

緒 言:

 地球環境保全やO−157等抗菌・殺菌技術への関心の高まりから、光触媒の製品への応用が注目されている。現在、種々の光触媒能を持つ物質の中で反応の強さ、安定性等の面からAnatase型のTiO2が有力と見られており、衛生陶器、水質浄化等への利用が検討されている。しかし、TiO2触媒は通常熱処理によって得られることと、触媒表面積の増大と量子効果等による活性向上を狙って微粒子化されているため、担体への固定化方法及び反応後の回収といった点で検討すべき課題も多い。
 光触媒はその名が示すとおり光によって電子状態が変化して励起されることにより物質と酸化還元、叉は加水分解反応を行う物質である。通常、光増感剤と呼ばれるものは均一系光触媒であり、溶液中で種々の化合物と反応を行う。これは光の照射に対して活性化効率が高く、合成化学やガス中の不純物の除去などに用いられ得るが、その他一般的な用途に用いるには触媒の回収、および触媒溶液の保持といった点で課題が残る。また、触媒活性能以外にも反応性が高かったり、不安定であったりするため取り扱いが難しく、その用途は限定される。一方、酸化チタンをはじめとする半導体型光触媒は化学的な反応性は低く取り扱いは容易である。しかしながら、光の照射に対して吸収深度が浅く、エネルギーの変換効率が低い。また、反応系からの回収や触媒の保持はろ過や遠心力分離等によって比較的用意に達成できるが、触媒の露光率を高めるためには微粒子化する必要があり、固定化と微粒子化という全く正反対の操作を行う必要がある。それらの相反する問題点を解決する手段として、現在一般的に研究されている課題としては触媒の基材上への膜状固定化という方法があげられる。この方法は膜と固定用のバインダーの性質が問題となる。バインダーは触媒表面を被うことなく基材上に触媒を固定する必要がある。また、基材、バインダー共に触媒と反応するものであってはならない。触媒と基材、バインダー等が反応するということは触媒の活性を損ねるだけでなく、バインダー、および基材の損傷をひき起こし、製品の破壊をもたらすからである。製膜固定化法ではこれらの条件を満たす基材、およびバインダーの開発が課題となっている。
 一方、直接材料表面に触媒を生成させる手段として熱処理とメッキや陽極酸化といった表面処理がある。熱処理は材料の大きな物性変化を伴うため製品が限られるが、表面処理では比較的広範囲な製品に対応することができる。メッキでは溶液からの析出法であるため、触媒の溶液を作成することから始める必要があるが、陽極酸化法ならば触媒のもととなる金属材料を用いれば触媒の溶解という操作は必要無い。
 そこで、本研究では簡易に材料表面に光触媒を生成する材料として、今後様々な分野での利用加工製品の表面に直接酸化被膜を形成する手段として陽極酸化法を用い、得られた酸化チタン材料を光触媒として応用することを目的とし、その生成条件等の把握について検討した。
 

資 料: