研 究 報 告 書

報告書名:

工業技術研究報告書
 

報告書番号:

No.31
 

報告書年度:

2002
 

研究種別:

実用研究
 

テーマ名:

新しいX線残留応力測定技術の研究
 

副 題:

シリコン単結晶と配向性をもつアルミニウム薄膜のX線応力測定
 

担当者:

白川 正登(下越技術支援センター)
斉藤 雄治(〃)
中川 昌幸(〃)
 

抄 録:

当所で研究したX線応力測定装置を用いて,シリコン単結晶とその上にスパッタ法により製膜した[111]配向をもつアルミニウム薄膜の応力を測定した。シリコンは(511)と(333)面の回折線をCrKb線を用いて,アルミニウムは(222)面の回折線をCrKa線を用いて,それぞ二つの回折線ピーク位置から応力値を決定する方法(2点法)を提案した。さらに,シリコン単結晶とアルミニウム薄膜の応力定数を実験的および理論的に求める方法を示した。得られたシリコン単結晶とアルミニウム薄膜の応力定数の測定値は,理論値とほぼ一致した。
 

緒 言:

半導体等の電子デバイスにおいて,熱膨張率の相違により生じる残留応力が,その機能
劣化や破損原因として問題になっている。そのため,これらの問題に対応するために,高
精度で迅速な残留応力測定法の確立が期待されている。
 X線応力測定法は,多結晶材料表面の局所の残留応力を非破壊的に測定できる.巨視的
に弾性等方性の多結晶材料に対して,X線応力測定の理論はすでに確立されており,この
理論で試験片の表面法線方向のせん断応力成分が0であると仮定すれば,sin 2 y線図は直線となる。
 ところで,半導体デバイスに多く使われている材料に,シリコン単結晶とアルミニウム
薄膜がある.これらの材料は弾性的に異方性であるので,sin 2 y線図が直線にならず,等方性弾性体の測定理論は適用できない。
 長岡技術科学大学の栗田教授らは,このような直線にならないsin 2 y線図をもつ材料に
対するX線応力測定の理論(1 )〜(6 ) を提案し,これを,集合組織をもつ冷間圧延したステンレス鋼SUS304 (1 )〜(3 ) ,研削加工によるyスプリット材(5 ) ,粗大結晶粒をもつ純鉄(7 ) ,シリコン単結晶(8 )〜(1 0 ) およびシリコンウェハに被覆したアルミニウム薄膜(1 1 ) に適用した。この理論は,一定のy角方向のひずみは応力に比例するという前提のみを用いて導かれているので,等方性材料のみならず異方性材料でも弾性体であれば広く適用できる。
 本研究は,単結晶および薄膜のX線応力測定法を明らかにするために,この理論をシリコン単結晶とそれに被覆した[111]配向をもつアルミニウム薄膜に応用して応力定数を実験的に求めるとともに,単結晶のひずみと応力の関係から求まる理論値と比較したものである。
 

資 料:

実用4−X線残留応力.PDF(約71.89 Kバイト)