研 究 報 告 書

報告書名:

工業技術研究報告書
 

報告書番号:

No.32
 

報告書年度:

2003
 

研究種別:

提案公募型技術開発研究
 

テーマ名:

マグネシウム合金を中心としたエコマテリアルの接合技術の開発
 

副 題:


 

担当者:

武藤 睦治(長岡技術科学大学)
宮下 幸雄(〃)
小林 直樹(有限会社小林製作所)
清水 正人(フジイコーポレーション株式会社)
 

抄 録:

 マグネシウム合金AZ31Bを供試材とし、MIG、TIGおよびレーザといった各種溶接法による接合実験を行った。MIG溶接は、マグネシウム合金用に電源特性を調整した溶接機を用いて、まず、ビードオンプレートにより接合条件を求め、シールドガスの影響について検討した。ビードオンプレートの結果をもとに、突合せ接合体を作製した。TIG溶接では、ワイヤ供給装置にサーボモータを組込み、精密な制御を可能とした。突合せ溶接により、母材程度の強度を示す接合体が作製できた。また、シールドガスの影響についても調べた。レーザ溶接では、突合せおよび重ね接合について検討した。突合せ接合では、ワイヤ供給装置を組込み、厚さ1mm以下の板材の突合せおよびすみ肉・肉盛り溶接を可能とした。溶接条件を検討し、母材程度の強度を示す突合せ接合体を作製することができた。重ね接合では、高レーザ出力条件においては、上下両板材を安定して溶融することが困難であり、低レーザ出力条件で接合体を作製することができた。Mg合金/Al合金異材レーザ重ね接合を仮定し、有限要素法解析により、各レーザ出力および溶接速度における界面温度分布を求め、溶接条件を検討した。解析に必要なパラメータの導出方法を確立し、解析に基づく、Mg/Al異材接合の指針を得る手法を示した。
 

緒 言:

 実用金属中最も軽量であるマグネシウム合金は、我が国では現在、主に携帯用電子機器などを中心に実用化が進んでいる1)。自動車などの輸送機器の構造用部材にマグネシウム合金を適用した場合には、車体軽量化にともなう燃費の向上が期待されるため、高効率動力源の開発のみでは達成できない、低燃費自動車の実現が期待される2)。米国や欧州では、すでに自動車部品のマグネ化が進んでおり、適用例も多い3)。また、マグネシウム合金の有する、優れたリサイクル性も注目されており、実際に、国内の需要も増加傾向にある4)。マグネシウム合金の需要拡大にともない、接合技術の開発が重要となる。マグネシウム合金の接合に関して、数は多くないが、これまでに、MIG溶接5)、TIG溶接6)、レーザ溶接7)、電子ビーム溶接8)、摩擦圧接9)およびFSW(摩擦攪拌溶接)10)など各種溶接法に関する研究報告がある。ところが、実際の産業界に目を向けると、我が国ではマグネシウム合金の構造材としての実用実績が少ないために、マグネシウム溶接に関して十分なノウハウを蓄積している企業はほとんどなく、まして、地域的な取り組みは現在のところ行われていない。新潟県、とくに県央地域は、全国の中でも金属加工技術が優れており、マグネシウム合金に関しても県全体として取り組みつつある。したがって、溶接・接合技術の確立を、他地域に先行して行うことにより、この地域を日本におけるマグネシウム加工の中心地とすることができる。
 本研究では、MIG、TIGおよびレーザといった、各種溶接法によるマグネシウム合金溶接手法の基礎的な知見を得るため、以下に示す研究体制で研究を行った。
@MIG溶接
主に、長岡技術科学大学の設備で実施した。(株)ダイヘン溶接メカトロカンパニーの協力により、Mg合金用に電源特性を調整した溶接機および適切な溶接ワイヤを準備し、溶接実験を行った。溶接速度、溶接電流を制御し、ビードオンプレートによる溶接条件の導出を行い、さらに、突合せ継手を作製した。
ATIG溶接
主に、(有)小林製作所の設備で実施した。協力企業に既存のTIG溶接機を用いて行った。まず、ワイヤ供給装置にサーボモータを組込み、精密なワイヤ供給制御を実現した。また、溶接速度や溶接電流などを変化させ、適切な溶接条件を求めた。さらに、シールドガスとして、ArガスおよびAr/He混合ガスを用い、その影響を調べた。接合体は、主に、突合せ溶接により作製し、その強度を評価した。
Bレーザ溶接
突合せ溶接および重ね溶接について行った。突合せ溶接は、主に、フジイコーポレーション(株)の設備で実施した。とくに、薄板の溶接について、協力企業に既存のレーザ溶接機を用いて行った。レーザ溶接機には、Mg合金の肉盛・すみ肉溶接を行えるようにフィラー供給装置を取付けた。レーザ出力や溶接速度を変化させ、適切な溶接条件を求めた。また、突合せ溶接により作製した接合体の強度試験を行った。重ね接合に関しては、新潟県工業技術総合研究所レーザ応用研究室に設置されている4kWYAGレーザ装置を用いて、長岡技術科学大学を中心に行った。溶接条件を導出するとともに、得られた接合体について引張りせん断試験を行い、接合体強度を評価した。
他方、構造材料として使用される場合、異材との接合技術が重要となる。例えば、自動車車体に関しても、アルミニウム合金や鋼材との併用は避けられない。しかし、Mg合金と異種金属の接合に関しては、これまでにごくわずかな研究報告しかない11)〜13)。そこで、将来のMg合金需要拡大を見据えた、レーザによるMg合金/Al合金異種金属接合を有限要素法解析により検討した。
 

資 料:

提案5−マグネシウム.pdf(約92.24 Kバイト)