研 究 報 告 書

報告書名:

工業技術研究報告書
 

報告書番号:

No.28
 

報告書年度:

1999
 

研究種別:

提案公募型技術開発研究
 

テーマ名:

地場産業技術を利用した医療用高機能インプラントの開発
 

副 題:


 

担当者:

原 利昭(新潟大学工学部機械システム工学科)
高橋 栄明(新潟大学医学部整形外科学教室)
寺島 和浩(新潟大学工学部情報工学科)
遠藤 直人(新潟大学医学部付属病院)
大貫 秀樹(株式会社 東陽理化学研究所)
 

抄 録:

医療費の削減と医療技術やQOL(Quality of Life:生活の質)の向上は、国民医療費が30兆円を超えると予想される中、相反する特性を有しているが、共に解決しなければならない問題である。そのためには早期に社会復帰することと医療コスト削減の観点から高機能人工インプラントの開発必要不可欠である。この様なインプラントは医療用であっても当然のことながら工業製品の一つであり、極めて付加価値の高いチタン製品である。地場産業が有する技術資源を利用して整形外科用高機能インプラント、即ち、数種類の股関節用免荷デバイスと脊椎不安定性評価のためな術中モニターコンポーネントを開発し、その高機能性を生体力学的に確認したので報告する。
 

緒 言:

大腿骨骨頭壊死やPerthes病などにおいて、壊死した骨頭を再生するまでには長期間を要する。その間、骨頭に荷重が作用するとその部位は陥没して扁平股となる場合や、階段状骨頭などの変形を誘発する場合もある。この様な変形は二次性変形性股関節症を誘起し、強い疼痛を伴ったり、可動域が制限されることもある。従って、骨壊死組織の長期にわたる修復期間中、骨頭部に対する免荷が必要となる。しかしながら、骨頭部に対する免荷状態を維持することは日常生活上でのいろいろな制限を伴い、患者によって精神的ストレスを蓄積しやすい。また、長期間におよぶ運動制限のため骨や筋の萎縮、さらには筋力の低下をも誘発し易いと考えられている。従って、免荷状態を維持することは患者の肉体的、精神的両面においてかなりの苦痛を伴うことになる。
 そこで、大腿骨頭壊死患者に対しこの様な苦痛や負担を軽減し、術後の安定した状態を得るため、さらには日常生活の質そのものの向上のためにも、高機能型免荷デバイスの開発が待たされているが、いまだ製品化されていないようである。この様な観点から本研究では新しい股間節免荷用デバイスを開発し、生体力学的にそれらの高機能性を確認した。
 さらには、腰椎における術中不安定性測定器の開発を想定して術中モニター用高機能コンポーネントの開発をも行った。この背景には、“脊椎不安定症”という診断で固定術や制動術が行われているが、未だ腰椎不安定症の評価は、力学的観点から考察して明確とは言い難い状況がある。即ち、腰椎のみならず脊柱全体の不安定症を的確に把握する上で、不安定性の程度を正確且つ簡便な手法により評価する力学的手法の一つとして、術中時徒手的に棘突起を動かして椎間の緩さを判定する方法が採用されている。本研究では、不安定性評価指標として術中可動性に着目して、棘突起間に運動を与えた時の荷重と変位を測定する装置を開発し、その有用性を検討した。
 なお、本研究で開発対象とした整形外科用デバイスの適用例は、新潟大学医学部付属病院での実績を見ても、図1の通りであり、全国数千の病院数および全世界の病院数を考えても通常の工場製品とは異なる需要の多さを見通すことができる。
 

資 料: